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うちの子供はパニック障害?症状や治療法を知ってサポート!

お子さんが学校に行こうとすると吐いてしまったり、電車に乗ると急に息苦しくなってしまったりなど、発作的に体調が悪くなることはありませんか?

もしかすると、パニック障害による発作が原因かもしれません。

パニック障害は状況や環境とは関係なく不安が原因で起きる発作で、繰り返し起きることが特徴の精神疾患です。

パニック障害は、およそ100人に1人くらいの割合で発症すると言われています。

成人で発症する割合がほとんどですが、もしお子さんにパニック障害の疑いがあると感じている場合は、この記事で症状を確認し、専門病院で適切な治療を開始しましょう。

パニック障害のお子さんへの接し方や発作が起きた時の対処法も紹介しているので、参考にしてみてください!

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子供のパニック障害の具体的な症状とは?

パニック障害の症状には、

  • パニック発作
  • 予期不安
  • 広場恐怖

があり、予期不安と広場恐怖はパニック発作のあとに二次的に起こる症状です。

ここではこの3つの症状の特徴を紹介します。

パニック発作

パニック発作とは、急に理由もなく精神的や身体的に体調が悪くなる症状のことです。

ここではパニック発作の特徴を、精神的な面と身体的な面に分けて見ていきましょう。

精神的な症状

パニック発作が起きると、

  • 急に緊張する
  • 不安になる
  • 身体的な症状に恐怖を感じ、このまま死んでしまうのではと感じる
  • 自分の体や心が自分のものではないように感じる

などの精神的な症状が見られます。

身体的な症状

パニック発作が起きると見られる身体的な症状は、

動悸
発汗
身震い
息切れ
窒息感
嘔吐
めまい
しびれやチクチクした痛み
泣く
かんしゃく

などがあります。

幼児期の子供は不安や恐怖を抱えきれず、泣いたり、かんしゃくを起こしたりします。

予期不安

予期不安とは、一度パニック発作を経験した人が「また発作が起きるのではないか」と不安を抱えるようになる症状のことです。

予期不安は、パニック症状の最大の特徴と言えます。

たとえば、電車の中でパニック発作を起こした経験がある人は、

  • 電車に乗ったらまた発作が起きるかもしれない
  • 発作を起こしても誰も助けてくれなかったらどうしよう
  • 人前で騒ぐような発作を起こしたらどうしよう
  • 今度発作を起こしたら死ぬのではないか
  • 人前で吐いたり、失禁したりしたら恥ずかしい

と不安を抱えるようになります。

広場恐怖

広場恐怖とは、また発作が起きるのではという予期不安から不安になる場所や状況を恐れ、

以前発作が起きた場所や状況を避ける
助けてもらえないような場所を避ける
すぐに逃げ出せないような場所を避ける
発作が起きたら恥をかきそうな状況を避ける

などのように、場所や状況を避けるようになる症状です。

たとえば、

駅のコンコースなどの広い場所
窓のない部屋やエレベーターなどの囲まれた場所
知らない場所に1人で行くこと
電車・バス・地下鉄・飛行機などの公共交通機関を利用すること
スーパーのレジに並んだり、人混みに行くこと

を回避しようとします。

さまざまな場所に行けないストレスから、うつや、他の不安障害を合併してしまうこともあります。

パニック障害を起こしたときの体験談!

