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発達障害の子供も取得できる?精神障害者保健福祉手帳とは

子供に発達障害などの精神疾患がある、でも身体障害でも知的障害でもないから手帳はとれない…そんな風に思ってはいませんか?

実は、身体障害でも知的障害でもなくてもとれる、精神障害者保健福祉手帳という手帳があるんです。

精神障害者保健福祉手帳とは何なのか、受けられる支援などのメリット、逆にデメリットはどんなものがあるのか、取得までの流れ、そして子供にどう伝えるかについて、あらゆる疑問を解決します。

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精神障害者保健福祉手帳って何?対象者や等級について解説

精神障害者保健福祉手帳は、身体障害がある人のための身体障害者手帳、知的障害がある人のための療育手帳と並ぶ、第三の障害者手帳です。

ここでは、精神障害者保健福祉手帳とは何かについて、詳しく説明します。

どういう人がとれるの?

精神障害者保健福祉手帳は、何かしらの精神疾患があって、長い間日常生活や社会生活を送る上での制約を抱えている人のための手帳です。

ここでいう精神疾患は、てんかんや発達障害なども含みます。

精神障害者保健福祉手帳の対象になるのは全ての精神疾患ですが、その精神疾患による初診から6ヶ月以上経過していることが条件です。

たとえば、次のような精神疾患が対象になります。

ポイント

  • てんかん
  • 自閉症
  • 学習障害
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)
  • 統合失調症
  • うつ病やそううつ病
  • 急性中毒や依存症(薬物やアルコールなど)
  • 高次脳機能障害
  • その他の精神疾患

知的障害がある人については、知的障害以外の精神疾患がなければ、精神障害者保健福祉手帳をとることはできません。

でも知的障害と上で挙げたような精神疾患の両方を持っている場合は、必ずとは言い切れませんが両方の手帳を取得できることもあります。

ただし、知的障害がある人には療育手帳があります。

精神障害者保健福祉手帳と療育手帳は、受けられる支援の内容は似ており、その上療育手帳の支援の方が手厚いので、療育手帳を持っているのにわざわざ精神障害者保健福祉手帳もとる、ということはあまりありません。

どんな等級があるの?

精神障害者保健福祉手帳には、他の障害者手帳と同じように等級があります。

障害や精神疾患の重さによって1級、2級、3級の3つの等級で分けられており、等級によって受けられる支援も変わります。

1級

精神障害者手帳1級にあたるのは、精神障害があって、他の人からの介助を受けなければ日常生活を送るために自分でやるべきほとんどのことがこなせない、という状態の方です。

おおむね障害年金の1級程度に該当する症状の方です。

2級

精神障害者手帳2級にあたるのは、精神障害があって、そのために本人の日常生活が著しい制限を受けている状態、もしくはその精神障害のために、日常生活に著しい制限を加えなくてはならない程度の方です。

おおむね障害年金2級程度に該当する症状の方です。

3級

精神障害者手帳3級にあたるのは、精神障害があって、そのために本人の日常生活もしくは社会生活が制限を受けている状態、もしくはその精神障害のために、日常生活もしくは社会生活に制限を加えなくてはならない程度の方です。

おおむね障害年金3級程度に該当する症状の方です。

精神障害者保健福祉手帳のメリット

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、どんなメリットがあるのでしょうか。

ここでは精神障害者保健福祉手帳を取得するメリットを、ご説明します。

様々なサービスが受けられる

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、たくさんの支援やサービスなどが受けられます。

これが、手帳を取得するメリットとして最も大きなものです。

具体的にどんなサービスが受けられるかをお伝えします。

全国一律で受けられるサービス

精神障害者保健福祉手帳は都道府県や市区町村で発行されるものです。

受けられるサービスには地域差がありますが、次に挙げたものは全国一律に行われているサービスとして、厚生労働省のホームページで紹介されています。

ポイント

  • NHK受信料の減免
  • 所得税、住民税の控除
  • 相続税の控除
  • 自動車税・自動車取得税の軽減(手帳1級の方)
  • 生活福祉資金の貸付
  • 手帳所持者を事業者が雇用した際の、障害者雇用率へのカウント
  • 障害者職場適応訓練の実施
  • 障害者雇用枠で就職できる 

(参考: みんなのメンタルヘルス総合サイト 精神障害者保健福祉手帳

就職に関しては、平成30年から、障害者雇用の対象にこれまでの身体障害者、知的障害者に加えて精神障害者も加えられるようになりました。

まだ子供が小さいと、就職なんて先すぎてピンとこないとかもしれませんが、精神障害者福祉手帳をもっていることで、一般枠以外での就職の機会に恵まれます。

地域によっては受けられることがあるサービス

全国一律ではありませんが、地域や企業によっては次のようなサービスを受けられる場合もあります。

ただし、地域や企業によって違うだけでなく、等級によっても受けられないことがあります。

ポイント

  • 鉄道、バス、タクシーなど交通機関の運賃割引
  • 携帯電話料金の割引
  • 上下水道料金の割引
  • 心身障害者医療費助成
  • 公共施設やレジャー施設の入場料などの割引
  • 福祉手当の支給
  • 通所交通費の助成
  • 軽自動車税の減免
  • 公営住宅の優先入居
  • 移動支援
  • ショートステイ(短期入所)

