日本には、難病で苦しむ子供がどれくらいいるかご存知でしょうか?
難病と言われる子供は、現在日本に約25万人、さらに日常で医療的なケアが必要なのは約2万人います。
また、難病の子供を抱える家族はそれ以上にいます。
難病と闘う辛さや、それを支える家族の大変さは、想像するのが難しいかもしれません。
この記事では、子供の難病とはどんなものなのか、難病の子供とその家族への支援についてを紹介します。
そもそも難病とはどんな病気?
難病と聞くと、「治らない」「ずっと付き合っていく病気」「車椅子や寝たきりになってしまう」などのイメージが浮かぶかもしれません。
日本の難病の定義は、
発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいう。
厚生労働省「難病の患者に対する医療等に関する法律」より引用
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/dl/140618-01.pdf
とされています。
具体的に言うと、
原因不明の病気
治療法が確立していない
後遺症が残る可能性が少なくない
長期的な治療が必要
が、難病の定義です。
2020年4月現在、指定難病と指定されている疾病は333種類・小児慢性特定疾病(小慢と略されます)として指定されている疾病は762種類もあります。
例えば、
小児がん
糖尿病
ダウン症
などがあり、なかには国内で数人しかいないような疾病もあります。
難病は、医療の進歩によって問題なく日常生活を送れる人が増えていますが、完治は難しく、定期的な通院や内服薬との付き合いは不可欠です。
「指定難病」と「小児慢性特定疾病」に対する制度と支援
難病は、「指定難病」や「小児慢性特定疾病」に指定されていると、医療費助成が受けらる支援制度があります。
制度についてと、医療費助成を受けるための申請方法を解説します。
改正された「指定難病」と「小児慢性特定疾病」の制度
2015年に「難病の患者に対する医療等に関する法律」と「児童福祉法の一部を改正する法律」が施行され、難病に対する制度が変わりました。
難病は長期的な治療が必要なので、安定的な支援はもちろん、難病や小児慢性特定疾病の調査研究などにも対応するための変更です。
制度が変わったことで医療費助成の対象病名が拡大され、その後も追加されています。
患者の自己負担も変わり、
従来の3割負担から2割負担に引き下げられた
「入院」「外来」「重症度」「患者の所得」に分けられていた上限額が、世帯の所得に応じて決定される
といった内容になりました。
難病で受けられる医療費助成の申請方法
「指定難病」と「小児慢性特定疾病」は、申請して認定されれば、医療費の助成を受けられます。
難病は長期的な治療が必要不可欠なので、「指定難病」や「小児慢性特定疾病」の対象疾病なら、必ず申請しましょう。
申請方法を詳しく解説します。
①都道府県の窓口で書類をもらう
指定難病と小児慢性特定疾病の医療費助成を受けるために、お住まいの都道府県の窓口で必要書類をもらいます。
各都道府県の窓口の一覧はこちらから検索できます。
②難病指定医の診察を受ける
難病指定医の診察を受け、診断書の記入を依頼します。
難病指定医の一覧はこちらから検索できます。
③書類を合わせて窓口に提出する
必要な書類を都道府県窓口に提出し、申請します。
申請書
診断書
住民票
課税証明書・非課税証明証
保険証の写し
などが必要書類です。
自治体によって異なるので、各窓口に問い合わせましょう。
④都道府県での審査
窓口での申請後は、各自治体での審査が行われます。
審査の結果、「指定難病」や「小児慢性特定疾病」に認定されると受給者証が交付され、認定されなかった場合通知の文書が来ます。
⑤指定医療機関で受診・治療
医療受給者証が交付された後は、指定医療機関を受診し治療を受けます。
医療受給者証の有効期間は原則として1年なので、1年ごとの更新申請が必要です。
難病のある子供と家族が抱える辛さや課題
難病のある子供と家族は、生活の大変さや支援が行き届かないなど、課題が少なくありません。
どんな課題を抱えているのか、具体的に紹介します。
家にこもりがちになる
難病の子供の中には、日々のケアが不可欠で、家族もケアに追われ気軽に出かけるのが困難な場合があります。
例えば、
難病があるため感染症のリスクが高い
車いすを利用している場合、行ける場所に限りが出る
などの理由から、家にこもりやすくなります。
また外に出ると、どうしても「第三者からの視線」を気にしてしまい、さらに外出を遠ざけていると言えるでしょう。
子供のケアで家族が疲弊しやすい
難病の子供との生活では、特に母親の負担が大きくなりがちです。
ケアに時間が必要なため、仕事を辞める選択をした母親も少なくありません。
また他の兄弟姉妹がいる場合、そちらにも負担がいくケースもあります。
難病の子供のケアに手が取られるため、他の兄弟姉妹は親との関わりが十分に取れず、甘えられる機会が少なくなりがちです。
