「声変わりをしてしまうと身長の伸びが止まる」こんな話を聞いたことはありませんか?
声変わりとは喉仏が成長し声帯が伸びて声が低くなることを指します。
一方、身長の伸びが止まるというのは、骨の先端にある軟骨が硬くなり骨が伸びなくなることを指します。
一見あまり関係性のなさそうな声変わりと身長に、どんな関係性があるのでしょうか。
この記事では、声変わりや成長を含めた第二次性徴、声変わりと身長の関係性について、さらに身長を伸ばすのに最適な時期などを解説しています。
身長と声変わりが始まる時期にはどんな関係がある?
男子は9歳から15歳にかけて、女子は8歳から13歳にかけて心身共に大きく成長する時期があり、それを「第二次性徴期」と呼びます。
第二次性徴期は時期によって身体の成長する場所が変化していきます。
どの時期に身長が伸び始めるのか、声変わりが始まるのはいつ頃なのかそれぞれ解説していきます。
身長が伸び始めるのは第二次性徴期の前半~中盤
身体と心が大きく成長する時期をまとめて第二次性徴期と呼びますが、身長が大きく伸びるいわゆる「成長期」と呼ばれる時期はもう少し早くに訪れます。
個人差はありますが、男子であれば9歳~13歳、女子なら8歳~10歳の間に大きく身長が伸びる時期が訪れ、それ以降は身長の伸びが一度緩やかになりますが、10代後半にまた大きく伸びる時期が訪れる人もいます。
声変わりが始まるのは第二次性徴期の後半
一方、声変わりは主に第二次性徴期の後半、14歳~15歳の間に訪れることが多く、16歳(高校一年生)の時点では95%は変声が終了していると言われています。
特に男子の性徴は、まず精巣の肥大と精通から始まり、体毛が濃くなる、心肺機能や血液量の増加などを経て最後に声変わり、といった順番で進んでいきます。
そのため、声変わりをする頃には、ほぼ第二次性徴期は終了しているんです。
声変わりが始まると身長は伸びない?
身長が伸びなくなる時期と声変わりが始まる時期は、ちょうど第二次性徴期の中でも同じ時期に重なっているため、両者に関係性があると考えている人も多くいるようですが、実際は両者に直接的な関係性はありません。
さらに、必ずしも声変わりが始まったからといって身長が止まるわけではありません。
実際に学生時代を思い返してみると、20歳近くまで身長が伸び続ける人や、高校生になって急激に伸びる人などが実際に身の回りにいたのではないでしょうか?
声変わりの時期に個人差はあまりありませんが、身長は遺伝や生活習慣の要素が非常に大きいと言われています。
声変わりが始まったからと言って必ずしも身長が伸びなくなるわけではないんです。
身長を伸ばしたいなら声変わりが始まる前の「成長期」がチャンス!