それではパニック障害をかかえる子供たちは、どのような症状を経験しているのでしょうか。

書籍「パニック症の人の気持ちを考える本(講談社)」「不安障害の子どもたち(合同出版)」に記載されている、子供のパニック障害の経験をご紹介します。

あなたのお子さんにも同じような症状がないか、参考にしてみましょう。

小学生の体験談

小学校5年生のお子さんは、友だちから過激な画像を見せられたり、怖い話をされたりなどのいじめを受けていました。

すると朝からお腹をこわし、テレビが怖くて見れなくなったそうです。

いじめが解決すると症状が落ち着きましたが、学年が上がったときに再びいじめっ子と同じクラスになったことで不登校になりました。

その後は夜に突然過呼吸を起こすようになり、「死んでしまうのではないか」とパニックになったと言います。

中学生の体験談

中学校2年生のお子さんは幼い頃に両親が離婚し、父親と2人で生活していましたが1人でいることが多かったそうです。

小学生3年生のころに友だちから「バイキン」と言われてから、自分が不潔な気がして、「外に出ると汚れて病気になってしまう」と考えるようになりました。

それからは外出ができず、あらゆるメディアの情報に過剰に反応して、不安になり大声で泣き叫ぶようになったり、突然の動悸とともに「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖に襲われるようになったりしたそうです。

また別の中学生のお子さんは、通学電車で向かいの人と突然目が合った気がして怖くなり、苦しくなった経験をしたそうです。

高校生の体験談

高校3年生のお子さんは、夜の睡眠中や、学校の試験中に突然発作が起きるようになったそうです。

その後、大学の入試試験でも発作が起きてしまい、最初の大学入試で失敗したことで他の大学入試も怖くて受けられなくなったそうです。

子供がパニック障害になる原因は?

パニック障害を発症する原因は、まだはっきりとわかっていません。

とくに子供の場合は精神の発達が著しいので、原因の特定が難しいといいます。

ここではこれまでの研究で、パニック障害の原因の可能性があるとされていることを紹介します。

思い当たることがないか、確認してみましょう。

原因1:不快な体験

子供のパニック発作は、特定の不快なできごとをきっかけに発症することが多いのが特徴です。

以前に教室で吐いたことを先生に指摘されて、「また吐いてしまうのでは」と不安に感じるようになった場合や、車の事故を目撃してから車に乗れなくなった恐怖を誰にも伝えられなかった場合などに、発作となって表れることがあります。

子供は自分の感情をうまく言葉に表せないこともあるため、怖かった気持ちや不安な気持ちをいつの間にか抱え込えこんでしまいやすいのです。

思春期頃からは、特定のできごとに関係なく突然発作が起きるようになり、「また発作が起きるかもしれない」と不安を抱えるようになります。

原因2:親からの極端な態度

パニック障害や不安障害の第一人者である、医師の貝谷久宣氏らの研究によると、パニック障害の人は、そうでない人に比べて、

子供の頃に親から拒絶された
子供の頃、親が過保護だった

という経験をした人が多かったそうです。

また、以前パニック障害の発作が起きた場所へ行くことを避けるようなる「広場恐怖」の症状がある人は、母親からの愛情を感じて育った人が少ないこともわかりました。

このように、親の拒絶や過保護などの極端な態度が、パニック障害を発症する原因の1つと考えられています。

原因3:親との別れ

幼い頃に両親が離婚して別の人に育てられたり、父親と死別したりなど、親との別れが原因とする考えもあります。

ドイツのパニック障害の研究結果によると、不思議なことに、母親との死別よりも父親との死別がパニック障害発症に大きな影響を与えることがわかっています。

さらに貝谷久宣氏らの研究でも、パニック障害を発症した人は、母親からの愛情を感じている人は少なく、父親の方が好きだと答えた人が多いことがわかりました。

子供は母親に「よい子」と言われるために、母親の前ではよい子であり続けますが、同時に母親への関心が薄くなります。

一方で、普段一緒に過ごす時間が母親ほど長くない父親は子供が自然体でいられる存在となっているため、父親との別れが子供に大きな影響を与えるのだと考えられています。

原因4:親の不安体質の伝達

パニック障害の親をもつ子供の約80%が、

ひとみしり
内気
引っ込み思案
臆病
はにかみ

といった不安体質を持つのに対して、パニック障害ではない親を持つ子供では20%にしかみられなかったことがわかっています。

反対に不安体質を持つ子供の親は、パニック障害や対人恐怖症であることが多い傾向があります。

このことから、パニック障害は不安体質が強く関係している病気だと考えられるのです。

親がパニック障害であることで不安体質が子供へ伝わり、そこへ不快な体験や親との死別などの環境的な要因が加わることで、子供もパニック障害を発症する可能性があると考えられています。