親と共に難病の子供のケアを行うこともあり、家族で疲弊する環境になりやすいのが問題になっています。
20歳以降は小児慢性特定疾病の対象から外れる疾病がある
子供の難病ならではの問題として、20歳を過ぎたら医療助成の対象から外れる疾病があります。
前述しましたが、小児慢性特定疾病として指定されている疾病は762種類に対し、指定難病とされている疾病は333種類です。
「小児慢性特定疾病」と「指定難病」どちらもある疾病は約半分の48%なので、残りの52%は20歳になると助成が受けられなくなります。
しかし、ほとんどの小児慢性特定疾病は20歳以降も継続して治療が必要です。
中には、医療費負担が大きくなったことで同じ薬を飲み続けるのが難しくなり、症状が再発したり悪化したりしたケースもあります。
年齢で助成などの支援が受けにくくなるのが、子供の難病の課題の一つです。
指定難病や小児慢性特定疾病に指定されていない難病は負担が大きい
難病のなかには、日本でまだ「指定難病」にも「小児慢性特定疾病」にも指定されていないものがあります。
難病なのに指定されていないと、公的な支援を受けられず、高額な医療費の負担が必要な疾病もあります。
難病の子供と家族を支援する団体と取り組み
難病を持つ子供と家族は、同じ境遇の仲間を見つけるのが難しく抱え込んでしまいがちです。
しかし、病気があっても自由に選択できる社会づくりが必要ですし、強く求められています。
そのための活動や支援を行っている団体を2つ紹介します。
日本財団
日本財団は、「子供支援」「障害者支援」「災害復興支援」などの支援拠点となり、より良い社会づくりを目指している団体です。
活動の一つとして、難病の子供と家族をケアのため、地域密着型のハブ拠点作りを行っています。
ハブ拠点とは、「ネットワークの中心」や「中継地点」の意味で使われ、難病の子供と家族のニーズに合った支援を、紹介や提供してくれます。
相談や生活支援ができるのはもちろん、
医療施設
訪問看護
福祉サービス
教育機関
など、さまざまな専門家とつながることができる施設です。
2020年度中には、30拠点まで拠点を増やしていく予定とのことです。
日本財団:難病の子どもと家族を支えるプログラム
NPO法人「難病のこども支援全国ネットワーク」
NPO「難病のこども支援全国ネットワーク」は、難病の親と医療者が中心となってサポートを行う団体です。
同じ立場の人による支援に力を入れており、東京都・神奈川県・埼玉県に4つのサポート室を借りて、相談や悩みを聞いています。
難病家族の交流活動として、サマーキャンプを行うなど、つながりができる場を作っています。
難病の子供を持つ家族のブログを紹介
子供が難病だとわかったら、戸惑い、不安や悩みでいっぱいになってしまうのではないでしょうか。
孤独や疎外感を持つ人もいるかもしれません。
そんな難病の子供を育てる家族の支えになるのが、体験記を発信しているブログです。
今回は難病の子供を持つ親が書いているブログを4つ紹介します。
難病を持って生まれた娘を持つママのブログ「RARULOG」
「RARULOG」は、イラストレーターである運営者のraruさんが、難病を持って生まれた娘さんのケアを記録しています。
娘さんには、上あごなどの口の周りに生まれつき裂がある口蓋裂(こうがいれつ)や、舌の根元が咽頭に落ちて気道を塞いでしまう舌根沈下(ぜっこんちんか)があるとのことです。
ケアの実体験や、口蓋裂でも使える哺乳瓶についてなど、経験したからこそわかる情報を発信しています。
「RARULOG」はこちら
小児がんと闘う子供とその家族の体験記「かがやく未来」
小児がんの子供を持つ母親2人が発起人となり設立された「かがやく未来」は、同じ経験をした親同士で情報交換したいと始まった会です。
ブログでは、難病での学校生活の実例や体験記が具体的に記されています。
「かがやく未来」はこちら
発達障害と難病を持つ息子の家族日記「釣りっこ家族日記」
「釣りっこ家族日記」は、発達障害の2人の息子さんの母であるはっちゃんさんが運営しているブログです。
次男が難病である「ネフローゼ症候群」を発症し、治療経過を発信しています。
また、治療を行いながら放課後等デイサービスを利用している話など、参考になる内容ばかりです。
「釣りっこ家族日記」はこちら
まとめ
難病を持つ子供と支える家族の大変さは、なかなか想像できるものではありません。
治療により日常生活を送れる人もいれば、在宅治療や入退院を繰り返す人もいて、長期的に付き合っていく病気です。
医療費助成が受けられる、「指定難病」と「小児慢性特定疾病」に指定される病名は徐々に増えていているので、しっかり申請して支援を受けましょう。
難病の子供と家族を支援する動きは、少しずつですが進んでいます。
今後は医療・福祉・地域が連携して、難病でもそうでなくても、境界線のない社会づくりが求められているのではないでしょうか。