最近「毒親」とも呼ばれるようになった、子離れできない親。
家庭を持った子供に干渉する、子供の全てをコントロールしたいなど、子離れできない親のエピソードを身近に聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
自分が毒親になってしまうのが恐ろしい、子離れがスムーズにできるだろうか?と不安な方のために、この記事では子離れできない親の取りがちな態度、なりやすい人の特徴、そして子離れのための手順などを詳しく解説していきます。
子離れできない親の心理とは?
子離れとは、「子供が成長したとき、親が保護者としての役割を離れ、個人として子供を尊重するようになること」(子離れ(こばなれ)の意味 - goo国語辞書より)をいいます。
しかし、子離れができない親は、子供と自分を別の個人と分けて考えることができません。
子供の成長を理解しない、子供に依存する、もしくは依存して欲しがる…など、精神的にも肉体的にも様々な負担を子供にかけるだけでなく、それが親子として当然だと思っている場合もあるんです。
子離れできない親がやりがちな、子供への態度
子離れできない親、と一言でいっても、子供への態度にはいくつかの種類があります。
①子供を支配下に置きたい
- 子供は常に親の言うことを聞くべきと思っている
- 子供が自立しようとすることを親への反抗と捉える
- 「あなたには無理」「どうせできない」と否定する
子供を支配下に置きたい親は、
など、子供の反抗や自立を認めず、子供を完璧にコントロールしようとします。
親の言うことに少しでも口答えすれば怒鳴りつける、無視するなども支配下に置きたい親がとりがちな行動です。
また、子供が自分の思惑と違うことを口にすると、彼らは「どうしてそんなことを言うのか」「親に逆らうなんて悪い子だ」と頭ごなしに否定します。
子供が親に反抗をするのは、自立と成長のために必要なステップですが、それすら認めず常に自分のいうことを聞く、自分に都合よい子供を求めます。
②子供を自己実現の道具に使う
子供を自己実現の道具に使う親は、
- 親が叶えられなかった願いを子供に託す
- 親の評価につながることを子供に強制させる
- 親の趣味や生活につき合わせる
といったように、子供に過去の自分のやり直しを要求する場合が多くあります。
例えば、習えなかった習い事を強制したり、自分が敗れた夢を追いかけさせたりと、子供の個性を認めず負担を強制するケースです。
他にも、親の教育が良い、親がしっかりしているなど、世間から親が認められるために効果的な行動や言動を子供に強要するパターンもあります。
③子供にいつまでも味方でいて欲しい
子供にいつまでも味方でいて欲しい親は
- 子供を愚痴のはけ口にしている
- 友達のような親子関係を強要する
- 結婚した後も親を優先するのが当然と思っている
など、子供自身もいつまでも親を最優先に考えて当然と思っています。
親だけの問題に子供を巻き込んだり、親の意見が絶対的に正しいと肯定して欲しがるんです。
他にも、まるで友達同士のように出来事や考え方の共有、共感を強制することもあります。
親である自分を何よりも優先してくれないと気が済まない、というタイプです。
④子供に見返りを求める
子供に見返りを求める親は、
- なにかあるとすぐ「育ててあげたのに」と恩着せがましく言う
- 「お前を育てるのにいくらかかったと思っているんだ」と金銭的負担を口にする
- 自分が子供のためにどれだけ犠牲を払ったか伝えてくる
というように、親がかけた愛情分、子供からも返ってきて当然だ、だ考えています
しかし、親子愛は無償の愛とも呼ばれており、金銭や見返りを求めて注ぐものではないはずです。
いつまでも見返りに執着し、本人が頼んでもいないことを勝手にやった挙句、「せっかくやってあげたのに」という態度で恩着せがましく見返りを要求するタイプです。
⑤いつまでも子供のままでいて欲しい
いつまでも子供のままでいて欲しい親は、
- 子供の成長を嫌がる
- 子供が第二次性徴を迎えても、下着を買い替えたり正しい性知識を教えない
- 過干渉しないと気が済まない
など、子供の成長を認めようとしない、成長を否定するような態度を取ります。
思春期を過ぎているのに洋服の趣味や友人関係に口出しする、門限や家の決まりが異常に厳しい、女子の場合は身体にあった下着を与えない、といったこともあります。
いつまでも小さい頃の可愛い子供でいて欲しい、という気持ちが強すぎるあまり、成長していく子供を受け入れられないタイプです。
子離れできない親の元で育つと子供はどうなる?
