子供が休日や夜間に熱を出す、病院が時間外のときに限って体調が悪くなる、本当によくあることですよね。
親は慌てますし、救急外来をやっている病院に行くべきか、様子を見て日中に病院に行くべきか悩むのではないでしょうか。
そんなとき活用して欲しいのが、子供の病気の電話相談を受けてくれる場所です。
症状を話せば、適切な対処法や受診の必要があるかないかも教えてくれます。
この記事では、子供が休日夜間に病気になったとき、相談できる先を紹介します。
また、自宅でできる対処法も紹介するので参考にしてみてください。
子供の病気で電話相談できる「こども医療電話相談(#8000)」
休日や夜間に子供の体調不良が悪くなったら、「こども医療電話相談事業(#8000事業)」に電話すれば、すぐ病院に行くべきか様子を見ても大丈夫かを相談できます。
厚生労働省では「こども医療電話相談事業(#8000事業)」とされていますが、休日夜間に電話対応してくれることから、多くの自治体で「子供救急電話相談」「小児救急相談」などとも呼ばれています。
この電話ではどんな相談ができるのか、電話の前に確認しておいたほうがいいことなどを紹介します。
こども医療電話相談とは?どんな相談ができる?
こども医療電話相談とは、多くの病院が診療時間外である休日や夜間に、子供の病状の相談に乗ってくれる電話相談窓口です。
小児科医や看護師が電話で対応し、どのように対処するればよいか、すぐに病院の受診が必要かなどのアドバイスを受けられます。
子供の症状で心配なことを医療の専門家に相談できるので、とても心強いですよね。
必要に応じて、今から受診できる病院を教えてくれますし、救急車を呼ぶよう指示してくれることもあります。
こども医療電話相談は、全国同一の短縮番号「#8000」にかけることで、住んでいる自治体の相談窓口に自動転送される仕組みです。
自治体によって実施している時間や曜日が異なるので注意しましょう。
実施時間帯の確認は、厚生労働省のホームページから確認できます。
#8000だけではなく「救急安心センター(#7119)」も利用できる
急な体調不良で病院に行くべきか救急車を呼ぶべきか迷ったら、こども医療電話相談#8000だけでなく「救急安心センター事業(#7119)」も利用できます。
「緊急性の有無」や「すぐに病院へ行くべきか」を判断して、緊急性が高い場合救急隊の出動につなぎ、緊急性が高くない場合受診可能な病院をアドバイスしてくれます。
#7119は子供や大人などの年齢区別がなく、誰でも利用できるのが特徴です。
実施している地域は、総務省消防庁のホームページで確認できます。
まだ全国で使えませんが、各自治体でも類似した事業があるので把握しておくのがおすすめです。
こども医療電話相談の問題点は?
こども医療電話相談では、地域やタイミングによってつながりづらいとの声が聞かれます。
また、電話対応が冷たいと感じる人もいるようです。
厚生労働省によると、こども医療電話相談の利用者は年々増加していて、平成28年度に約86万件、平成29年度で約94万件利用されています。
子ども医療電話相談は、小児科医の人員不足や負担軽減を目的に始まったもので、利用者の増加は成果が出ていると言えるでしょう。
しかし電話相談が周知・活用される一方で、電話相談の人員確保が進んでいない地域があるのも事実です。
人員を増やすのは簡単ではないため、1件の相談時間を短縮するなどの対策を行っているとのことです。
小児科医の負担を減らす目的は果たしているものの、電話相談の人員が足りない地域では電話がつながりにくく電話対応が事務的になるのが、今後の課題と言えるでしょう。
こども医療電話相談に連絡する前に確認したい子供の症状
子供の具合が悪いと親は心配でいっぱいになりますが、子ども医療電話相談に電話する前に、子供の症状をよく観察しメモをとっておきましょう。
例えば、
- いつから具合が悪いのか
- 熱があるなら何℃か
- 辛そうにしているか
- 咳や鼻水などの症状はあるか
など、わかる範囲で書き出します。
電話に出る小児科医や看護師は、子供を直接診察できないため、親から伝えられる病状によって判断することになります。
病状を正確に伝えることが適切なアドバイスにつながるので、電話の前にしっかり子供の病状を確認しましょう。
また前述した通り、こども医療電話相談の相談件数は増えていて、1件の電話が長くなると他の電話がつながりにくくなります。
病状をしっかり把握して電話すれば、通話の時間短縮にもつながります。
子供の症状別・病院に行く目安と家でできる対処法
子供の体調が明らかにおかしいと、親は慌ててしまいますよね。
こども医療電話相談を活用できたらいいですが、その余裕すらなかったり電話がなかなかつながらなかったりするかもしれません。
今回は子供のよくある症状を4つピックアップしました。
