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子供の体力低下の原因は?運動嫌いを好きに変える方法を解説

近年、子供の体力低下が問題になっています。

なぜ、子どもの体力低下は起きているのでしょうか?

この記事では、現代の子供たちがどのくらい体力が低下してきているのか、またその原因、体力低下を改善するためのアプローチの仕方についても解説していきます。

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子供の体力はどのくらい低下しているのか

令和元年度のスポーツ庁の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」において、体力合計点は小中学生の男女ともに、低下しているという結果が出ました。

特に小学生男子の体力合計点は、平成20年の調査開始以降の推移を見ても、過去最低の数値でした。

また、各実技テストの数値においては、特に「20mシャトルラン」「持久走」「50m走」で低下がみられています。

走ることが求められる種目において数値の低下が顕著であり、子供たちの持続可能な体力の減少が分かります。

(スポーツ庁:令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果より)

そもそも子供の体力低下はダメなことなのか

そもそも、体力がないということはダメなことなのでしょうか?

最近では在宅勤務も増えており、その環境も整ってきつつあります。

今の子供たちが大人になったときは、今よりももっともっと便利になっている可能性が大きいですよね。

だからといって、体力がなくてもいいわけではありません。

体力がないと、どんなことに困るのかお話しします。

ケガが増加する

体力が低下して外での活動が減ると、外遊びの中で身体の使い方を覚える機会が減ります。

すると、子供のころに身につけておきたい能力がうまく伸ばせず、柔軟性やバランス感覚、反射神経の低下が起きてしまいます。

これらが要因となって、ちょっとした段差でこけてしまったり、手をついただけで骨折してしまうなど、思わぬケガが増えてきているのです。

特に、家にこもりがちなお子さんが急に激しい運動をしたりすると、身体がついていかずに大ケガをすることがあるので気をつけなくてはいけません。

意欲低下が起きる

体力がないと疲れやすいので、すぐに疲労感を感じたり気持ちも内にこもってしまいがちなことから、意欲の低下を引き起こしやすくなります。

心と身体は繋がっているとよく言われますが、ストレスやメンタルの不調は、ジッとしているだけではなかなか改善が見込めません。

将来の夢を描いたり未来に希望を持つことも、心が塞いだ状態ではできませんよね。

意欲低下は、生きる力の低下です。

生きる力を育むためにも、体力低下への対策は真剣に考えなければなりません。

生活習慣病に繋がる

生活習慣病というと、大人の病気という印象を受けますが、そうではありません。

中高年に多い生活習慣病は、すでに子供のころの生活習慣によってその背景が確立されているという説があります。

令和元年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果では、子供の肥満が小学生男女、中学生男女共に増加傾向になっています。

また、肥満である生徒は体力合計点も低いことから、体力低下と肥満の関係性が調査によって明らかになりました。

小児肥満の70%は、大人の肥満に繋がるといわれています。

体力低下への対策をすることなく、生活習慣を見直さずにいると生活習慣病予備軍となってしまうこともあるのです。

(スポーツ庁:令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果より)

子供の体力低下の原因は何?

子供のすこやかな成長を妨げてしまう、体力低下の問題。

ケガや病気の引き金になってしまうかもしれないと考えると、親としてはとても心配ですよね。

では、その原因は何なのでしょうか?

順番にみていきます。

スマホやゲームの影響

子供の体力低下の原因として、スマホやゲームなどに使っている時間(スクリーンタイム)の増加が挙げられます。

ゲームや動画の視聴、それに加えてテレビの誘惑もあります。

公園に行っても今度は公園でゲームをしていたりと、確実に身体を動かす機会は減ってきています。

令和元年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査によると、特に小学生男子でその傾向が大きく、1日当たりのスクリーンタイムに占める時間は3時間以上視聴している割合が38.9%となっています。

その中でも、5時間以上視聴している子供は全体の15.4%です。

(スポーツ庁:令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果より)

