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児童発達支援センターって何?どんな施設か詳しく解説

子供の発達がゆっくりだったり何か障害の疑いがあったりすると、保健センターや幼稚園などで、児童発達支援センターという施設を紹介されることがあります。

児童発達支援センターとは何なのか、どんな支援が受けられるのか、似たような言葉で児童発達支援という言葉もあるけれど何が違うのか、この記事では子供の発達に関わる支援の全体像について、わかりやすく解説します。

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児童発達支援センターとは何か

まず、児童発達支援センターは、地域によって微妙に呼び方が違います。

代表的なもので、以下のような例があります。

  • 発達支援センター
  • 子ども発達支援センター
  • 発達センター
  • 療育センター

頭に地域名がついたこのような名称の施設ならば、おそらくここでお話する児童発達支援センターの1つです。

まずはこれらの施設が、誰が誰に対して何をする施設なのか、概要をお伝えします。

法律で規定された児童発達支援センター

児童発達支援センターは、児童福祉法第43条で定められた、児童福祉施設です。

地域の中核的な療育支援施設として、障害児とその家族のための相談や療育など、総合的な支援をしています。

療育という言葉になじみがない方もいると思います。

療育は、障害がある子が大人になった時、社会で自立して生きていけるように、それぞれのニーズに応じた支援を行って発達を促す取り組みです。

児童発達支援センターは、医療型と福祉型の二種類があります。

どちらも障害児が家から通って、身辺自立に必要な知識や技能、動作を学び、集団生活に適応できるようになるための訓練などを行うことを目的としていますが、医療型は、医療を伴う治療を行う事もできるという点が、福祉型と違います。

医療型と福祉型で分けていることもありますし、地域によっては、両方の児童発達支援センターをまとめて1つの施設として運営していることもあります。

児童発達支援センターの対象児童

児童発達支援センターは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含む)のいずれかがあって、児童相談所、保健センター、医師などにより療育の必要性を認められた子供を対象にしています。

手帳を持っていなくてもかまいません。

また、実際に療育に通っている子だけでなく、地域の障害児とその家族、保育園や幼稚園を利用している発達に不安がある子もみんなが、相談できる施設です。

児童発達支援センターにいる職員

児童発達支援センターには、様々な専門職が在籍しています。

  • 児童指導員
  • 保育士
  • 児童発達支援管理責任者
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 臨床心理士
  • 看護師
  • 栄養士、調理員

上記全ての専門職がいるとは限りませんが、子供の発達に関わるあらゆる角度からの専門職が、その子それぞれのニーズにあわせた支援を行います。

医療型の児童発達支援センターには、医師もいます。

児童発達支援センターで必ず配置しなくてはいけない職種については「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の第63条と第69条で明確に定められており、地域の専門職の指導を仰げる場として、大事な役割を担っています。

児童発達支援センターの利用費用

児童発達支援センターに相談するだけであれば、特に費用はかかりません。

ですが、児童発達支援という療育を受けるとなると、費用がかかります。

しかしその費用は、通所受給者証を取得すれば、自治体が9割を負担してくれるようになり、自己負担は1割で済みます。

更に、令和元年10月からの幼児教育、保育の無償化により、3歳児から5歳児クラスの子であれば、児童発達支援の利用料も無償になりました。

無償化には上限があり、含まれない費用もありますが、これについては幼稚園や保育園と同様です。

児童発達支援の費用負担については、後で説明する児童発達支援事業所でも同様です。

なぜ児童発達支援センターができたのか

児童発達支援センターは、そんなに昔からある施設ではありません。

なぜこのような施設ができたのか、その背景を知ると、今の時代の障害児支援の全体像が見えてきます。

以前の障害児支援の形

以前の障害児を対象にした福祉サービスは、支援の種類(施設か事業か)によって児童福祉法と障害者自立支援法に根拠法が分かれていました。

更に、障害の種類によっても対応する施設が分かれていました。

障害のある子供は一種類の障害しかないとは限らず、必要とするサービスも多岐に渡ります。

施設も身近とは言い難く、障害児の親にとっては、どこに相談し、どこを利用したらいいのかとてもわかりづらい状況でした。

法改正によって変わった障害児支援

日本の障害児支援は、平成24年の4月を境に大きく変わりました。

法改正により、分かれていた根拠規定が児童福祉法に一本化、支援の形による垣根がなくなったのです。

更にこれを期に、もともとは障害の種類によって分かれていた障害児施設も、障害の種類を問わず一元化されるようになりました。

これによって誕生したのが、以下の障害児通所支援サービスです。

  • 児童発達支援
  • 医療型児童発達支援
  • 児童発達支援管理責任者
  • 放課後等デイサービス
  • 保育所等訪問支援

これまで障害の種類によって分かれていた通所施設は、障害の種類を問わずに児童発達支援、医療型児童発達支援という形に再編され、更に、保育園や幼稚園に通う子に対しての保育所等訪問支援という新たな支援の形ができました。

就学後の障害児に対しては、放課後等デイサービスという場が設けられるようになりました。

そこで、これらの一元化された障害児支援を一手に担う、地域における障害児支援の拠点的な施設が作られました。

これが児童発達支援センターです。

児童発達支援、保育所等訪問支援、障害児とその家族への相談支援を中心に、地域の実情に合わせて、ここに医療型児童発達支援も加わったり、放課後等デイサービスが加わる場合もあります。

