子供が不登校になり、助けてあげたくても、どう接してあげればよいか悩んでいる方は多いでしょう。
さらに、いつからまた学校へ行ってくれるのかもわからない「出口の見えない状態」が続き、不安とストレスを抱えているのではないでしょうか。
しかし子供への接し方や、子供の将来の不安を解消する方法を知れば、親子共に今よりも心が楽になるかもしれません。
ここで紹介する「子供への接し方」「以前子供が不登校だった親の体験談」「子供の将来の選択肢」を知り、不安やストレスを減らしながら、子供と一緒に少しずつ前に進みましょう!
不登校の子供にはこんな接し方をしてほしい!
ここでは、親子共にストレスを減らせる「不登校の子供への接し方」をご紹介します。
ご紹介する方法を実践することで、少しでも親子が笑顔になれる時間を作りながら、子供をサポートできますよ。
否定せずに休ませる
不登校になる理由はさまざまで、親に打ち明けられない子供もいるかもれません。
どうしても理由が聞きたくなりますが、まずは不登校になるほど疲れてしまった子供に、安心して休める場所を与えてあげましょう。
子供は自分を受け入れてくれた親を信頼でき、心が休まれば子供の方から理由を話してくれるようになるかもしれません。
もし理由に納得できなかったとしても、否定したり、無理に学校へ行かせようとするのは禁物です。
学校に行きたくない意思を親に示せたということは、子供が親を信頼している証拠。
まずは子供を受け入れて元気に回復するまで待つことが大切です。
誰しも気持ちに元気がないときは、物事を良い方向に考えられません。
気持ちが回復すれば子供も動き出そうとするので、急かさずに休ませましょう。
制限しない
不登校の間、家でインターネットばかりしていたり、平日の日中に外へ遊びに行く子供もいます。
親からすれば、「毎日ネットをしているだけでは、ネット中毒になったり、怠け癖がついたりしてしまう」「平日の日中の外出を許してしまうと、学校に行かなくてもいいと思わせてしまう」と焦り、制限したくなりますよね。
しかし子供はネットで悩みを解決しようとしていたり、外出先で出会った人の言葉によって考え方が変わったりすることもあります。
子供なりに自分が進むべき道を模索してる可能性もあるので、厳しい制限をかけず、子供の好きなように生活させてみましょう。
元気なときを把握
まだ元気が回復しない子供でも、一日のうちで比較的元気になるときと、元気でないときがあると思います。
たとえば、朝が苦手な子供は朝に元気が出ないかもしれませんが、夕方は比較的行動的になっていることも。
また、家にいると気分が良さそうなのに、外に出ると元気がなくなる子供もいます。
あらかじめ子供が元気になるパターンを知っておくことで、どんなときに子供の心が安定するかを把握でき、子供の気持ちが安定しやすい生活を用意してあげられるでしょう。
朝が苦手な子に、「外でも散歩してリフレッシュしてきなさい」とアドバイスしても、子供の負担になります。
一方、親は良かれと思ってアドバイスしたのに、子供に嫌な顔をされたのではストレスがたまります。
子供が元気になるパターンを把握していることで、親も子もストレスをためずに安定した生活を送れるようになるかもしれません。
役割を与える
「親に迷惑をかけている」と、自分を責めてしまっている子供も多いようです。
子供に家での役割を与え、「あなたが居てくれると助かる!」と声を掛けてみましょう。
「自分も親の役に立てている」という安心感を与えてあげられるかもしれません。
「洗濯をする」「買い物をする」「掃除をする」など、子供ができそうなことや興味を持っていることを任せてみましょう。
子供が家事を手伝えるようになれば、親の負担も軽減されるので、親子共にストレスを和らげることができます。
学習の選択肢を伝える
不登校になった子供は、学校に行かなくてはいけないことを十分わかっています。
そのため学校に行けない自分を責め、「このまま不登校を続けたら、自分の将来はどうなるのだろうと」不安を抱えているかもしれません。
しかし現在の学習方法には、さまざまな選択肢があります。
このまま学校に行けなかったとしても、ほかにも多様な選択肢があることを伝え、「学校に行くことがすべてではない」と安心させてあげましょう。
親も別の学習方法を把握しておくことで、出口の見えない不安やストレスを和らげることができます。
学習方法の選択肢については、本記事の「学習の選択肢を知って子供の将来の不安を解消」で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
夫婦で意見を合わせる
母親は「無理して学校に行かなくても大丈夫」と言っているのに、父親は「学校に行かないと自立できないぞ」と言っていては、子供はどちらの意見を信じたらよいかわからなくなってしまいます。
日頃から夫婦で子供の将来について話し合い、意見を合わせておくことが大切です。
親も好きなことをする
「仕事を辞めて、子供に寄り添おう」
「子供が苦しんでいるのに、自分だけ好きなことをしているのは気が引ける」
このように子供のためを思って、自分がしたいことを我慢していはいませんか?
