子供の学力は母親の遺伝子や学歴で決まるという話を聞いたことがあるお母さんも多くいるのではないでしょうか?
今さら変えられない事実によって子供の学力が運命づけられているとしたら、責任を感じてしまいますよね。
本記事では、子供の学力が母親しだいといわれる理由や、今からできるお子さんの学力アップを支える方法について解説しています。
子供の学力は母親で決まるって本当?
子供の学力は母親で決まるというのは本当でしょうか?
文部科学省が管轄する国立教育政策研究所の「親の所得・家庭環境と子どもの学力の関係」レポート(2018年3月)には、父親の学歴より母親の学歴のほうが、より子供の学力と強く関係しているという報告があります。
またアメリカの研究者ジェニファー・デルガド氏によると、母親と父親では子供に受け継がれる遺伝の内容が違うそうです。
記憶や思考、知覚など知性にまつわる遺伝子は母親から、攻撃性や衝動という本能は父親から子供に受け継がれると、報告されています。
これらの報告から、子供の学力は母親で決まるという認識が広まったのでしょう。
しかし、子供の学力は母親の学歴や遺伝だけで決まるものではありません。
家庭環境の影響も関係しています。
文科省の「父親の学歴より母親の学歴のほうが、より子供の学力と強く関係している」という報告についても、学歴が高い母親のほうが教育に関心が高く、子供にも学習する環境を作るため、子供の学力も高い傾向にあると考えられます。
学歴や遺伝子は変えられませんが、環境は今からでも変えられます。
今からできることに取り組めば、お子さんの学力にも変化が出るはずです。
子供の学力アップを手助けする3つの方法
経済学者である西村和雄氏と同志社大学の教授、八木氏の「子育てのあり方と倫理観、幸福感、所得形成-日本における実証研究-」という調査によると、支援型の子育てをする家庭環境のお子さんは安心感、前向き思考、学歴、所得において達成度が高いという結果が出ています。
支援型の子育てとは関心を持って見守るものです。
つまりお子さんとの時間を大切にし、いろいろな経験をさせる子育て。
具体的にどのようなことをするかは、おおまかに以下の3つです。
ポイント
順番に解説します。
勉強の習慣化を支援する
勉強を習慣化する支援は、自学自習によるお子さんの自立を促します。
歯みがきや洗顔と同じように、勉強は毎日やって当たり前にしておくとよいです。
文部科学省の報告書で、短期集中的に学習を行うよりは日常的に行う方が効果的という内容が示されています。
塾に通っていない子供に放課後、学習サポートを行うと成績を底上げする効果が見られたそうです。
しかし、長期休み中の学習サポートでは学力アップにつながるという結果は得られなかったとのこと。
勉強は習慣化が重要であることがわかります。
また国語の「書くこと」「読むこと」の正解率は、算数・数学の正解率と関連しているという報告もあります。
基礎的な、読み書き計算は定着するまでくり返しさせるのがオススメです。
基礎ができていないと応用はできないので、問題をスラスラ解けるまで繰り返すようサポートします。
勉強時間については、子供の集中力は長く持たないため、長時間やる必要はありません。
集中できる時間は小学校の低学年で15分程度、高学年で30分といわれています。
30分程度の学習を毎日繰り返して、習慣化させましょう。
興味があることをサポートする
興味関心があることをすると、やる気や自主性につながります。
お子さんが好きなことを深堀りできるようにサポートしてあげるとよいでしょう。
もし電車が好きなお子さんでしたら、家に電車の本や模型をそろえるなどです。
料理やお手伝いに興味がありそうなら、とことんやってもらいましょう。
自分が好きなものを親が応援してくれると、嬉しく感じ、自己肯定感と親子の信頼関係がアップします。
自己肯定感と他者への信頼感は、やがて信じて頑張りぬく原動力となります。
家族で遊ぶ
親も子供と一緒に楽しみながら遊ぶと、子供の知的好奇心を高められます。
およそ10歳前後の子供は覚えることが楽しいと感じるため、記憶力を刺激する、神経衰弱やクロスワードパズル、しりとりなどがオススメです。
また興味を引き出すきっかけ作りに、美術館や博物館に行くのもよいです。
文部科学省の調査報告書からも、美術館や博物館のような文化施設に子供を連れていく家庭は、子供の学力が高いことが示されています。
遊びや文化施設へのお出かけは、知的好奇心が満たされ、学習にもよい影響が出るのでしょう。
楽しい思い出作りにもなるで、めいっぱい遊んだり、お出かけを楽しんだりしたいものです。
子供の学力低下の原因って?
