日々の子育てやママ友との会話の中で、「うちの子って育てにくい子なのかも」「うちの子は周りと違うことが多い」などと感じたことはないでしょうか。
たとえば子供が光や音に過剰に反応したり、人が多いところに行くとすぐに疲れてしまったり……。
ほかの子供と違う行動が見られると、親としては気になってしまいますよね。
周りより少し敏感な子供は、HSCかもしれません。
今回は、HSCの症状やセルフチェック方法などを紹介します。
子供について気になる症状がある場合は、ぜひセルフチェックをしてみてください。
HSCとは?
HSCとは、Highly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)の略です。
1996年に、アメリカの精神分析医であるエレイン・アーロン博士が提唱した概念で、人一倍感受性が豊かで敏感な子供のことを指します。
HSCは生まれつきの気質で、病気ではないため治療法もなく、原因についてもいまだ研究段階です。
遺伝が関係しているという医師もいますが、はっきりとした原因は特定されていません。
人種や性別に関係なく、15~20%の子供がHSCであるとされています。
ちなみに、敏感な大人のことはHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)を略してHSPと呼びます。
HSCは2つのタイプに分類される
敏感な子供と聞くと、内気で消極的というイメージをするかもしれませんが、すべてのHSC・HSPが内向的だとは限りません。
70%のHSC・HSPは内向的ですが、30%は外交的です。
この外交的なHSC・HSPのことは、HSS型(High Sensation Seeking)と呼ばれています。
HSS型は、HSC特有の敏感さに加え、好奇心旺盛で刺激を求める人や、刺激を求めるけど飽きっぽい人などが多いです。
たとえば、旅行は好きだけれどすぐに疲れてしまう、人と仲良くなるのは得意だけどすぐに距離を取りたくなってしまうなどといったことがあれば、HSS型かもしれません。
敏感さと好奇心というアンバランスな感性を持っているため、刺激を追い求めてもすぐにその刺激に疲れてしまうようです。
23の質問に答えて子供がHSCかどうかをチェックをしてみよう!
ここでは、HSCを提唱した精神分析医のエレイン・アーロン博士の著書「ひといちばい敏感な子」にある、HSCかどうかが判断できる23の質問を紹介します。
下記の質問で、13個以上の質問に子供が当てはまる場合は、HSCである可能性が高いです。
また、当てはまった質問が1~2だったとしても、その度合いが極端に強いようならHSCの可能性があります。
ポイント
- すぐにびっくりする
- 服の布地がチクチクしたり、靴下の縫い目や服のラベルが肌に当たったりするのを嫌がる
- 驚かされるのが苦手である
- しつけは、強い罰よりも、優しい注意のほうが効果がある
- 親の心を読む
- 年齢の割りに難しい言葉を使う
- いつもと違う臭いに気づく
- ユーモアのセンスがある
- 直感力に優れている
- 興奮したあとはなかなか寝つけない
- 大きな変化にうまく適応できない
- たくさんのことを質問する
- 服がぬれたり、砂がついたりすると、着替えたがる
- 完璧主義である
- 誰かがつらい思いをしていることに気づく
- 静かに遊ぶのを好む
- 考えさせられる深い質問をする
- 痛みに敏感である
- うるさい場所を嫌がる
- 細かいこと(物の移動、人の外見の変化など)に気づく
- 石橋をたたいて渡る
- 人前で発表するときには、知っている人だけのほうがうまくいく
- 物事を深く考える
HSCの特徴とは?
