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育児休業給付金とは?申請方法、必要書類、申請期間を解説

子供が生まれて仕事ができない間、国から援助を受けることができる制度があるのを知っていますか?

条件さえ満たしていれば、男女問わず誰でも利用できるこの制度を「育児休業給付金制度」といいます。

この記事では育児休業給付金について、受給条件から延長や申請の方法について詳しく解説していきます。

なお、この記事の内容は2020年8月時点の厚生労働省の発表を元に作成しております。

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貰える?貰えない?育児休業給付金の支給条件とは

育児に専念する就労者のために、国がお金を給付してくれる育児休業給付金。

給付を受けるためには、いくつかの支給条件を満たしている必要があります。

条件①雇用保険に加入していること

雇用保険に加入していなければ育児休業給付金を受け取ることはできません。

雇用保険の加入条件は以下の3つです。

  • 1週間に所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上働く見込みがあること
  • 学生ではないこと

例えば、過去2年間就労していたとしても1週間の労働時間が20時間未満の場合は雇用保険に加入していないため、育児休業給付金を受け取る資格がない、ということになります。

短時間パートや労働時間が不規則な場合は雇用保険に加入していない可能性があるので注意しましょう。

また、学生の場合も雇用保険には加入できませんが、企業からの内定通知と卒業見込み証明書を有して働いている、学校の休学中に働いている場合などは例外として雇用保険の加入対象となります。

条件②過去2年間で11日以上就業している月が12カ月以上あること

育児休業給付金を受給する日からさかのぼって、11日以上働いている月が12カ月以上あれば育児休業給付金を受給できます。

ちなみに、有休消化をした日も就労日としてカウントされます。

ただし、11日以上働いていたとしても週の所定労働時間が20時間未満であれば雇用保険に加入していないため育児休業給付金を申請することができません。

育児休業給付金はいつまでに申請すればいい?

会社を通じて申請をする場合は、産休(出産予定日の6週間前から出産後8週間)終了の1ヵ月前までに申請が必要です。

例えば、産休が5月10日に終わるとすれば4月10日までに申請をしている必要があります。

個人で申請する場合は育児休業が開始した日から4か月後の末日までが申請期限です。

例えば、3月15日に育児休業が開始したとすると、7月31日が申請期限になります。

育児休業は最大で何年取れる?

育児休業の期間は基本的に子供が1歳になるまでですが、延長申請をすれば最大2年まで延長することができます。

半年を単位に、「1歳から1歳6カ月まで延長」と「1歳6カ月から2歳まで延長」の2度、延長申請の機会が設けられています。

1歳から1歳6カ月まで延長する場合は、1歳の誕生日の2週間前までに。

1歳6カ月から2歳まで延長したい場合は、1歳6カ月になる次の日の2週間前までに申請をしましょう。

とはいえ、延長を希望するには条件があります。

子供が1歳、もしくは1歳6カ月の時点で

  • 保育所に入所を希望しているが入れるめどが立っていない
  • 保育者の離婚、病気、介護などの理由で復職が難しい

など、延長する必要性が認められなければいけません。

また、保育所に落ちたという役所からの書類や母子手帳の写しなど、延長理由を証明する書類も提出する必要があります。

育児休業給付金の申請に必要な書類について

■母子手帳は撮影用に作成した架空のものです。また表紙の赤ちゃんのイラストは、この素材製作者の著作物を使用しております。

実際に育児給付金を受給するために揃える必要書類は以下5点になります。

ポイント

  1. 母子手帳の写し
  2. 給付金を受け取る口座番号がわかるもの(キャッシュカードのコピー、通帳の写しなど)
  3. 育児休業給付受給資格確認票
  4. 育児休業給付金支給申請書
  5. 貸金台帳、または出勤簿

会社を通じて育児休業給付金を申請する場合は、1~2のみ用意すれば大丈夫ですが、もし個人で申請する場合は1~5全ての書類を用意する必要があります。

5の書類は申請書の内容を証明するために必要なもので、事業主に依頼して事前に手に入れておくものです。

3と4の書類は事業所の所在地を管轄しているハローワークで交付しているので、取得しておきましょう。

育児休業給付金を受け取るまでの手順

それでは、実際に育児休業給付金を受け取るまでの手順を見ていきましょう。

会社を通じて受給する場合

ポイント

  1. 会社に育児休業の申し出をする
  2. 会社がハローワークへ育児休業給付受給資格確認票、育児休業給付金支給申請書を申請
  3. 会社から渡される育児休業給付受給資格確認票、育児休業給付金支給申請書へ必要事項を記入し、母子健康手帳、受取口座の通帳写しをあわせて会社に提出する
  4. 会社側が必要書類をあわせてハローワークへ提出

個人で手続きを行い受給する場合

ポイント

  1. 会社に育児休業を申し出て、貸金台帳、または出勤簿を貰う
  2. 会社の所在地を管轄しているハローワークで育児休業給付受給資格確認票、育児休業給付金支給申請書を発行してもらう
  3. 書類に必要事項を記入し、母子手帳の写し、受取口座の写し、貸金台帳など必要書類を添付してハローワークへ提出