すると自分の気持ちは二の次になり、ストレスをためやすくなります。
子供も「自分のせいで親に迷惑をかけている」と思い、ますます責任を感じてしまうことも。
むしろ親が子供に気を遣いすぎず、好きなことをして生き生きとしている方が、お互いの気持ちを安定させられるかもしれません。
子供が不登校になる原因は「いじめ」だけ?
不登校になった理由を子供から教えてくれればよいのですが、教えてもらえずに悩んでいる方もいるでしょう。
「”いじめ”が原因なのでは?」と思う方が多いかもしれませんが、実は意外な原因が潜んでいます。
ここでは令和元年度に文部科学省が発表したデータをもとに、小・中学生、高校生別に不登校になる原因を調査しました。
子供の不登校の原因を知る手掛かりになるかもしれないので、チェックしてみましょう。
小・中学生が不登校になる原因
国公私立を含めた小・中学生が不登校になる原因を、割合の高い順で並べると以下のようになります。
意外にも学校における人間関係よりも、「不安」や「無気力」が原因である子供が多いようです。
不登校の原因をより詳しく見てみると、子供の真の悩みが見えてきました。
「不安」や「無気力」の原因には、学校よりも「家庭に係る状況」が多くを占め、次いで「友人との人間関係」や「学業の不振」などの割合が多かったそうです。
一方で、「いじめ」が原因とした子供の割合は0.1~2.7%と、かなり低いことがわかります。
小・中学生にとって不登校の原因は、「いじめ」よりも、「家庭の状況」が大きな影響を与えるようです。
夫婦の問題や、普段の子供との関わり方について振り返ることも必要かもしれません。
高校生が不登校になる理由
国公私立を含む高校生が不登校になる原因を、割合の高い順で並べると以下のようになります。
高校生の場合も、小・中学生と同様に「無気力」や「不安」を不登校の原因としている子供が多く見られました。
しかし不登校の原因をより詳しく見てみると、以下のように、小・中学生とは異なる悩みを抱えていることがわかります。
大学や専門学校への進学、就職などを考え始める時期であるためか、「進路や学習の不安」を抱えていることが多いようです。
それに対し、「いじめ」が原因と答えた子供は、2.0%ほどと低い割合に。
子供の学校の成績や授業での状況を教員に確認し、学習や進路に不安を持っている可能性がないか確認しておきましょう。
不登校になった子供を変わらせた親の体験談!
ここまで、不登校になった子供への接し方をいくつか紹介してきました。
さらに、子供が不登校になった親の体験談を参考にすることで、「いつか自分の子供も」と希望を持てるようになるかもしれません。
そこでここでは、個人のブログやWebメディアなどからピックアップした、「不登校の子供を変わらせた親の接し方」を紹介します。
調査した結果、以下のような体験談が見られました。
ポイント
ありのままの子供を受け入れるとともに、自信を持たせてあげる工夫をしている方が多い印象でした。
親もまた、子供に遠慮せずに自分の時間を楽しむようにすると、子供に良い影響を与えられるようです。
「不登校を経験した子供」が親に救われた体験談!