ここでは、HSCの主な特徴を紹介します。
もちろん、すべてのHSCに当てはまるわけではありませんが、下記のような特徴が見られることが多いです。
細かいことに気づく
HSCは、普通なら見逃してしまうようなことにもよく気が付きます。
たとえば、下記のような事柄があげられます。
ポイント
- リンゴにほんの少しだけ皮が残っているだけで嫌がる
- 机の上にある物の配置を変えただけで気づく
- においに敏感で洗剤を変えただけで嫌がる
親からすると、このようなことがいくつもあれば「めんどくさい」と感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、細かいことに気づくということは、大人が見落としがちな側面から物事を見られるということでもあります。
心に余裕のあるときは「よく気が付いたね」といって、褒めてあげるといいでしょう。
刺激を受けやすい
HSCは、自分の身の回りの出来事をすべて深く理解しようとします。
そのため、ほかの人よりも神経が疲れやすくストレスもたまりやすいです。
たとえば、下記のような事柄があげられます。
ポイント
- 人の多い場所に行くとすぐに疲れてぐったりしてしまう
- 服のタグが気になったり、服が少し濡れただけで嫌がる
- 痛みに弱い
とくに大勢の人がいる場所では過剰な刺激を受けてしまい、普段できていたことができなくなってしまうこともあります。
たとえば、演劇発表会の練習ではうまくセリフがいえていたのに、大勢の人が見ている本番ではセリフが出てこなくなったり、ステージに立つことすら嫌がったり。
人が多い場所でも子供が本領を発揮できるようにするには、予行練習を繰り返し行うことが大切です。
また、予め子供に「誰でも気持ちが高ぶると、いつもの調子がでないこともあるよ」と、失敗を恐れさせないよう声がけをしてあげると緊張が和らぐでしょう。
他人の気持ちに敏感で共感力が高い
HSCは、自分の気持ちだけでなく他人の気持ちにもとても敏感です。
観察力に優れており、とくに親のしぐさや表情、声のトーンをよく見て気持ちを察知します。
しかし、共感力が高いゆえに「悲しい」「不安」といったマイナスの感情にも強く引っ張られてしまいます。
たとえば子供にこんな経験はないでしょうか。
ポイント
- 怒られている人を見て泣き出してしまう
- ドラマの登場人物に強く感情移入してしまう
共感力が高いことは決して悪いことではありませんが、ときには感情が引っ張られて自分の気持ちを見失ってしまうこともあります。
そのため、子供が周りの気持ちを敏感に察知していると感じたときは、親が「あなたはどう思うの?」と聞いてあげるといいでしょう。
HSCが幸せに生活するために親ができることは?
HSCは、常に気を張って生きています。
人より感性が豊かで刺激を受けやすいがために、周りから「協調性がない」「変わっている」と思われてしまうこともあります。
そのため、いつも自分自身を肯定できずにしんどい思いをしている子も少なくありません。
親は、ありのままの子供を認めてあげてください。
たとえば細かいことによく気が付く子供に対し、共感できることは「そうだね」といい、またその感性を「よく気が付いたね!」と褒めてあげるといいでしょう。
そうすることで子供の自己肯定感がどんどん高まり、子供自身が生きやすくなるため、周りの子とうまく馴染めるようにもなりますよ。
HSCは個性であり長所
HSCは病気ではなく生まれ持った個性です。
元々運動が苦手な子がいるように、HSCは人より敏感という個性なのです。
この「敏感」という個性は、子供自身短所として捉えてしまいがちですが、親が子供を肯定してあげることで「敏感」な特性がうまく作用し長所になります。
たとえば、HSCの特徴である「共感力が高い」は、言い換えれば相手の立場に立って物事を考えられるということです。
HSC・HSPは、敏感な個性を長所として生かし、医者や弁護士、芸術家などとして活躍している人も多いですよ。
まとめ
HSCは、感受性が豊かで刺激に敏感な子供のことを指します。
HSCは敏感がゆえに、できないことばかりに目を向けて落ち込みやすいです。
また、親は子供が周りと少し違うということで負い目を感じたり、育て方がわからないと悩んでいる場合が多くあります。
HSCが周囲に馴染んでのびのびと生きていくには、日ごろから親が子供のありのままを肯定してあげることが大切です。
子供の気持ちに共感し、あなたの考えは間違っていない、ママやパパはいつでも味方だよと口にだして伝えることで、子供は安心して自分自身を肯定できるようになります。
そうすることで子供は、敏感という自分の個性を愛せるようになり、今よりずっといきいき過ごせるでしょう