育児休業給付金は2カ月ごとに申請しなければいけない

申請後、受給を認められた場合は確認通知書と共に次回提出用の育児休業給付金支給申請書が同封されて渡されます。

これは2か月後に再度申請する際に使用するので、大切に保管しておきましょう。

2回目以降の申請に必要な書類は

  • 育児休業給付金支給申請書
  • 貸金台帳、または出勤簿

の2つです。

会社を通じて受給している場合は、育児休業給付金支給申請書に必要事項を書いて会社に提出を、個人で行っている場合は必要書類を揃えてハローワークに提出しましょう。

なお申請、振込ともに2カ月単位で行われますが、希望をすれば1カ月ごとに申請、振り込みを行うことも可能です。

詳しくは会社の総務、もしくはハローワークに申請時に問い合わせてみて下さい。

育児休業給付金はいつ頃振り込まれるの?

育児休業給付金は、申請が受理されるまでに約半月かかり、受理後振込口座に入金されるまで約1週間かかると言われています。

また、支給は原則2カ月に1回行われるため、初回振り込みまでには申請してから約3カ月、その後は約2カ月ごとに支給される予定です。

パパが育休を取る場合も、育児休業給付金が申請できる!

男性も育児休業を取得する場合は、育児休業給付金を受給することができます。

妻の職業は特に問われないため、専業主婦の場合でも受給は可能です。

もちろん、妻も就労していて育児休業給付金を貰う場合でも、同時に取得できます。

パパでも育児休業は取れる!「パパ休暇」と「パパ・ママ育休プラス」について

男性が取得できる育児に関する休業制度として「パパ休暇」と「パパ・ママ育休プラス」というものがあります。

パパ休暇は育児休業が2度取得できる

パパ休暇を利用するための条件は

  • 子供が生まれてから8週間以内に育児休業を取得していること
  • 子供が生まれてから8週間以内に育児休業を終了していること

です。

女性の産後休業期間中に育児休業を申請し取得していれば、その後子供が1歳になる誕生日の前日までに、もう一度育児休業を取得可能になります。

2度目の育児休業には、特に取得日数の指定や上限・下限などはありません。

パパママ育休プラスを利用すれば、1歳2カ月まで育休が取れる

パパママ育休プラスは、原則子供が1歳になる前日まで取得できる育休が、女性・男性のうち後から育休を取得した方がプラスで2カ月育休を取得できる、という制度です。

パパママ育休プラスは

ポイント

  1. 女性が1年間の育休を終了後、続けて男性が2カ月の育休を取得する
  2. 女性が1年間の育休を取得している間に、男性が育休を開始、子供が1歳2カ月になるまで男性が育休を取得する
  3. 女性が育休を半年取得して復帰、その後子供が1歳になる前日までに男性が2カ月育休を取得

など、様々な取得のバリエーションがあります。

育休の同時取得はもちろん、女性が育休を終了した時点で男性に交代する、女性の育休取得後間をあけて男性が育休を取得する、などライフスタイルや子供の成長度合いにあわせて育休が取得できるのが魅力です。

ただし、パパママ育休プラスを利用するためには3つの条件があります。

  • 子供が1歳になるまでに女性が育児休業を取得している
  • 育児休業開始予定日が、子供の1歳の誕生日より前であること
  • 育児休業開始予定日が、女性の育児休業の初日以降であること

例えば、女性が育児休業を取得していなければもちろんパパママ育休プラス制度は利用できません。

また、育休は子供が1歳になる前日までにしか取得できないため、それ以降は取得することはできません。

さらに、育休の原則である「親1人当たりの育児休業取得日数は最大1年間」はそのまま採用されるので、両親共に最大で取れる育児休業日数は1年間のままです。

パパ・ママどちらか一人が1歳2カ月まで連続して育休を取得できるわけではありません。

1年を超えて取得する場合は必ず延長申請が必要です。

パパ休暇とパパママ育休プラスは併用できる

女性の産休中に1度目の育児休業を取得、その後女性の育児休業開始後にパパ休暇制度を利用して2度目の育休を取得、さらにパパママ育休プラス制度を利用して2度目の育休を1歳2カ月まで取る、といったことも可能です。

パパ休暇、パパママ育休プラスを利用しないことも可能

2度も長期的に休めない、育休は1週間程度を1度取るのが限界、という方は制度を利用せず、往来通りの育児休暇を取得することも可能です。

その場合の条件は女性の場合とほぼ同じになります。

唯一違うのは、女性の場合は、産後8週間まで産後休暇(産休)となり、産休が終了した次の日から育児休業が始まりますが、男性は子供が生まれた日から育児休業を取得できる点です。

もちろん、後から「やっぱり2度目の育休を取りたい!」と思った時は条件さえ満たしていれば取得が可能です。

子供が生まれるとライフスタイルも一気に変わり、最初は必要ないと思っていた育児休業が必要になった!なんてこともあるかと思います。

育児休業を取る場合は、2度目の取得の事も考えて、できるだけ女性の産休中に取り終えておくことをおすすめします。

育児休業給付金は最大いくら貰える?対象月収の上限・下限に注意!