子供の学力低下にはいくつかの原因が考えられます。
うまく原因を減らして、学力低下を防ぎたいものです。
ポイント
詳しく解説していきます。
親の過干渉
ついつい、勉強するように何度も大声を出してしまうことありませんか?
親は子供のためを思って、口うるさくあれこれ言ってしまいますが、過干渉は子供の学習を妨げます。
これは学習を自分のためではなく、親のために行うようになってしまうためです。
最悪のケースは勉強しているふりをしてしまい、頭の中には何も入っていないなんていうことも。
ですから命令や強制ではなく、支援をするのが大事です。
机に向かって欲しいならば、同じ時間に親も机で勉強をしたり、読書をしたりして親も学ぶ姿をみせてあげてください。
生活習慣の乱れ
学力アップのために睡眠不足や不規則な食事など、生活習慣が重要です。
立命館大学の陰山英男氏の調査では、夜9時までに寝る子の学力が最も高くそれより遅くまで起きているほど、学力は低下するという結果が出ています。
広島県で平成15年に小学校5年生対象として行われた調査でも、7~9時間睡眠をとる子供の学力は高いことがわかっています。
社会が夜型になっていますし、親の生活習慣もあって、ついつい子供の入眠時間が遅くなりがちです。
しかし1日を締めくくる最後の仕事として、寝かしつけを行いたいものです。
また朝食抜きの子供が増えていることも問題視されていますが、本当に学力と関係があるのでしょうか?
すでにたくさんの研究や調査が行われていて、朝食を食べない子の学力は恐ろしく低いことがわかっています。
さらに勉強に集中できない、不機嫌になる、お友達とケンカをするなど問題のある行動を起こす子どもも多いそう。
睡眠不足から朝に起きられず、朝食も摂れないという悪循環は起きてしまいがち。
生活習慣の乱れは、学力との関係性が深いのでしっかり対処しておきたい問題です。
スマホやゲームなど娯楽
生活習慣の乱れの原因として、まっさきに挙げられるのがスマホやゲームなどの娯楽です。
スマホやゲームの刺激に慣れ、子どもが学校の学習活動に興味を示さなくなったことをはじめ、外で遊ばなくなる、コミュニケーション不足を招く、夜更かしするなどさまざまな点が問題視されています。
親子で話あって、時間を決めて楽しんでもらいましょう。
遺伝に左右されない能力をアップさせよう
お子さんの学力がアップすれば、学校や塾の成績として結果が残せますし、志望校への進学にもつながります。
さらに、学力を支えるたくさんの要素も鍛えられます。
たとえば以下のようなものです。
ポイント
これらは成績や偏差値にあらわれにくい非認知能力で、EQとも呼ばれることも。
EQは遺伝に左右されず、環境で育まれるので教育界でも注目の能力です。
非認知能力の向上は生きる力や自分で考える力に結びつくため、勉強だけではなく、将来において社会で活躍する力も身に付くのです。
まとめ
子供の学力について、母親との関係性や、向上する方法について解説しました。
環境的な影響と遺伝子的な影響から、子供の学力は母親との関連性が強いといわれています。
最終学歴や遺伝子は変えられませんが、お子さんと過ごす環境は今からでも変えられます。
支援型の子育てでサポートしたり、学力低下を招く原因を減らせば、お子さんの学力に変化がみられるようになるはずです。
学力アップとともに、さまざまな能力が身に付き、社会に出て活躍する日が今から楽しみですね。