子供の身長をなるべく伸ばしてあげたい、と多くの親が思っています。
身長が高ければ、部活動で活躍できたり洋服をおしゃれに着こなせたり、子供にとってうれしいことがたくさんあります。
身長が伸びる時期を成長期と呼び、女子の成長期は11歳前後です。
成長期が終わると身長の伸びが緩やかになって身長が止まりますが、より身長を伸ばしたい場合、身長が止まる前のサインが気になるのではないでしょうか。
この記事では、女子の身長が止まるサインや身長を伸ばす方法、女子ならではの成長期の注意点などを紹介します。
女子の身長が止まるサインはある?
身長が完全に止まる明確なサインはありませんが、初潮(初めての生理)は成長期が終わりのサインと言われています。
成長期は思春期に起こり、思春期が開始すると1〜2年後に成長期のピークが来て、この時期を「成長スパート」と呼びます。
女子の思春期の始まりは8歳前後で、思春期以前の4歳〜8歳までは年間5cm〜7cmほど伸び、成長スパートの期間は11歳前後で年間7cm〜8cmほど伸びるのが平均的です。
女子の思春期の開始は胸がふくらみ始めるのが目安で、思春期の終盤に初潮がくるのが目安になります。
思春期の終わりとともに成長スパートも落ち着き、身長の伸びが緩やかになることから、「初潮がくると身長が止まる」「初潮が身長が止まるサイン」と思われています。
しかし生理がきた後も平均的に5cmほど伸びるので、身長が止まるわけではありません。
初潮がくると身長が急激に伸びることはほぼなくなりますが、身長が止まるサインではなく、「初潮は思春期と成長期が終盤のサイン」と言えるでしょう。
そのため初潮を遅らせると身長を伸ばす期間が長くなるとの考え方があります。
実際初潮を遅らせる治療がありますが、病気に対する治療なので一般的な成長をしている子は対象外です。
身長の伸び始めるサインに注目!家庭でできる4つのサポート
身長が止まりそうになると「これ以上伸びないかもしれない」と不安になり、止まるサインが気になってしまいますよね。
しかし重要なのは止まりそうなときではなく「伸び始め」で、身長を伸ばすためには急激に伸びる「成長スパート」を見逃さないことです。
成長スパートを知るための「成長曲線」と、子供の身長を伸ばしてあげる生活サポートについて解説します。
成長曲線とは?
成長曲線とは子供の身長と体重を記録してグラフにするもので、母子手帳や学校の身体測定表に付随されているものより、もっと細かく記録できます。
成長曲線を書くことで、身長が急激に伸びる「成長スパート」を知ることができるので、ぜひ記録しましょう。
前述したとおり、女子の成長期は11歳前後で、そのころに身長が急激に伸びたら成長スパートのサイン。
成長スパートの時期により多くの栄養素をバランスよく摂取したり適度な運動や睡眠を取ったりすることで、身長を伸ばすサポートが可能です。
食事で大切な栄養素は?
食事は身長が伸びる環境づくりとして大切な土台です。
骨が伸びることによって身長が伸びるので、「カルシウム」が摂れる牛乳を飲むといいですが、骨にはカルシウムだけではなく「タンパク質」も重要です。
カルシウムは
- 牛乳・チーズなどの乳製品
- ナッツ類
- 小魚
- 海藻類
に多く含まれます。
タンパク質は
- 肉類
- 魚類
- 緑黄色野菜
- 根菜類
- 卵
- 大豆製品
に多く含まれるので、意識して料理に取り入れましょう。
最近では両親ともに忙しく家庭での食の簡素化が進んでいますが、インスタントや外食が多いと栄養が偏りがちになります。
身長を伸ばすためにはバランスの取れた食事を3食摂るのが大切ですが、栄養素を考えて何種類も品数を作るのは大変ですよね。
そこでおすすめなのが「味噌汁」「スープ」「お鍋」です。
前述した食材をすべて入れて簡単に作ることがでるので、必要な栄養素が1品で摂れますし、汁ごと飲めるので食材の栄養素が溶け出しても大丈夫。
味噌汁を例にすると、「味噌」や具の定番の「豆腐」は大豆製品でタンパク質が、「ワカメ」などの海藻類でカルシウムが摂れるのでおすすめです。
洋風スープや中華風、お鍋など味のバリエーションが豊富なので、飽きずに食べられます。
また、骨の成長には「成長ホルモン」が必要不可欠で、成長ホルモンを促進するには「亜鉛」「アミノ酸」などの栄養素が欠かせません。
亜鉛やアミノ酸は
- マグロ
- 肉類
- 大豆製品
- 牡蠣
- ナッツ類
に多く含まれるので、カルシウムとタンパク質に加えて摂取したい栄養素です。
適切な運動はどれくらい?
身長を伸ばすためには、骨に刺激を与る運動が効果的です。
成長に欠かせない「成長ホルモン」は運動すると分泌され、骨の発達や刺激になって身長が伸びるので、成長スパートの時期に定期的に運動するようにしましょう。
1日のなかでトータル1時間くらいの運動がおすすめです。
バスケやバレーボールは身長が伸びると言われますが、「このスポーツをすれば身長が伸びる」わけではありません。
走ったり飛んだりが骨への刺激になるので、休み時間に友達と外で追いかけっこをしたり縄跳びをしたり、運動系の習い事や部活動をがんばるのも十分な運動になります。
一方「成長スパート」の時期だからと無理して運動すると、骨や関節への負担がかかり身長の伸びを妨げることがあるので、過度な運動は控えましょう。
睡眠で気をつけることは?