必ずしも児童発達支援センターでこれら全ての支援を行っているとは限りませんが、センターでやっていない支援に関しても、地域の事業所につなげるための、相談や紹介などの援助をしています。

児童発達支援センターで受けられる支援

児童発達支援センターには様々な機能が備わっていることがわかりました。

ここでは、児童発達支援センターが提供するサービスについて具体的に紹介します。

児童発達支援

児童発達支援は、簡単に言うと未就学児を対象にした療育です。

障害児や発達に課題がある子が、日常生活における基本的な動作や知識、技能を学び、集団生活に適応するための訓練等を行います。

具体的には、手指を使う細かい作業や、全身の体の使い方を学んだり、また食具の使い方の指導、トイレトレーニングの補助などを食事や排泄のタイミングで行ったりもします。

しかし、児童発達支援の具体的なプログラムは画一的に決まっているものではなく、施設によって特色があります。

児童発達支援を受けさせたい場合は、施設を事前に見学し、自分の子供の困りごとに対応しているプログラムを行っているか、雰囲気はどうかなど、よく確認して決めることをお勧めします。

また、児童発達支援は、医療の提供があるかないかで児童発達支援と医療型児童発達支援に分かれます。

医療型児童発達支援は医療型児童発達支援センターや指定医療機関でのみ行うもので、福祉型児童発達支援センターでは行いません。

ただ、福祉型、医療型両方を備えた児童発達支援センターもあります。

相談支援

相談支援といって、障害児とその家族が様々な支援を利用するための援助をします。

既に施設を利用している子に対してもそれ以外の子に対しても、広く発達に関する相談や障害児支援についての相談を受けています。

ただし現状は、利用希望の家庭が多く、なかなか予約がとりづらい状況になっている施設も少なくありません。

保育所等訪問支援

保育所等訪問支援は、保育所など療育以外の施設に通う障害児に対し、その施設に通う他の子供との集団生活がうまくいくように支援する事です。

ここでいう保育所等とは、保育園、認定こども園、幼稚園、小学校、幼稚部や小学部の特別支援学校などを指します。

主に訪問先の施設のスタッフに対して、障害児への支援方法などの指導をしますが、直接障害児本人に対して訓練などの支援をすることもあります。

地域の事情によって追加されるその他の支援

児童発達支援センターは、市区町村ごとに設置された地域性の高い施設です。

地域の事情によっては、上記の支援を全て一か所で行っているとは限りません。

また、放課後等デイサービスなど、地域によってはこれ以外の機能も備えている場合もあります。

厚生労働省でも、障害児通所支援は「地域の実情にあわせた整備」という事を求めているので、地域ごとに臨機応変に対応しているものと思われます。

児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違い

児童発達支援センターと児童発達支援事業所、どちらも児童発達支援を行う施設という意味では同じですが、この2つの役割は微妙に違います。

ここでは非常に似ている名前の2つの施設の違いについて、お伝えします。

行う事業の違い

通所している障害児とその家族だけでなく、地域の障害児やその家族への相談支援や、障害児を預かる施設への助言や援助も行う、地域の中核的な療育支援施設なのが児童発達支援センターです。

それに対し、通所している障害児とその家族に対してのみ支援を行うのが、児童発達支援事業所です。

施設の数の違い

児童発達支援センターは、市区町村に1、2個設置されているのみです。

しかし児童発達支援事業所は、市区町村にいくつもあります。

児童発達支援事業所は民間企業やNPO法人が運営しているので、ネット検索でズラーッと出てくるような地域もあれば、1つもない地域もあります。

いくつあるかは、地域差が大きいです。

まとめ

児童発達支援センターは、地域の中核的な療育支援施設として、障害児とその家族のための相談や療育など総合的な支援を行っている児童福祉施設です。

児童発達支援、保育所等訪問支援、障害児とその家族への相談支援という地域支援を一手に担う施設として、障害児支援の大きな変革の中で誕生しました。

医療型と福祉型があり、その違いは医療の提供の有無です。

児童発達支援センターで行われる支援の1つで、児童発達支援というものがあります。

児童発達支援は、簡単に言うと未就学児向けの療育で、児童発達支援センターと児童発達支援事業所で受けられます。

児童発達支援センターは、地域の実情にあわせて臨機応変にそのあり方を変えています。

それでも、地域における障害児とその家族にとっての頼れる施設であることに変わりはありません。

子供の発達や障害で悩んでいる人は、ぜひ繋がっておくと安心です。

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この記事の監修

森 瞳
NPO法人umi 代表理事
自分自身の妊活をきっかけに、世の中の妊娠に関する知識不足に気づき、妊娠、不妊、不妊治療に関する正しい知識を啓蒙するNPO法人umiを立ち上げる。
3年間の妊活の末に授かった2人の男の子の育児に奮闘する一方で、交流会や動画制作、本の出版を通じて、啓蒙活動を拡大中。

太田 恭子
管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、幼児食マイスター、ベビーフードインストラクター 東京女子大学卒業後、フリーアナウンサーとして活動。
「子供の好き嫌いをなくすのは、親の役目」と考えたことから、食育に関する資格を取得。
食育をテーマにした、各種セミナーなどを開催中。

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