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「寝る子は育つ」って本当?睡眠が子供に及ぼす影響

「寝る子は育つ」という言葉、本当によく耳にしますよね。

親御さん自身もそう言われて育ってきたのではないでしょうか。

「うちの子供はゲームばかりして寝るのが遅い」

「塾に通っていて帰宅が遅いから、どうしても睡眠が少なくなってしまう」

このように子供の睡眠について心配な親御さんは多いと思います。

ですが、本当によく寝るだけで成長するものなのか、疑問に思ったことはありませんか?

そこで今回は、睡眠が子供に及ぼす影響について調べ、本当に「寝る子は育つ」のかをまとめました。

睡眠不足が子供に及ぼす影響とは?

「寝る子は育つ」という言葉に根拠はあるのでしょうか?

子供の睡眠が大切だと言われているのは、睡眠が成長ホルモンに大きく関わっているからです。

まずは子供が睡眠不足になるとどうなるのかを考えてみましょう。

睡眠不足の子供が陥りやすい主な傾向は以下の4つがあります。

成長ホルモンの分泌が減り、心身ともに悪影響

成長ホルモンが子供の身長を伸ばし、筋肉を増やしてくれる役割を果たしているのはご存知でしょう。

実は、成長ホルモンには1日の体と脳の疲れを取り除き、代謝をコントロールしてくれる役割もあるんです。

成長ホルモンは、睡眠中に分泌されるものなので、睡眠時間が少なければ、それだけ成長ホルモンの分泌が少なくなってしまいます。

成長ホルモンの分泌量が減ると、身体的な成長が遅くなるだけでなく、疲れが取れにくい体になります。

疲れが取れない状態は、子供を情緒不安定にさせ、キレやすい傾向にしてしまうため、心にも悪影響。

ですから、より多くの成長ホルモンを分泌させ、子供の心身の成長を促すためには、十分な睡眠が必要不可欠なのです。

勉強やスポーツのパフォーマンスが低下

睡眠は勉強やスポーツのパフォーマンスにも大きな影響を及ぼします。

睡眠不足になると、疲れが取れないため体力を回復できません。

そのため、勉強やスポーツに積極的に取り組む意欲を失ってしまいます。

意欲がなければ、物事への集中力も落ちてしまうでしょう。

結果的に、勉強やスポーツのパフォーマンスが低下し、本来の能力を発揮することができません。

子供の学力や体力の低下を防ぐためにも睡眠はとても大切なのです。

睡眠時間が少ないと記憶力にも影響が出る

記憶の整理は、レム睡眠のときにおこなわれると言われています。

睡眠には浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、この2つの眠りが約90分周期で繰り返されています。

睡眠が9時間なら6回になりますが、7時間半なら5回となり、レム睡眠の回数が少なくなるわけです。

記憶の整理をする時間が減った分だけ、記憶の定着にも問題が出てくる可能性があるでしょう。

つまり、子供の睡眠時間を減らしてまで勉強させることに意味はないと言えます。

肥満の原因になる

睡眠不足は、肥満の原因にもつながっています。

「寝る子は育つ」という言葉があるなら「寝ない子は太りやすい」といってもいいかもしれません。

睡眠不足の子供が太りやすいのは生活習慣が乱れるからという理由もありますが、睡眠不足そのものが肥満につながるメカニズムになっているのも理由です。

睡眠中に分泌される成長ホルモンは肥満にも関係しています。

なぜなら、成長ホルモンの役割の1つである「代謝のコントロール」のなかには、脂肪の分解も含まれいるからです。

つまり睡眠不足で成長ホルモンの分泌が少ないと、脂肪の分解が抑制されてしまうのです。

また、食欲を促進するホルモンが分泌されてしまうので、つい食べすぎてしまいます。

「食べすぎ」と「脂肪の分解の抑制」、この2つの悪影響を防ぐためにも十分な睡眠は必要なのです。

子供にとっての適切な睡眠時間は?今の子供は足りているの?

昔の子供に比べて、今の子供は睡眠時間が減っていると言われています。

では、実際に今の子供たちの睡眠時間はいったいどれくらいなのでしょうか?