また、このスクリーンタイムの増加は、体力合計点にも影響しています。

スクリーンタイムが長いほど、体力合計点が低くなるという調査結果が出ているのです。

(スポーツ庁:令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果より)

このように、スマホやゲーム、テレビによる体力低下は大きな関連があることが分かります。

実際に子供が動画やテレビ、ゲームを1日当たりどの程度見ているのか、いま一度観察してみてください。

また、同時に依存的になっていないかも注意して見ることが必要です。

スマホやゲームに依存的になっている場合は、いきなりスクリーンタイムをなくしてしまうような荒療治は逆効果です。

学校や専門機関と相談しながら、少しずつ触れる時間を減らすなどの対策を取っていくことになります。

子供のかかりつけの病院があれば、そちらで相談することもできますよ。

心配な方は、以下のチェックリストを試してみてくださいね。

ネット依存・ゲーム依存度チェック:https://mira-i.jp/check/

遊ぶ機会の減少

現代は、子供が思い切り遊べる機会が減っています。

公園があっても、大きな声を出せば近所からクレームが入ったり、ボール遊びは禁止されているところも多いですね。

通塾する子供も増え、毎日何かしらの習い事をしている子供もいます。

また、防犯上小さな子供だけでは遊ばせられないという地域もあります。

両親共働きだと、平日に外で子供の運動をサポートする時間はおそらくないでしょう。

子供に体力低下の心配がある場合、週末などを使っていかに子供へ運動の楽しさを体感してもらうかがカギになります。

食生活の変化

食生活の変化も、子どもの体力低下に影響しているといわれています。

高カロリーの食べ物が多かったり、偏食やファストフードを食べる機会が増えたことなどによる、全体的な栄養バランスの乱れも原因の一つです。

また、朝食を食べていなかったり孤食の問題も指摘されています。

例えば、カレーライスやスパゲティなどは、単品でお腹にたまりやすいのでついつい登場回数が増えてしまいがちですが、炭水化物が多く肥満になりやすくなります。

その他にも、栄養バランスが偏っている食事では筋肉がつきづらく、すぐにお腹がすいてしまうので気力や集中力が続きません。

子どもの体力低下が心配な場合は、普段の食事のメニューを見直してみるなどもひとつの手です。

特に朝早くの登校が必要な環境では、朝ご飯を食べてから給食までの時間が大きく空いてしまい、身体を動かす元気がない場合もあります。

子供と相談しながら、パン食をご飯にしたり、腹持ちのいい食べ物を工夫してみるといいですね。

一時的であれば、病気の可能性もある

急に子供の体力が低下してきたという場合、それは病気のサインかもしれません。

中でも起立性調節障害は、朝起きられなかったりボーっとしてしまったり、立ちくらみを起こしてしまうこともあります。

この病気は思春期の自律神経失調症ひとつで、大体10~16歳の年齢に多いといわれていますが、その予備軍はそれよりも前から不調のサインを出していたと考えられています。