子離れできない親の元に生まれた子供が、どのように成長するか説明していきます。
自立ができない
子離れできない親、つまり「子供は親の一部であり、親のために動いて当然」という考えに根付いて行動する親と共にいると、子供はいつも親を優先した行動を取るようになります。
親の言う通りにしか行動ができない、挑戦や失敗を経験させてもらえないまま育つと、ちょっとしたつまづきで大きく挫折してしまったり、自分で判断することができなくなったりしてしまいます。
主体性がなく、常に受け身になりがち
子離れできない親は、子供を常にコントロールし自分の思い通りにしようとします。
そのため、自分の意見を言う、考えるなど、積極的な行動を制限し、親の言うことを聞いておけば良い、という価値観を植え付けていき、子供自身が考えて行動する機会を奪い続けます。
そのまま成長してしまうと、誰かが指示をしてくれるまで動けない、受け身で主体性のない人間になってしまいます。
学校や職場など、人と関わって行く上で自分自身の意見を述べることができないと、人間関係の構築や仕事をスムーズに進めることが難しくなってしまいます。
子離れできない親に育てられた人に関する声
yahoo知恵袋に寄せられた、子離れできない親に悩む人の声には
- 上京して働いているのに毎日連絡が来る、返信がないと怒られる
- 旦那の母親が子離れできておらず、毎週末両親と食事をしてお小遣いをもらっている
- 妻が子供の言うことをなんでも聞きすぎて家のことを疎かにする
- 親の過保護と過干渉、一方的な八つ当たりが続き辛いが、一人暮らしを提案すると泣いて止められてしまい結局折れてしまう。
など、親に苦しめられている本人の声はもちろん、子離れできない親に育てられた配偶者によって、苦められている声も多くありました。
子離れできない親の元で育つと、苦しい子供時代を送るだけでなく大人になってからも自分の周囲の人に迷惑をかけるようになってしまいます。
子離れできない親になりやすい人の特徴
子供を必要以上に支配するのはもちろん悪いことですが、子離れできないのは親だけの責任とは言い切れません。
元々そうなってしまいやすい性格や、周りの環境によって子離れできない親になってしまうケースも存在します。
子離れできない親になりやすい人の特徴について説明していきます。
親自身も子離れできない親に育てられた
子離れできない親に育てられた人が親になり、同じような行為を繰り返してしまうケースです。
子供の意見を尊重する、子供を一人の個人として認める、という価値観がないため、同じような関わり方しかできません。
もしくは、自分が子供の頃苦しい思いをしたのだから、子供も同じ思いを味わうべき、と考えている場合もあります。
変化や成長といった現実を受け入れられない
自分の理想の通りに子供を育てたいタイプの親に多いパターンです。
子供が小さい頃は簡単にコントロールできるので可愛がりますが、成長して自分の意見を述べるようになったり、自分の理想の外見でなくなったりすると、子供の成長という現実から逃げて、いつまでも子供扱いをしようとします。
他にも、成長していくことを否定する、自分の知らないことを子供が経験することを制限しようとするタイプもあります。
他人と自分の区別が曖昧
子供との関係性に関わらず、他人と自分は別の人間でそれぞれ違う部分がある、ということを理解できないタイプです。
自分が好きな物は子供も好き、自分が嫌なことは子供も嫌、と信じ込んでいるため、子供が親を否定するような行動、言動をすることが許せません。
また、親のやることを子供は受け入れて当然と思っているので、自分の行為が受け入れられないと「良かれと思ってやったのに」「なんで喜ばないの?」など、押し付けがましい言動を取ることがあります。
無趣味、子供だけが生きがい
夫や親族との関係が希薄、周りに友人がいなく仕事もしていないなど、ワンオペ育児を余儀なくされた結果、子供だけが生きがいになってしまっているケースです。
悩み、喜び、悲しみなど考えること全てが100%子供のことばかりになってしまい、子に依存し続ける状態になってしまいます。
子供が親の元から離れようとしてもそれを邪魔し、いつまでも手元に置いておきたい、世話をしたいと考えてしまうのが特徴です。
一見すると愛情深い親のように見えますが、子供への過干渉や依存になりやすいタイプです。
人の話を聞かない、自分の意見が正しいと思い込みやすい
思い込みが激しく、他の人の意見を聞かないタイプです。
本来、人は他人とコミュニケーションを通じて、自分と異なる価値観に触れ成長していきます。
しかし、人の話を聞かず自分の意見が絶対と信じている人は、子供にも自分の価値観を押し付けそれ以外の価値観を認めることを許しません。
そのため、子供も歪んだ価値観を植え付けられる、自分の意見を言う機会を与えられないまま成長してしまう、といった弊害が出てしまいます。
子離れできない親にならないために!知っておくべき子離れの順序
子離れできないと、子供にはもちろん親にも良い影響はありません。
子育ては人生の一大イベントではありますが、永遠に続くわけではなく、終わった後も自分自身の人生が続いていきます。
子供に依存せず自分らしく生きるために、順序を踏まえて少しづつ子離れの準備をしていきましょう。
子離れの準備は小学生から
実は、子離れの準備は小学校低学年のうちから始まります。
まずは、親が見守りつつ学校の準備や部屋の片付け、洋服選びなど簡単なことから一人で挑戦させてみましょう。
難しいようでも、親が手を出すのではなく「どんな服が着たい?」「持っていくものは何?」と子供が自分で考え行動できるような声掛けでサポートします。
小学生のうちは、親が見守りつつ自分で考えて行動することを学ぶ時期です。
そのため、例え大人から見たら間違った選択をしていた場合でも(肌寒い日に半そでを着ていくなど)失敗から学ぶためにあえて口を出さないことも大切です。
本格的な子離れは思春期に入ってから
小学校高学年から中学生にかけては、心身共に急激に成長する思春期に差し掛かる時期です。
本格的な子離れはこの時期から始めましょう。
子供扱いや過度な干渉は辞め、適度な距離を意識して対等に向かい合うようにします。
とはいえ、社会的に危険な目にあう、行き過ぎた行動を起こすなどした場合は、しっかりと保護者として注意しなければなりません。
子供の意思を尊重しつつ、引き続き目を離さないように気を付けましょう。
子離れは大学生までに終了しておく
大学生になると一人暮らしを始める、家で食事をすることが減るなど今までよりもさらに家族と共にいる時間が減っていきます。
子供とはいえ、大学生は社会を学び巣立つための準備期間。
成人を迎え、社会的にも手を離れる前には子離れを終了しておかなければなりません。
まとめ
子離れできない親の態度や特徴は様々ですが、どのタイプにも「子供を思い通りに支配したい」という歪んだ気持ちが根差しています。
しかし、子離れできない親になってしまう理由は、周囲の環境や生い立ちなど本人のせいだけではない場合もあります。
とはいえ、子供を支配し苦しめて良い理由にはなりません。
子供の自立を促すためにも、小学生のうちから少しづつ子離れの準備をしていきましょう。