原因5:親からの遺伝

ある調査では、遺伝子がまったく同じ一卵性の双子の1人がパニック障害である場合、もう1人もパニック障害になった割合は34%であったことがわかっています。

一方で、約半分の遺伝子が同じ二卵性の双子にも同様の調査をしたところ、どちらもパニック障害だった割合は8%でした。

つまりパニック障害は、絶対に遺伝する病気ではなく、約30~40%の確率で遺伝する病気である可能性が高いとされています。

原因6:脳機能の問題

パニック障害の発作は、大脳の不安や恐怖を司っている部分が活発に働きすぎた結果、血圧を高めて心拍数を上げる働きのある神経伝達物質ノルアドレナリンが過剰に分泌されて起こると考えられています。

一方で、神経伝達物質セロトニンは安心感や平常心をもたせる働きがあるため、脳内のセロトニンの量の低下を防ぐSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という薬が有効とされています。

子供がパニック障害でも自分や子供を責めすぎないで!

先ほどご紹介した子供のパニック障害の原因には、親が関係している内容が多かったので、「親である自分が原因だったのか」と自分を責めた方もいるのではないでしょうか。

また不安体質ではない方は、「子供がパニック障害になるのは、子供が精神的に弱いからなのでは」と、子供を責めたくなったかもしれません。

しかし過度に自分や子供を責めてしまわないことが大切です。

親も子供も一人ひとり違った性質を持つ人間なので、お互いを完璧に理解することは難しいですし、お互いにとって完璧な親や子供である必要もないからです。

ここから先でご紹介する、「お子さんのパニック障害の治療法」や「お子さんへの接し方」を参考にして、冷静にお子さんのパニック障害に対処していきましょう!

子供のパニック障害を治療できる場所

ここまでご覧になってお子さんにパニック障害の疑いがあると感じたら、児童精神科か心療小児科を受診しましょう。

受診すると、まずはどんなことにしみや恐怖を感じているのかをヒアリングしたり、誰にも理解されないつらさに共感するたりすることから始め、同時に体の検査や診察も行います。