先に紹介した体験談は、親自身が体験した内容を語ったものです。
それでは逆に、不登校になった経験のある方は、親のどのような接し方に救われたのでしょうか。
以下が、個人のブログやWebメディアで調べた「不登校の経験がある方が救われたと感じた親の接し方」です。
ポイント
調査していく中で多いと感じた親の接し方は、「見守る」「放っておく」でした。
気持ちが弱っているときに色々とアドバイスや忠告をされるよりも、元気になるまで見守ってほしいと思う子供が多いようです。
「元の学校に行けるようになること」が最終目的ではない
不登校になった子供を受け入れることに決めたとしても、「この先、この子の将来はどうなるのだろう」「きちんと自立できるの?」と心配な方もいるでしょう。
しかし学習できる場所は、在籍している学校だけではありません。
子供の将来の不安は、学習場所や学習スタイルを選択することで、解消できる時代なのです。
多様な選択肢を知っておくことで、不登校は「子供に合った学習場所と学習スタイル」を見直す機会と捉えられるのではないでしょうか。
そこでここでは、不登校になった子供が再び元気になったあとに、どのような選択肢があるのかについて紹介します。
フリースクールで自分のペースで勉強する
フリースクールは、学校のような時間の規制がなく、生徒が好きなときに行って帰れ、自分ですることを決められる場所です。
勉強のサポートが受けられるところもあれば、社会的なスキルを身に付けるところ、発達障害専門のスタッフがトレーニングを行うところもあり、スクールによって方針は異なります。
家庭以外で人との繋がりを持てるので、精神的な不安を和らげられる子もいるようです。
通信制高校の課題に取り組んで、高校卒業を目指す子供もいます。
子供たちでルールを決められるデモクラティックスクール
大人たちが決めたルールに従う学校とは違い、子供が責任を持って自分たちのルールを決められる学校です。
そのため、強制や競争などが存在しないことが特徴と言えます。
ルールに従い自主的にすることを決めて生活する点はフリースクールと同様で、時間割や授業、テストはなく、大人のスタッフが学習を支援するそうです。
デモクラティックという言葉には、「民主制」「民主主義」という意味があり、別名「サドベリースクール」とも言います。
小中学校の卒業資格は、居住地区の教育委員会と相談して得る方もいます。
高校の卒業資格はデモクラティックスクールと同時に通信制の高校に通い、取得する方もいるそうです。
大学や専門学校に進学したい場合は、「高等学校卒業程度認定試験」を受けて受験する場合があります。
通信教材や家庭教師を利用し自宅で勉強する
外出自体が難しい子供は、自分のペースで自宅で勉強できる通信教材や家庭教師を利用する選択肢もあります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
通信教材の利用
通信教材では、インターネットで子供の学習レベルに合わせた学習を、子供のペースで勉強できます。
「スマイルゼミ」「すらら」「スタディーサプリ」は認知度の高い通信教材です。
定期テスト模試も実施しているサービスもあり、登校できるようになったときのためのテスト対策もできます。
しかし無理に続けようとはせず、合わないと思ったら辞めることもできると伝えておくと、子供もプレッシャーを感じにくいでしょう。
家庭教師の利用
家庭教師を利用するメリットは、教師が子供の学習の習熟度を把握しながら、学習をリードしてくれることや、周りの目を気にせずに学習できることです。
通信教育は自分のペースで学習できる分、途中であきらめてしまう子供もいるようですが、家庭教師が学習をリードすることで学習の継続がしやすくなります。
不登校コースがある企業では、不登校であることを理解した専門スタッフによる指導が受けられます。
子供とのコミュニケーションを図りながら、メンタル面や生活面のサポートをし、学習を進めてくれるメリットがあるようです。
オンラインスクールで出席扱いや卒業資格取得も
オンラインスクールとは、オンラインで通学できる学校のことです。
代表的なオンラインスクールには、「学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校(N高)」「クラスジャパン小中学園」などがあります。
「N高」では学校の授業だけではなく、高校の卒業資格の取得、大学受験対策に加え、プログラミングやイラスト、農業体験などの学習プログラムの受講や、ネットイベントで生徒同士の交流もできます。
「クラスジャパン小中学園」では在籍している小中学校と連携をして、出席扱いにできたり、成績を付けられたりする仕組みがあります。
学校に在籍しながら通学することなく出席や評価を受けられ、卒業を目指せることがメリットです。
転校して環境を変えてみる
学校の友人関係や環境を変えることで、問題が解決する場合もあります。
「転校」という選択肢があることも子供に伝えておくと、子供の不安も少しは解消できるかもしれません。
私の友人のお子さんも、学校の環境が合わずに小学校1年生で不登校になりました。
しかし転校を機に表情も明るくなり、学校の先生や友達との関わり、勉強が楽しいと言うようになったそうです。
しかし転校には在籍している学校と綿密な相談をし、要件を満たしている必要もあるため、安易にできるとは限りません。
子供とよく相談し、子供がどうしても転校を希望しているのであれば、選択肢の一つとして考えてみるのもよいでしょう。
まとめ
不登校になってしまった子供を、「早く学校へ行かせないと!」と焦ってしまう親の気持ちが、親と子のどちらにもストレスになっているかもしれません。
まずは子供が安心してゆっくりできる居場所をつくり、親も子供に遠慮せずに好きなことをするようにしてみましょう。
安心できる居場所があれば、子供は少しずつ元気を取り戻し、心も体も動き出しやすくなります。
その時期には、子供に自信をつけられるような体験をさせたり、学習方法には学校以外にもさまざまな選択肢があることを伝えたりするなど、将来に希望が持てるようサポートしてみましょう。
不登校は「元の学校に行けるようになること」だけが最終目的ではありません。
「子供に合った学習場所と学習スタイル」を見直す機会だと捉えてみましょう。
不登校経験者も次のステップへ進むまでに時間はかかったものの、さまざまな方法で学習を再開し、進学や就職をして自立しています。
親自身の人生も大切にして心にゆとりを持ちながら、子供を信じて待ち、子供に合った進み方を少しずつ探していきましょう。