身長は個人差が大きいので、声変わりに関係なく身長が伸びる人もいれば、そうでない人もいます。
ですが、より身長を伸ばしたいなら第二次性徴期の前半、声変わりが始まる前から身長を伸ばすための身体作りをしていくことをおすすめします。
そもそも、身長が伸びるためには成長ホルモンがより多く分泌されなければなりません。
しかし、第二次性徴期後半になると、身体の成長を完成させるために成長ホルモンの作用が身長の伸びではなく骨の軟骨部分を硬くして成長を止める方に働くようになります。
そのため、身長を伸ばすには第二次性徴期の前半までに成長ホルモンがより分泌されるような生活習慣を送っている必要があるんです。
身長を伸びやすくする3つの生活習慣とは
第二次性徴期の前半までに身長を伸ばす生活習慣として定着させておきたいのは
ポイント
- 骨の材料を多く取り入れる(食生活)
- 骨の密度を高くする(運動)
- 成長ホルモンを分泌させ身長を伸ばす(睡眠)
の3つです。
骨の材料を多く取り入れる食生活
骨をより強く大きくするためには、骨の材料となる栄養素を積極的に取る必要があります。
特に骨に良いとされる栄養素は以下の3つです。
ポイント
- タンパク質(骨の材料)
- カルシウム(骨密度を高める)
- ビタミンD(タンパク質とカルシウムの吸収力を上げる)
それぞれの栄養素は以下のような食材に多く含まれています。
ポイント
- タンパク質→肉、魚、卵、大豆製品
- カルシウム→乳製品、魚の骨、大豆製品
- ビタミンD→レバー、チーズ、卵黄、乳製品、キノコ類
特に魚には骨のために積極的に摂取したい3つの栄養素が全て含まれています。
しらすやにぼしなどの小魚や、イワシやサバの缶詰などを利用することで、手軽に食べられるだけでなくカルシウム豊富な骨まで丸ごと摂取することができます。
また、チーズやヨーグルト、牛乳といった乳製品は、カルシウムが豊富なうえにタンパク質とビタミンDもある程度含まれています。
食欲がなくて肉や魚をガッツリ食べるのは難しい…という時や、朝は弱くて食べられないという時には、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどを。
朝からしっかり食べる、という場合は納豆ご飯に焼き魚、卵焼きなどを食べるとよいでしょう。
また、ビタミンDは日光を15分ほど浴びれば体内で1日に必要な量が合成されます。
できるだけ毎日外に出ることも大切です。
骨の密度を高くする運動
骨は振動や刺激を受けることでより密度が上昇し、硬くなっていきます。
そして、密度が上昇し硬くなった骨の先端にまた新たな軟骨層が作られることで身長はどんどん伸びていきます。
骨に刺激を与えるためには、走る、ジャンプして着地する、ボールを蹴るなど骨に直接刺激がいくような動きが効果的です。
スポーツであれば、サッカーやバスケット、陸上競技などです。
スポーツがまだ難しい、という小さな子供の場合は、鬼ごっこや縄跳び、散歩や段差をジャンプするなど身近な動きを普段から取り入れてあげましょう。
逆に、水泳や筋トレ、ヨガのような骨に振動が直接伝わりづらいスポーツは骨密度を上げるという面ではあまり向いていません。
成長ホルモンを分泌させ身長を伸ばすための睡眠
食べ物や運動に気を使っても、しっかり眠らなければ身長は伸びません。
なぜなら、実際に骨が造られるのは睡眠中だけだからです。
寝ている間、脳は浅い睡眠(レム睡眠)と深い睡眠(ノンレム睡眠)を繰り返しますが、成長ホルモンはノンレム睡眠中に特に多く分泌されます。
ノンレム睡眠は1回に90分~120分しか続きません。
そのため、十分に成長ホルモンを分泌させるためにも成長期のピークと言われている9歳~11歳の間は、少なくとも10時間は睡眠をとる必要があります。
身長が止まり始めるサイン?第二次性徴期後半の特徴とは
個人差はありますが、声変わりと同時期に髭や腋毛などの体毛の発生、肩幅や腕、足といった四肢の筋肉の発達が始まります。
最終的に体臭の発生、顔面の変化(眉、鼻、頬といった骨が隆起する)を経て第二次性徴期は終了します。
成長期のピークと思春期の始まり時期が同時期に来ることが多く、体つきががっしりと骨ばってくる、腕や足の骨が筋張って隆起が目立つようになってくる頃には成長期は終わりかけています。
一口に成長といっても、上に伸びるのではなく体格や骨格が変化しているようであれば、一般的に成長期のピークは過ぎていると思ってよいでしょう。
まとめ
声変わりは第二次性徴の後半、14歳~16歳の間に訪れるます。
身長の伸びがゆるやかになる頃と時期が被っていることが多いため、「声変わりが始まると身長が伸びなくなる」と言われていますが、実際にそういった関係性はありません。
声変わりした後でも身長が伸び続けている例は沢山あるので安心してくださいね。
ただ、より身長を伸ばしたいのであれば成長期と呼ばれる9歳~13歳の間により身長が伸びる生活習慣を取り入れていくことをおすすめします。