症状別に、すぐ病院に行くべき目安と、急ぐ必要はないけれど辛そうな子供のためにできる対処法を紹介します。
発熱
すぐ病院に行ったほうがよい目安
熱は、年齢や月齢が低いほど、高いと危険です。
体温の目安は
- 生後3ヵ月未満なら38℃以上なら
- 生後3ヵ月〜3歳未満なら39℃以上なら
- 3歳以上なら微熱程度でも明らかに様子がおかしかったら
すぐ病院を受診したほうがよいでしょう。
予防接種が原因の発熱は、1歳未満ならよくある症状ですが、39℃以下なら翌朝を待って、39℃以上なら受診が必要です。
他には、
- 赤ちゃんなら泣き声が弱々しい
- 脱水症状がある(泣いても涙が出ない、12時間以上尿が出ない、口の中や唇がカサカサ)
- 顔色が悪く青白い
- 目の動きがおかしい
などが目安です。
家でできる対処法
発熱後すぐは寒がることが多いので温めてあげて、その後熱が上がって薄着にして冷やしてあげます。
冷やす場所は、頭・脇の下・太ももの付け根がよいですが、本人が嫌がるようなら無理に冷さなくても大丈夫です。
もし昼間に病院へ行っていて解熱剤を処方してもらっているなら、子供の状態をみて使ってあげましょう。
目安は38.5℃以上で辛そうだったらで、6時間以上開ければ追加が可能です。
解熱剤はあくまでも一時的に熱を下げるだけなので、薬が効いている間にしっかり睡眠を取り、食べられるようなら消化によいものを食べて体力を回復しましょう。
水分はこまめにあげますが、水やお茶だけでは塩分が足りないので、イオン飲料やジュースなども加えてみてください。
また、昼間元気なのに夕方から夜にかけて熱が出るのは、子供によくある症状です。
もし次の日の朝熱がなくても、日中かかりつけの病院を受診しましょう。
嘔吐
すぐ病院に行ったほうがよい目安
嘔吐は脱水症状になりやすく、水分摂取も難しい場合があります。
すぐ病院に行ったほうがよい症状の目安は
- 食べ物だけでなく、水分を摂っても嘔吐してしまう
- 嘔吐だけでなく高熱もある
- 意識が朦朧としている
- 脱水症状がある(泣いても涙が出ない、12時間以上尿が出ない、口の中や唇がカサカサ)
- 嘔吐したものに血液が混じっている
などです。
家でできる対処法
繰り返す嘔吐は横になって休むことが難しいですが、起きているのも辛いですよね。
寝るときは仰向けでなく横向きにして、吐いたものをつまらせないようにしてあげましょう。
嘔吐後は口の中が気持ち悪く、それが原因でまた嘔吐してしまうかもしれないので、口をゆすぎ、嘔吐物をすぐ処理して換気し匂いが残らないようにします。
水分は次の嘔吐の原因になるかもしれないので、一気にあげずスプーン1杯から少しずつ与えます。
塩分も一緒に摂れるイオン飲料や、経口補水液がおすすめです。
下痢
すぐ病院に行ったほうがよい目安
下痢では、便の様子をよく観察します。
例えば、
- 便に血が混じっている
- 便の形が明らかにおかしいと感じる
- 便の色が黒い
などの場合は緊急性があります。
また脱水になりやすいので、脱水症状である
- 泣いても涙が出ない
- 12時間以上尿が出ない
- 口の中や唇がカサカサ
などの場合はすぐに病院を受診したほうがよいでしょう。
家でできる対処法
お腹を冷やさないように温めてあげましょう。
水分が失われやすいので、塩分も一緒に摂れるイオン飲料や経口補水液を与えますが、冷たいとお腹が冷えるので常温を心がけてみてください。
本人に食欲があるなら食べても大丈夫ですが、お腹に優しいおかゆやゼリーなど、消化によいものがよいでしょう。
腹痛
すぐ病院に行ったほうがよい目安
腹痛の原因の多くは便秘なので、まず排便させてみます。
その上で、
- 浣腸してもまったく便が出ない
- 便が出ても痛がっている
- 便に血が混じっている
などの場合はすぐに病院へ行きましょう。
また便以外では、
- お腹を押すと痛がる
- 数日の間にお腹を激しく打った
なども緊急を要する症状です。
家でできる対処法
前述した通り、腹痛で1番多い原因は便秘です。
何日も便が出ていないようなら排便を促し、出ないなら浣腸をしてみましょう。
食事は、消化によいものや温かいものを心がけてください。
まとめ
子供が病院がやっていない時間に体調が悪くなると、親は慌ててしまうものです。
すぐに病院に連れて行きたいけれど、緊急性がないなら翌日にするべきか、でも重篤な症状かもしれない、と悩んでしまいますよね。
そんなときは「こども医療電話相談(#8000)」に電話してみましょう。
小児科医や看護師などが相談に乗ってくれて、どうすればいいかアドバイスをくれます。
しかし、電話がなかなかつながらないタイミングもあるので、症状によってはすぐに病院に行ったほうがよいかもしれません。
すぐ病院に行ったほうがよい目安と、緊急性はないけど家でできる対処法も合わせて紹介したので、参考にしてみてくださいね。