特に午前中に不快な症状や倦怠感を訴えることが多いようです。

また、検査しても特段異常が見つからないのに3か月以上慢性的な疲労が続く場合は、小児慢性疲労症候群と診断されることがあります。

身体が動かないと強く訴える場合が多いので、不調の様子を注意深く観察することが必要です。

その他には、貧血であったり心の不調が関係してくる場合もあります。

生活習慣をや食習慣を整えたり、対策をしていても様子がおかしい時は一度医療機関に相談することをおすすめします。

子供を運動嫌いから好きに変える!体力低下へのアプローチ

生活習慣の乱れやスクリーンタイムの増加などにより、体力が低下してくると身体を動かすこと自体が億劫になってきます。

もともとは運動嫌いでなくても、悪循環が重なっていくにつれて、身体を動かすことを楽しめなくなってしまうのです。

運動をしたがらない子供へ、どんなアプローチがあるのか具体的に解説します。

ライフスタイルの見直し

生活習慣の見直しは、とても大切です。

特に自分から生活習慣の改善がまだできない子供へは、親からのアプローチが重要になってきます。

以下に大切なポイントを挙げましたので参考にしてください。

朝ご飯をきちんと食べる

朝ごはんをきちんと食べるということは、生活習慣を整えるのにとても役立ちますし、午前中の活動量アップが期待できます。

とはいえ、忙しい毎日の中で朝からバランスのいい食事をするのは難しいですよね。

まずは、バランスは意識しなくていいので、とにかく「食べる」という習慣を身につけましょう。

おにぎりやパンとヨーグルトを用意したり、シリアルなら牛乳をかけるだけで朝ご飯が出来ます。

パンを朝ご飯にするときは、朝は血糖値が上がりやすいので砂糖や脂質を多く含んだ菓子パンはできるだけ避けたほうがいいでしょう。

ロールパンや食パン、総菜パンなどがおすすめです。

その分、夜は肉や魚、野菜などできる限り多く使って栄養バランスのいい食事にしてみましょう。

スマホやゲームはメリハリをつける

スマホやゲームは、ダラダラさせないようにルールを決めましょう。

基本的には、1回の使用につき30分から1時間程度が目安となります。

このときに大切なのは、子供にある程度納得してもらうことです。

なぜ制限を設けるのか、スマホやゲームを長時間することでどんな弊害があるのか、理由を明確に伝えます。

その際には一般論ではなく、親としての気持ちも伝えてください。

あなたを心配しているということ、スクリーンタイム以外にも大切にしてもらいたい時間があるということ。

きちんとした説明もなく、一方的に制限時間を決めて強制的に切り上げてしまうのは、かえって依存させてしまったり逆効果になる場合もあります。

ひとりの人間として尊重しながら、どんな風にメリハリをつけるのかしっかりと話し合いましょう。

また、ゲームに関してはすべてのものを制限しなくても、管理は親が主導ですることを前提に、親子で楽しめる運動系のゲームソフトなどは体力づくりに役立ちそうです。

特に平日など、仕事がある日は親も大忙しです。

体力づくりは毎日おこなった方がより効果が上がることから、平日の運動として位置づけることもできますね。

子供にとっても、親子で楽しむ時間を作ることはプラスに繋がりますし、身体を動かすことの楽しみも同時に覚えられます。

臨機応変に対応しながら、スマホやゲームとの付き合い方を探っていきましょう。

睡眠時間の確保

小学生の睡眠時間の目安は、9~13時間程度といわれています。

6時に起きるとすると、最低でも21時には寝かせなくてはいけません。

まとまった睡眠をとることは、日中の活動に大きく影響します。

また、寝不足の状態では精神状態にも影響していきますので、やる気が起きなくなったり、勉強も効率も大幅に下がります。

大人でも睡眠不足では、身体が動きません。

運動や物事を楽しむためには、しっかり睡眠をとることがとても大切なのです。

楽しく身体を動かす工夫をする

運動をしたがらない子供の中には、過去にうまくできないことをバカにされたりした経験から、「自分は運動ができないから」「自分はヘタクソだから」といって運動を避けてしまうことがあります。