育児休業給付金は、育児休業開始日から180日までは休業前に得ていた給料の約67%が支給されます。

その後、育児休業が終了するまでの間は休業前に得ていた給料の約50%が支給されます。

例えば、月20万円の給料で働いていた場合

  • 育児休業開始日から180日まで・・・毎月約13.4万円
  • 181日~育休終了まで・・・毎月約10万円

この金額が2カ月ごとに2カ月分まとめて振り込まれる計算になります。

ただし、これは育児休業中に会社から給料が支払われない場合です。

何らかの理由で休業中も会社から給料が支払われる場合は、金額に応じて受給金額も変わります。

毎月の月収に対して13%以下の賃金が毎月支払われる場合

13%以下の場合は、月収の67%相当額が支給されます。

ただし、休業開始から6カ月経過すると「月収に対して30%以下の賃金が支払われた場合に月収の50%相当額が支給」に割合が変化します。

毎月の月収に対して13%超~80%未満の賃金が毎月支払われる場合

月収の80%相当額から、実際に会社から支払われた金額を引いた差額分が支給されます。

例えば、月収が20万円で育休中も会社から50%の10万円が毎月支払われる場合、月収の80%の相当額である16万円から、実際に支払われる10万円を差し引いた6万円が毎月育児休業給付金として支払われます。

なお、休業開始から6カ月経過すると、「月収に対して30%超~80%未満の賃金が支払われた場合」に割合が変更になります。

支払われた金額との差額が支給されることに変更はありません。

毎月の月収に対して80%以上の賃金が毎月支払われる場合

この場合は、育児休業給付金は支給されません。

育児休業給付金を算出する月収の上限・下限と支給額の上限について

育児休業給付金の金額は、休業前に支払われている月収を元に算出されます。

計算に使用する月収には下限と上限が定められており、上限は454,200円、下限は75,000円となっています。

例えば月収が100万円あったとしても、支給額を算出する際には月収が454,200円であるとして計算されてしまうんです。

同じように月収が75,000円を下回る場合でも、支給額を算出する際には75,000円の月収があるとみなした上で支給額が算出されます。

なお、2020年(令和2年)8月1日時点の支給上限額は

  • 育児休業開始日から180日まで(支給率約67%)・・・毎月305,721円
  • 181日~育休終了まで(支給率50%)・・・毎月228,150円

となっています。

育児休業給付金の上限額は毎年8月1日に更新されます。

退職・転職・2人目の妊娠…育児休業給付金はどうなる?

ここでは、育児休業中に退職や転職、2人目の妊娠をした場合にそれぞれ育児休業給付金は受給できるのか?を解説していきます。

育児休業中に退職した場合

育児休業中に退職すると、退職日から換算して一つ前の支給単位期間で給付が終了となります。

なお、基本的に既に受給した給付金について返金を求められることはありません。

ですが、育児休業を開始した時点で退職が確定していたにも関わらず不正に育児休業給付金を受給していたと判断された場合は、雇用保険法違反として処分を受ける可能性があります。

育児休業中に転職した場合

こちらも、転職する際に前の会社を退職することになりますので、育児休業給付金の受給は終了となります。

また、転職後は「過去2年間で11日以上就業している月が12カ月以上あること」という支給条件を満たすまでは第二子以降を妊娠した場合でも育児休業給付金は受給できないのでそちらも注意が必要です。

育児休業中に第二子を妊娠した場合

保育園に預けられない等の理由で育休期間を延長している間に第二子を妊娠した、というケースも考えられますよね。

もし第一子の育児休業中に第二子の産休期間が重なると、その時点で第一子の育児休業期間は終了し、第一子の育児休業給付金は受給できなくなります。

また、妊娠時期によっては「過去2年間で11日以上就業している月が12カ月以上あること」という条件を満たせない可能性もありますよね。

しかし、育休開始前の2年の間で妊娠・出産のため30日以上賃金の支払いを受けることができない期間があった場合、さらに過去2年、つまり最大4年前までを対象にさかのぼることが認められます。

4年前までさかのぼれば受給資格を満たせる、というケースも多いので、連続でも問題なく育児休業給付金を受け取れる可能性が高くなるんです。

まとめ

子供を育てている間、会社の代わりに国がお金を支給してくれる制度を育児休業給付金といいます。

男女問わず子供が1歳になるまで受給することができ、条件によっては2歳まで受給を延長することができます。

とはいえ、誰もが利用できる制度ではありません。

受給するためには、雇用保険に加入している、過去2年間で11日以上働いている月が12カ月以上あるなどいくつかの条件を満たしている必要があります。

育児に専念しながら給付金を受け取ることができるのはとてもありがたい制度ですよね。

条件さえ満たしていれば、正社員でなくても受給することができる制度です。

いざ子供が生まれる時に慌てることのないよう、余裕をもって準備しておくことが大切です。

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