子供が学校に行きたがらなかったり、嫌そうに登校していたりすると、親はとても心配ですよね。
不登校の子供は7年連続で増加していて、文部科学省の調査によると、令和元年度の不登校の小中学生は18万人以上いることがわかっています。
子供がもし不登校や家に引きこもるようになったら、どうしてあげればいいかと悩みますよね。
選択肢としてあがるのが、フリースクールやセカンドスクールです。
そこでこの記事で、はフリースクールやセカンドスクールについての解説と、不登校や引きこもりになった子供のケアについて紹介します。
フリースクール(セカンドスクール)ってどんなところ?
フリースクールという名前には、いくつかの使われ方があります。
代表的なものに、
- アメリカの授業料無償の公立学校
- アメリカの低所得者のための授業料無償の学校
- 不登校や引きこもりの子供や大人が通う学校に類似した施設
があり、日本では3の意味で使われることが多く、この記事で紹介するフリースクールも3についてです。
フリースクールは、さまざまな理由から「学校に行けない・行きたくない」という子供たちの受け皿となる場所です。
「第2の学校」と考える方もいて、「セカンドスクール」と呼ぶ方もいますが、「フリースクール」が一般的な呼び方になります。
個人経営やNPO法人、ボランティア団体など民間の教育機関が運営しているので、スクールによって教育方針が異なり、
- 学校のようなカリキュラムで勉強するスクール
- 塾に似た小規模なスクール
- 不登校の子供たちが自由に出入りできるスクール
- 寮を備えて生活改善も指導するスクール
などさまざまです。
フリースクールの特徴は、
- 子供の自主性を尊重する
- スタッフと子供が対等な関係
となっていて、学校に通うのが難しい子供でも、新しい居場所につながる施設です。
フリースクールのメリット
子供が不登校になった場合検討するフリースクールですが、どんなメリットがあるか気になるところですよね。
ここでは、具体的なメリットを紹介します。
カウンセリングを受けながら勉強ができる
さまざまな要因から学校に行けなくなった子供は、精神的なケアが必要なケースがほとんどです。
フリースクールの多くは、カウンセラーが在籍していたり連携していたりするので、勉強面だけでなく精神面でのサポート体制が整っています。
同じ境遇の子供と出会える
学校では集団生活や社会性を学ぶ場でもあるので、不登校になると人との関わりが極端に減ってしまう心配がありますよね。
しかしフリースクールに通えば、同年代の子供との交流が期待できます。
またフリースクールに通う子供たちは似た境遇の場合が多いのが特徴なので、仲間も作りやすいでしょう。
勉強に遅れない
フリースクールの多くは、子供が勉強に遅れないようしっかりとサポートを行っています。
小学生はもちろんですが、中学生になると勉強の難易度が高くなり、勉強しない時間が長ければ長いほど追いつくのが大変です。
またほとんどの中学生は高校受験をするので、勉強が遅れると進学先の幅が狭くなってしまいます。
不登校になってもフリースクールで勉強をサポートしてもらえれば、希望の学校への進学を目指せます。
フリースクールのデメリット
フリースクールにはメリットだけでなく、当然デメリットもあります。
ここではいくつかのデメリットを紹介するので、フリースクールに通う前に念頭に置いておいてくださいね。
費用がかかる
フリースクールは法的に学校だと認められておらず、国からの補助もないので費用がかかります。
平成27年の文部科学省の調査によると、月額の平均額は33,000円で、入会金の平均額は53,000円です。
下の表は、文部科学省の「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」より抜粋した料金です。
会費(月額の授業料) | 団体・施設数 | 割合(%) |
〜5,000円 | 25 | 9.5% |
5,001〜10,000円 | 15 | 5.7% |
10,001円〜30,000円 | 100 | 38.2% |
30,001円〜50,000円 | 95 | 36.3% |
50,001円以上 | 27 | 10.3% |
入会金 | 団体・施設数 | 割合(%) |
〜5,000円 | 27 | 13.9% |
5,001円〜10,000円 | 36 | 18.6% |
10,001円〜30,000円 | 61 | 31.4% |
30,001円〜50,000円 | 35 | 18.0% |
50,001円〜100,000円 | 11 | 5.7% |
100,001円以上 | 24 | 12.4% |
この表から、親の経済的な負担が大きくなりるのがわかります。
さらに子供が高校生の場合、学校の学費とフリースクールの学費、両方が必要です。
出席扱いにならない施設がある
フリースクールに通う場合、もともと通っていた学校に籍を置いたままフリースクールを利用することになります。
フリースクールに通った日数が在籍校の出席扱いになる場合もあれば、ならない場合もあるので注意しましょう。
出席扱いになるかどうかは、基本的に在籍校の校長の許可制です。
フリースクールに通う前に、出席扱いになるか、フリースクールと在籍校と両方に確認しましょう。
フリースクールの数が足りない
令和元年度の文部科学省の調査によると、不登校の小中学生181,272人に対し、フリースクールのような民間団体や施設は約470です。
実際、不登校の小中学生181,272人に対し、フリースクールを利用したのはわずか6,328人でした。
不登校の子供の人数に対し、フリースクールの数が足りていないのが大きな課題と言えるでしょう。
フリースクール以外に支援を受けられる場所はある?
不登校や引きこもりの子供を支援する場所として、各市区町村の教育委員会が「教育支援センター」又は「適応指導教室」を運営しています。
長期欠席や不登校の小中学生を対象に、学校とは別の公的な施設の教室で学習支援をしながら、学校への復帰を目標にしている教室です。
市区町村の教員や、退職した元教員が担当し、臨床心理士がカウンセリングを行ってくれる場合もあります。
無料で通えて学校の出席として扱われるケースが多くなるためか、令和元年の利用者は21,695人と、フリースクールに比べて多い人数です。
復学を目標としている子供に向いていますが、一方でどうしても学校と似た環境になってしまうので、子供によってはフリースクールのほうが向いているかもしれません。
すべての市区町村で運営しているわけではないので、事前に自治体で確認が必要です。
子供が学校に行きたがらないときどうする?