親と一緒に運動するねらいは、子供が安心できる環境で、身体を動かすことは「楽しい!」と思えるようにするということです。

運動が、たとえ苦手であっても親と一緒ならバカにされたりすることありません。

子供が運動をしたいと思うためには、まずは身体を動かすことが楽しいと思えるようにすることが大切です。

では、楽しく身体を動かすためにはどんな工夫をすればいいのか、以下に例をあげてみます。

動画やDVDを見ながらダンスをする

平成20年から体育の必修科目にダンスが加わり、より身近なものになりましたね。

ダンスは、ゆっくりとしたテンポでも1曲踊り終わるころにはかなりの体力を使います。

また、楽しい音楽で踊れば気持ちも上向きになります。

運動に抵抗感があるお子さんに関しては、親が率先して踊ったり、子供の好きな曲のダンスがないか探してみるのもおもしろいですね。

トランポリンやバランスボールなどを導入する

環境的に大丈夫であれば、トランポリンはただ飛ぶだけに見えてもかなりの体力を消耗します。

加えて、体幹が鍛えられるので体力づくりにはとてもおすすめです。

バランスボールも、腹筋や体幹が鍛えられるほか、すぐにこけたりうまくいったり、親子で遊びながら身体を動かすことができます。

その他には、子供の年齢に合わせて滑り台や平均台などを導入して、自宅をアスレチックのようにするのも楽しいですね。

生活用品を遊び道具にする

子供が小学校低学年くらいまでなら、生活用品を遊び道具にするのも楽しめます。

布団のうえででんぐり返しの練習をしたり、ただ単に布団のうえで子供を転がしてあげても喜んでくれたりします。

新聞紙を丸めて剣にして、親子で本気で戦いごっこをするのも身体をいっぱいに動かせますよ。

休日に親子で外に出てみる

特別な運動をしなくても、散歩をしたりジョギングするだけでもいい運動になります。

遠くまで行かなくても、近所の公園でも身体を動かすには充分です。

親はちょっと大変ですが、一緒に鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしてみたり、童心にかえって子供と遊んでみるのも楽しいですね。

「楽しく」取り組めるスポーツクラブに入る

子供が興味を示すところがあれば、スポーツクラブや身体を動かす習い事を始めるのも効果的です。

その際に注意したいのは、そのクラブや教室の雰囲気です。

中には、結果を求めて厳しく指導を行うところもあります。

体力の低下が見られる子供にとって、いきなり厳しい指導をされると、本人にやる気があったとしても身体と心がうまくかみ合わずにバランスを崩してしまうこともあります。

事前に体験してみたり、クラブや教室の雰囲気を体感してみてくださいね。

子供が「楽しい!またやりたい!」と思える場所を探しましょう。

まとめ

体力低下は、一部の子供の問題ではなく、今や国を挙げて取り組むべき問題とされています。

スポーツ庁の調査を受けて、学校でも取り組みは行われていますが、学校だけでは充分な対策は難しいのが現状です。

公園で自由に遊ぶことができなくなったり、タブレット端末が普及したことにより、ゲームや動画を視聴する時間が長くなり、身体を動かす機会がどんどん減ってきています。

また、食生活の変化できちんとした朝食が食べれていないことも、ひとつの原因といわれています。

体力低下は一見すると、日常生活に支障がないように見えても、長く続くことでケガや意欲低下招いたり、場合によっては生活習慣病に繋がることもあります。

生活習慣を整えて、まとまった睡眠の確保をしましょう。

朝ご飯をしっかり食べてから、一日の活動をすることでより身体を動かして楽しく過ごすことができます。

体力低下の対策として子供の希望に合わせてスポーツクラブに入ったり、身体を動かす習い事に入るのもおすすめです。

休日に親子で散歩したり、家族で運動するなど、身体を動かすことの楽しさを知ってもらうこともとても大切になります。

子供本人としっかり話し合い、親子である程度の共通認識を持ったうえで行うとより改善に効果を発揮します。

ぜひ自分自身も楽しみながら、子供と一緒に体力低下と向き合ってみましょう。

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この記事の監修

森 瞳
NPO法人umi 代表理事
自分自身の妊活をきっかけに、世の中の妊娠に関する知識不足に気づき、妊娠、不妊、不妊治療に関する正しい知識を啓蒙するNPO法人umiを立ち上げる。
3年間の妊活の末に授かった2人の男の子の育児に奮闘する一方で、交流会や動画制作、本の出版を通じて、啓蒙活動を拡大中。

太田 恭子
管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、幼児食マイスター、ベビーフードインストラクター 東京女子大学卒業後、フリーアナウンサーとして活動。
「子供の好き嫌いをなくすのは、親の役目」と考えたことから、食育に関する資格を取得。
食育をテーマにした、各種セミナーなどを開催中。

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