医者の説明を理解できる年齢であれば、症状がおきるメカニズムを説明して、自分の心の弱さが原因ではないことを伝え、安心感を与えるようにしていきます。

その後は、症状に合わせた心理療法や薬物療法を開始していく流れです。

子供のパニック障害の治療法は、まだ明確な方法が確立されていませんが、薬物療法は有効であることが確認されています。

パニック障害の治療法

パニック障害の治療法には、大きく分けて「薬物療法」と「精神療法」の2種類があります。

ここではそれぞれの方法について、簡単に解説していきます。

薬物療法

パニック障害の治療は心に働きかける精神療法をおこなう前に、発作を抑える目的で薬物療法から開始します。

薬で発作を抑えて日常的な生活に支障のない環境を整えてから、精神療法を行う方が効果的だからです。

精神療法では、SSRIという抗うつ剤を用いる治療法が一般的になっています。

症状が落ち着いてきたら徐々に薬の量を減らしていき、薬を飲まずに生活できるようになりますが、数年がかりの治療になります。

精神療法

精神療法とは物や薬を使わずに、対話や訓練などをとおして患者の考え方や行動を変えていき、精神疾患の治療を行う方法です。

パニック障害の精神療法にはさまざまな種類がありますが、ここでは一般的な3つを紹介します。

精神分析的精神療法

子供個人にはたらきかけ、自分をみつめ、発症に関連している本当の問題に気づかせ、苦しみを乗り越えていく療法です。

子供が幼い場合は自分をみつめることが難しいため、音楽や運動、創作、遊戯などを組み合わせておこなうこともあります。

家族療法

家族の考え方や関係性にはたらきかけて、子供の症状を改善します。

発症前後の家族環境を観察して、発症に関係している家族の問題を洗い出し、家族がその問題を理解して症状の軽減や消失を目指す療法です。

認知行動療法

パニック発作が起きたときの思考や行動は理解した上で、その思考や行動の中の「事実ではない誤った考え方」を理解して修正する方法です。

誤った考え方を認識して事実に即した考え方に修正し、発作が起きたときの対処法を身につけることで症状を治療していきます。

パニック発作の治療につながる子供への接し方

子供のパニック障害に気づく前は、発作で病院に行っても体に異常が見つからないため、発作が起きるたびに家族も「またか」と冷たい態度をとってしまいがちです。

家族につらい気持ちを理解されないことで、子供はさらに自分を責めてしまうこともあるため、接し方には注意するように心がけましょう。

ここではパニック障害の子供に寄り添うための、接し方をご紹介します。

具体的な接し方には、

批判したり、責めたりしない
本人を傷つけるようなことを言わない
過保護にしない
具合の悪いときは無理をさせない
病気を治そうと努力していることを否定しない
特別扱いしない
具合の悪いときに重大なことを決めさせない

などがあります。

腫れものに触れるかのように特別扱いをしたり、具合が悪いときに進学先の決定のような重大なことを決めさせたり、なかなか回復しないのは心が弱いからなのではと傷つけるような言葉を言ったりはしないようにしましょう。

パニック発作が出てしまったときの対処法

接し方に気を付けていても、もし子供が急にパニック発作を起こしてしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。

発作を落ち着かせるための手順を解説しますので、参考にしてください。

ポイント

  1. 発作が起きたら、椅子に座らせて頭を抱えるような姿勢をとるか、うつ伏せに寝かせる
  2. 背中をさすりながら「大丈夫」と声をかけます
  3. ゆっくり呼吸をさせるために「深く吸って~、吐いて~」と声をかる(過呼吸になっている場合は、息を吸うよりも吐くことを意識させる)
  4. 発作がおさまったら、不安な気持ちから気をそらせる楽しい会話をする
  5. 発作の程度やどんなことを感じたかを子供から聞き、記録する

発作のピークは10分ほどで、30分以内におさまることがほとんどです。

発作はあまり長くは続かないので、落ち着いて対処しましょう。

まとめ

パニック障害はパニック発作をはじめとする精神的、身体的な症状が、理由もなく突然起きる精神疾患です。

子供で発症する割合は低いですが、大人と違って発症の原因が特定しにくく、大人に伝えられずに発症を気付かれないでいる子供もいます。

お子さんに異変を感じたら、早めに専門の医療機関を受診しましょう。

パニック障害は病院でのカウンセリングや投薬治療、家族のサポートで気持ちを安定させ、症状を落ち着かせられる人や、完治できる人もいる疾患です。

治そうとして焦らせず、今回ご紹介したお子さんへの接し方や、発作が起きたときの対処法などを参考にしながら、お子さんと一緒に治療をゆっくりと進めていきましょう。

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この記事の監修

森 瞳
NPO法人umi 代表理事
自分自身の妊活をきっかけに、世の中の妊娠に関する知識不足に気づき、妊娠、不妊、不妊治療に関する正しい知識を啓蒙するNPO法人umiを立ち上げる。
3年間の妊活の末に授かった2人の男の子の育児に奮闘する一方で、交流会や動画制作、本の出版を通じて、啓蒙活動を拡大中。

太田 恭子
管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、幼児食マイスター、ベビーフードインストラクター 東京女子大学卒業後、フリーアナウンサーとして活動。
「子供の好き嫌いをなくすのは、親の役目」と考えたことから、食育に関する資格を取得。
食育をテーマにした、各種セミナーなどを開催中。

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