子供が学校に行きたがらなくなり休みがちになると、次第に不登校や引きこもりになってしまうのではと不安になりますよね。
だからと言って、無理に学校に行かせるのは余計に行きたくなくなりますし、親が味方になってくれないと子供の気持ちが離れる原因になります。
まずはなぜ学校に行きたくないか聞きましょう。
人前での発表やテストなど、学校の特定の行事が嫌だから行きたくないのかもしれません。
その場合、先生に相談してその日だけ休んだり、保健室などの別の教室への登校を検討したりの対処ができます。
もし話したくない場合は、やはり無理に聞き出そうとせず、休ませてあげるのも一つの手です。
しかし休んだからといって自由にさせると、家が楽になり余計学校に行きたくなくなるかもしれません。
家では、ゲーム・テレビ・ネット・お菓子が自由になりやすいので、休んでもしっかり勉強させるのがおすすめです。
もしサボってしまったら、学校に行かないことではなく、勉強しなかったことを叱りましょう。
不登校や引きこもりになったときの子供のケアとは?
不登校や引きこもりは突然なるのではなく、学校を休みがちになり徐々に行けなくなります。
休みが増える前に改善方法がわかればいいですが、難しいケースが少なくありません。
もし不登校や引きこもりになってしまったら、親はまず子供の1番の味方でいてあげてください。
子供自身、学校に行かなければと思っていても行けず、原因を説明できないのかもしれないので、一緒に考え探るのもよいでしょう。
その際、責めたり追い詰めたりは禁物です。
また子供が学校に行きたい気持ちがあるなら、教室ではなく保健室でもよいなど逃げ道を作ってあげるのもありです。
無理せず、子供の気持ちに寄り添ってあげましょう。
もし不登校になったら不登校中の勉強は?
不登校になると、どうしても心配なのが勉強の遅れですよね。
不登校だけではなく、家から出るのも難しい場合は、より心配になるのではないでしょうか。
近年新型コロナウイルスの影響も重なり、通わなくても自宅でできる学習が注目されています。
モチベーションの維持のため塾に通う選択肢もありですが、家で学習できたら送り迎えの心配などなくメリットも多いですよね。
ここでは、自宅でできる学習や塾など、不登校の期間しっかり学習する方法を紹介します。
自主学習
学校の教科書や、書店で買える参考書や問題集で勉強する方法です。
自分のペースで勉強できるのがメリットですが、わからない箇所は回答を見るしか方法がなかったり先生に聞けなかったりするのはデメリットでしょう。
また、1人で行うのでモチベーションの維持が課題です。
通信教育
自宅学習と似ていますが、毎月学校の学習速度に合わせたテキストで勉強できるのが通信教育です。
進研ゼミやスマイルゼミなどが上げられます。
添削課題があり、子供に合った難易度のテキストを提供してくれる通信教育もあります。
自主学習と同様、やはりモチベーションの維持が課題です。
家庭教師
家でマンツーマンで教えてもらえるのが家庭教師です。
子供の学習状況に合わせてもらいやすく、勉強が苦手でも挫けにくいのがメリットです。
また、家族以外の人と交流できるのも、よい刺激になります。
しかし、他の学習方法と比べて費用が高い傾向にあります。
オンラインの塾
主に配信動画やDVDなどで勉強し、メールやチャットで質問や相談ができるのがオンラインの塾です。
最近は、リアルタイムで動画を配信し、同時に質問を受け付けてくれる塾もあります。
決まった時間に勉強できますし、家から出る必要がないのでハードルが低いと言えます。
しかし、家での学習はモチベーションの維持が課題になるでしょう。
集団塾
主に夕方から夜、10人以上の集団で授業を受けるのが塾です。
子供によっては、学校には行けないけれど塾には行けるパターンがあります。
集団とは言え目的は勉強なので、通っている子供同志のコミュニケーションがなくても大きな問題ではありませんし、塾では友達がいるケースもあります。
学校復帰の練習にもなるかもしれません。
一方勉強が苦手だと、周囲のペースについていけず挫折してしまう可能性があります。
個人塾
塾の教室をブースで分け、マンツーマンで指導してもらえるのが個人塾です。
1人の先生が複数の生徒のブースを回る個人塾もあります。
マンツーマンで指導してもらえるから、わからないところを解決してから進めるのがメリットですし、不登校の子供に配慮してくれるところもあります。
学習面だけではなく、自宅とは別の環境を持てるのも魅力です。
しかし、学校近くの塾では同級生と顔を合わせてしまうかもしれないので、配慮が必要です。
まとめ
日本でのフリースクールとは、不登校や引きこもりの子供や大人が通う学校に類似した施設の呼称です。
第2の学校と考え「セカンドスクール」と呼ぶ方もいますが、フリースクールのほうが一般的でしょう。
フリースクールは金銭的な負担や精神的な問題で、実際に通っている不登校の子供はあまり多くありません。
フリースクールだけでなく、行政が運営する「教育支援センター(適応指導教室)」もあるので、こちらも選択肢に入れてみてください。
勉強の不安もあると思いますが、通信教育やオンライン塾などが増えていて、子供に合ったものを選べるようになりました。
不登校や引きこもりになったら、無理に学校に生かせるのは逆効果なので、子供に寄り添い味方でいてあげることが大切です。
子供にとって1番よい方法を、一緒に考えていきましょう。