厚生労働省の統計によれば、7歳児は登校日の場合、夜9時台までに寝る割合がほぼ90%で、朝7時前に起きる割合が86%を占めていました。

平均睡眠時間は9時間になる計算です。

一方、1930年代の7歳児の睡眠時間は約10時間半。

なんと1時間半もの違いがあるのです。

小学生に必要とされる睡眠時間は9〜11時間とされています。

学年が上がるにつれて睡眠時間は短くなっていく傾向にあるので、7歳児の睡眠が9時間というのはむしろ少ないと言えるでしょう。

質の良い睡眠にする3つのコツ

成長ホルモンは入眠直後がもっとも分泌量が多いと言われています。

ですが、今の子供は睡眠時間が短いうえに、眠りの質が悪くなっているんです。

そこで、どうすれば入眠しやすくなるのかを説明します。

寝る前にスマホやパソコンの使用を控える

nifty(ニフティ)のキッズ調査レポートによると、睡眠が足りていないと感じる小中学生は全体の半数以上でした。

その理由は以下のとおりです。

ポイント

  • 家での勉強に時間がかかる
  • 部活や塾で帰りが遅い
  • YouTubeなどの動画を見ている
  • ゲームをしている
  • メールやLINEをしている

など。

スマホやパソコンが関係している回答もありました。

スマホやパソコンの液晶画面から出るブルーライトは、目や体に影響を及ぼすと言われています。

ブルーライトには睡眠リズムを調整してくれる「メラトニン」というホルモンの分泌を抑制する作用があります。

そのせいで、寝つきが悪くなったり、生活リズムが乱れたりする悪影響も。

ですから、子供が入眠しやすい環境にするために、スマホやパソコンの使用は寝る1時間前から控えるようにしましょう。

寝る時間よりも起きる時間が大事

自然な入眠を促すのに大切なメラトニンの原料は「セロトニン」です。

セロトニンは、太陽の光を浴びることで生成されます。

ですから、朝起きたらカーテンを開け、まずは太陽の光を浴びることがとても大事です。

体内時計をリセットさせるために、窓を開けるとさらに効果的。

日中も外で活動する時間をつくりましょう。

なかなか寝ない子供の場合は、寝る時間を意識するのではなく、早起きを習慣化を心がけてみてください。

メラトニンをつくる食事を心がける

メラトニンの材料となるのはタンパク質です。

タンパク質を含む食品には、肉・魚・大豆製品・乳製品・卵などがあります。

特に、朝食で摂取すると効果的。

なぜならメラトニンが分泌されるのは、起床してから14〜16時間かかるからです。

朝食にタンパク質を取り入れれば、子供の就寝時間にちょうどメラトニンが分泌され、眠気を感じるようになります。

「寝る子は育つ」は本当!子供が睡眠をとれる環境づくりを

子供にとって、睡眠は成長するためにとても大切なもの。

「寝る子は育つ」という言葉は本当のことなのです。

十分な睡眠が確保できている子供ほど、心身ともに成長し、勉強やスポーツなどのさまざまな可能性が広がるのだと理解しておく必要があります。

自分の子供は「睡眠が足りていない」と感じているなら、生活リズムや食生活を見直して、子供がよく眠れる環境づくりをしていきましょう。

この記事の監修

森 瞳
NPO法人umi 代表理事
自分自身の妊活をきっかけに、世の中の妊娠に関する知識不足に気づき、妊娠、不妊、不妊治療に関する正しい知識を啓蒙するNPO法人umiを立ち上げる。
3年間の妊活の末に授かった2人の男の子の育児に奮闘する一方で、交流会や動画制作、本の出版を通じて、啓蒙活動を拡大中。

太田 恭子
管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、幼児食マイスター、ベビーフードインストラクター 東京女子大学卒業後、フリーアナウンサーとして活動。
「子供の好き嫌いをなくすのは、親の役目」と考えたことから、食育に関する資格を取得。
食育をテーマにした、各種セミナーなどを開催中。

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