身長を伸ばすための「成長ホルモン」は、寝ているときにたくさん分泌されます。
成長ホルモンは脳も寝ている「ノンレム睡眠」のときに分泌しますが、夜に何回も起きるようだとノンレム睡眠の時間が短く、睡眠時間は長くても質の悪い睡眠となってしまいます。
質のよい睡眠のために取り入れるとよいのは4つです。
- 平日・休日関係なく同じ生活リズムのにする
- テレビ・ゲーム・スマホは寝る1時間前までにやめる
- 寝る前に激しい運動をしない
- 夕食や感触は寝る2時間前までに済ませる
成長スパートの時期は、勉強や趣味などでつい夜更かししたくなる時期ですが、身長を伸ばすためにしっかり寝ることが大切です。
女子は成長期に要注意することは?
成長スパートでは身長も伸びますが体重も増えます。
女子は体が丸みを帯びてくるので、体重増加も含めて太ったように感じる子がいるかもしれません。
思春期で気持ちが不安定な時期でもあるので、自分の外見を気にしてダイエットをする子がいますが、身長の伸びに影響するので要注意。
身長の伸びと体重の増えはセットで自然なこと、体重ばかりを気にして食事制限すると栄養素が足りず身長が伸びない可能性が出てきます。
体型が気になるのであればなおさら、食事を抜かずバランスの取れた食事を3食摂ることが必要です。
対策としては、「カロリーの高いスナック菓子」「菓子パン」「ファーストフード」などを避けましょう。
おやつはカルシウム豊富な小魚、お肉は鶏肉の、特に胸肉とささみがカロリーが低くタンパク質が多いのでおすすめです。
鶏肉ばかりでなく、豚肉には糖質をエネルギーに変える「ビタミンB」が、牛肉には成長を促す「亜鉛」が豊富なので、偏らないように気をつけましょう。
成長スパートが終われば、身長の伸びだけでなく体重も落ち着いてきます。
一時的なことなので、気にし過ぎる必要はありません。
身長が早く止まる・伸びない時は病気の可能性あり
想像より早く身長の伸びが止まる、周りと違って伸びない場合、病気の可能性があります。
楽観的に様子を見ていると身長を伸ばす機会を逃してしまうので、これから解説する症状に当てはまるようなら、早めに病院に行くことを検討しましょう。
成長曲線を書いていると、成長スパートだけでなく病気にも気づきやすいです。
思春期早発症
思春期早発症は通常より早く思春期に入り、男子より女子のほうが3〜5倍多い病気です。
思春期が早く始まると成長期の期間が短くなり、身長が早く止まってしまう可能性があります。
前章で少し触れた初潮を遅らせる治療とは思春期を遅らせるもので、思春期早発症の子が対象です。
主な症状は3つで
- 7歳半くらいで胸がふくらみ始める
- 8歳未満で脇毛、陰毛が生える
- 10歳半未満で初潮がくる
この症状に当てはまる場合、思春期早発症の疑いがあります。
女子の場合の成長スパートは11歳前後ですが、それより早く身長が伸び始めます。
一時的に身長が伸びますが、成長スパートの期間が短いので早くに身長が止まってしまい、通常の思春期の子供と比べて身長が低い傾向です。
代表的な原因は
- 性ホルモンの早期分泌
- 脳腫瘍などの脳の病気
- 副腎や性腺の病気
の3つです。
もし平均より早く思春期の症状が見られたら、上記の疾患かもしれないので、早めに病院で診察を受けましょう。
低身長
子供の身長は親の遺伝や体質によりますが、極端に身長が低い場合は成長ホルモンの分泌が悪い場合や染色体や骨の病気の場合があります。
母子手帳の身長記録や学校の健康診断記録表で、長い期間標準より下が続くようなら、「低身長」かもしれません。
成長曲線で言うと「-2.0SD」より下が、低身長の疑いがあります。
低身長は名前の通り、最終的な身長が標準よりかなり低く、女子は最終的に147cm以下で終わる可能性があります。
まとめ
女子の身長が止まるのにはっきりしたサインはありませんが、身長の伸びが緩やかになる初潮が、成長期の終わる目安です。
身長が止まるサインより大切なのが、身長が急激に伸び始める「成長スパート」のサインです。
成長スパートは「成長曲線」を書くことで見逃しにくく、この時期に「栄養素が多く摂れる食事」「適度な運動」「質のよい睡眠」をすると身長を伸ばす可能性が高くなります。
身長が伸びると同時に体重が増えて、体が女性らしい丸みを帯びてくるので、女子は体型を気にしてダイエットしたくなるかもしれません。
しかし成長スパートの時期のダイエットは身長の伸びを妨げるので注意が必要です。
身長が早く止まったり伸びなかったりするときは病気が隠れていることがあるので、早期発見のためにも成長曲線を書くのが重要になります。
成長曲線を書いて成長スパートの時期をしっかり把握し、子供の身長を伸ばすサポートをしてあげましょう。