上に挙げた中の移動支援とは、余暇活動や送迎などのために、親御さんに代わってヘルパーさんが子供を外に連れ出してくれるサービスです。

ショートステイは1泊などの短期間、子供を施設で預かってくれるサービスです。

このような福祉サービスを利用できれば、親御さんが1人の時間が確保しやすくなります。

通常、療育手帳を持っている人が受けられるサービスですが、地域によっては精神障害者保健福祉手帳でも受けられることがあります。

支援の必要性が公に認められる 

お子さんに発達障害だけでなく、知的の遅れもあるのならば、生涯にわたって何らかの支援が必要になることが予想できるので、手帳をとろうと思いやすいでしょう。

でも知的の遅れがない発達障害だったら、わざわざ手帳をとる必要ある?と尻込みする気持ちもわかります。

ただ、知的の遅れと発達障害の程度は別物です。

知的障害が重い人が発達障害も重いとは言い切れませんし、知的障害を伴わなくても、発達障害や重い自閉症の人はいます。

精神疾患や発達障害の症状を表す用語として「自閉」という言葉があります。

外からの刺激を拒否または無視しようとしたりして、自分だけの世界に閉じこもってしまうような状態をいいますが、こういった自閉度が高い子は、たとえ知的障害がなかったり軽度だったりしても、普通の子の集団に馴染むのは難しく、そういう子を育てる親御さんの負担は相当のものになります。

わかりやすく知的障害がある子とは違い、一見会話も通じ、身の周りの自立もでき、普通の子のように見えるからこそ、性格が悪い、しつけができていない、おかしい子と見られてしまい、親子ともに孤立してしまいがちです。

でも精神障害者保健福祉手帳をとれば、この子は障害があるからこういう行動をとってしまうんだと公に認められ、福祉に助けてもらいながら育てていくことができます。

精神障害者保健福祉手帳のデメリット

精神障害者保健福祉手帳を取得するデメリットは、特にありません。

これは、療育手帳など他の障害者手帳も同じなのですが、手帳を取得する唯一のデメリットは、自分の子供が障害児だと認める事です。

精神障害者保健福祉手帳の場合、一見して普通の子のようにも見える場合が多いので、この心理的負担はより大きなものになると思います。

ですが、先にも述べたように、障害児だと認めることで、周りからの配慮を得やすくなったり、親御さんの気持ちが軽くなることもあります。

あまり気負うことなく、メリットの方に目を向けて、手帳の取得を検討してみるのもいいと思います。

精神障害者保健福祉手帳はどこでどうやって取得するの?

精神障害者保健福祉手帳の申請は、市区町村の担当の窓口で行います。

地域によって違いがあるかもしれないので事前に電話で確認することをおすすめしますが、申請の時には次のものが必要になります。

  • 申請書
  • 診断書(又は、精神障害による障害年金の証書などの写し)

※診断書は、精神障害の初診を受けた日から6か月以上経っており、精神保健指定医か精神障害の診断や治療にあたっている医師が記載したものに限ります。

てんかん、発達障害、高次脳機能障害などで精神科以外の科で診療を受けている場合は、それぞれの専門の医師が記載したものです。

  • 本人の写真

申請すると、各都道府県や政令指定都市の精神保健福祉センターで審査され、認められると、精神障害者保健福祉手帳が交付されます。

手帳を持つということを、子供にどう説明したらいいの?

知的の遅れがない発達障害や精神疾患の子であれば、年齢によっては、きちんと話せば障害や病気について理解できるのではないかと思います。

手帳をとろうと思ったら、これを期に子供と障害や病気について話し合い、手帳についても説明しておくことが望ましいです。

まずは正しく自身の障害や病気について理解してもらい、なぜ手帳をとるのかを説明します。

そして、手帳を持っても周囲からの扱いは変わらないということ、大人になって、いらなくなったら返すこともできると伝えてあげてください。

精神障害者保健福祉手帳は、2年ごとに更新があります。

ですから、いずれ大人になって本人が必要なくなれば、更新しなくてもいいのです。

返還することもできますし、一度とったら一生持ち続けなくてはならないものではないということも伝え、安心させてあげてください。

まとめ

精神障害者保健福祉手帳は、何かしらの精神疾患があって、長い間日常生活や社会生活を送る上での制約を抱えている人のための手帳です。

知的の遅れがない発達障害のお子さんでも取得できる可能性があり、福祉に助けてもらいながら子育てすることができます。

1級、2級、3級の3つの等級で分けられており、等級によって受けられる支援も変わります。

精神障害者保健福祉手帳をとると、様々なサービスを受けられるというメリットがあります。

ただし、自分の子供の障害を認めなければならないという精神的負担は、デメリットともいえます。

手帳の申請は必要書類を用意して各自治体の担当窓口で行い、精神保健福祉センターで審査されて認められると、交付されます。

手帳の取得を期に、お子さんに障害や病気についてきちんと説明し、手帳を持つメリット、手帳を持つことによって周囲からの扱いは変わらないこと、いらなくなったら返還できることを説明し、理解してもらいましょう。

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この記事の監修

森 瞳
NPO法人umi 代表理事
自分自身の妊活をきっかけに、世の中の妊娠に関する知識不足に気づき、妊娠、不妊、不妊治療に関する正しい知識を啓蒙するNPO法人umiを立ち上げる。
3年間の妊活の末に授かった2人の男の子の育児に奮闘する一方で、交流会や動画制作、本の出版を通じて、啓蒙活動を拡大中。

太田 恭子
管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、幼児食マイスター、ベビーフードインストラクター 東京女子大学卒業後、フリーアナウンサーとして活動。
「子供の好き嫌いをなくすのは、親の役目」と考えたことから、食育に関する資格を取得。
食育をテーマにした、各種セミナーなどを開催中。

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