「ぽっちゃりしているけど、健康的に問題はない?」
「身長が小さめだから、いじめられないかしら…」
ついつい周りと我が子を比べてしまい、心配になってはいませんか?
人は周りと同じくらいであることがわかると、安心するものです。
そこで今回は、子供の身長・体重が平均的であるかを調べる方法について解説します。
もし平均から少々外れていたとしても、これからの生活改善しだいで、将来子供が容姿や病気で悩むリスクを減らせます。
この記事を読んで、お子さんが健康で自分に自信を持てるようにサポートしましょう!
子供の身長・体重が平均的であるか調べる方法
子供の身長・体重が平均的であるかどうかは、グラフや計算式で簡単に調べることができます。
ここでは、「成長曲線」と「肥満度」を使った方法を解説します。
成長曲線で身長を調べる
子供の身長が平均的であるかどうかを調べるためには、「成長曲線」を使うとわかりやすいでしょう。
成長曲線とは、子供の平均的な身長や体重の成長を表した曲線グラフのことです。
母子手帳や身体測定の記録用紙などで、一度は目にしたことがあると思います。
以下のように厚生労働省で公表されているので、使用してみましょう。
成長曲線は、横軸の年齢と縦軸の身長が交わるところに点を打ち、記録をします。
各年齢で身長や体重を成長曲線に記録していくことで、子供が正常に成長しているかどうかを判断できるものです。
成長曲線には、「3,10,25,50,75,90,97」と数字が記載された曲線グラフがあります。
一番下の「3」の曲線は、100人中の前から3番目に並ぶ子供の成長を表しており、一番上の「97」の曲線は、97番目に並ぶ子供の成長を表しているグラフです。
つまり真ん中の「50」の曲線は、平均的な子供の成長を表しています。
子供の身長が、「3から97の曲線の間の値」であれば、平均的な身長であると判断できるのです。
子供の体重が平均的であるか調べる
子供の体重が平均的であるかを判断するためには、標準体重から「肥満度」を計算する方法が一般的となります。
ここでは、標準体重と肥満度を計算する方法を解説しますので、お子さんの肥満度をチェックしてみましょう。
まずは標準体重を計算する
それでは、まず標準体重を計算してみましょう。
標準体重は、以下の式で求められます。
標準体重=a×身長(cm)-b
aとbには、文部科学省で公表されている以下の数字を入れます。
<男子の場合>
5歳 | a=0.386 | b=23.699 |
6歳 | a=0.461 | b=32.382 |
7歳 | a=0.513 | b=38.878 |
8歳 | a=0.592 | b=48.804 |
9歳 | a=0.687 | b=61.390 |
10歳 | a=0.752 | b=70.461 |
11歳 | a=0.782 | b=75.106 |
12歳 | a=0.783 | b=75.642 |
13歳 | a=0.815 | b=81.348 |
14歳 | a=0.832 | b=83.695 |
15歳 | a=0.766 | b=70.989 |
16歳 | a=0.656 | b=51.822 |
17歳 | a=0.672 | b=53.642 |
<女子の場合>
5歳 | a=0.377 | b=22.750 |
6歳 | a=0.458 | b=32.079 |
7歳 | a=0.508 | b=38.367 |
8歳 | a=0.561 | b=45.006 |
9歳 | a=0.652 | b=56.992 |
10歳 | a=0.730 | b=68.091 |
11歳 | a=0.803 | b=78.846 |
12歳 | a=0.796 | b=76.934 |
13歳 | a=0.655 | b=54.234 |
14歳 | a=0.594 | b=43.264 |
15歳 | a=0.560 | b=37.002 |
16歳 | a=0.578 | b=39.057 |
17歳 | a=0.598 | b=42.339 |
例えば、身長135cmで体重33kgの10歳男子の標準体重は、以下のように左から順に計算します。
標準体重=0.752(aの係数)×135cm-70.461(bの係数)=約31kg
身長135cmで体重33kgの10歳男子の標準体重は、31kgということになります。
標準体重から肥満度を計算する
先に計算した標準体重を使って、肥満度を計算します。
以下が肥満度の計算式になります。
肥満度=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100(%)
身長135cmで体重33kgの10歳男子の肥満度を計算する場合、標準体重には計算した31kgを入れ、実測体重にはお子さんの体重である33kgを入れます。
以下が、肥満度の式に実測体重と標準体重を入れて計算した結果です。
肥満度=(33kg-31kg)÷31kg×100=約6%
幼児は、肥満度が15%以上で太りぎみ、20%以上でやや太りすぎ、30%以上で太りすぎと判断できます。
学童は、肥満度が20%以上で軽度肥満、30%以上が中等度肥満、50%以上が高度肥満です。
つまり身長135cmで体重33kgの10歳男子は、「肥満ではない」ことがわかります。
平均身長・体重からどのくらい外れていても大丈夫?
前述の成長曲線や肥満度の計算で、もし子供の身長や体重が平均的な数値から外れていた場合は、心配になってしまいますよね。
しかし単に平均から外れていただけでは、心配のないケースもあります。
ここでは、平均と見なせる目安について解説していきます。
身長の目安
身長については、以下のように成長曲線に沿った上向き・下向きの曲線(緑色の線)を描いていれば、97の曲線より上または、3の曲線より下の値であっても正常です。
しかし成長曲線に沿わず、成長曲線に交差する曲線ができた場合(①の曲線)や、成長曲線からどんどん離れていっている場合(②の曲線)は、成長ホルモンの分泌異常が起きている可能性もあります。
そのような場合は、かかりつけの医療機関を受診しましょう。
体重の目安
肥満度に関しては、幼児は20%以上、学童は30%以上の中等度肥満の場合、主治医や学校などから健康相談や、医療機関の受診を勧められる可能性があります。
反対に、肥満度が幼児はマイナス15%以下、学童はマイナス20%以下である場合、痩せすぎと判断されます。
しかし肥満度については、肥満や痩せすぎの数値になったとしても、数値がどのように推移してきたかが重要になります。
肥満度が40%から30%に下がった場合と、数%から急に30%となった場合、30%がずっと続いている場合によっても、30%という肥満度の意味が変わってきます。
病気が関係している場合もあるので、経年的に記録を続け、肥満や痩せの原因がわかるようにしておきましょう。
平均よりも肥満度が高い場合のリスクと対処法
近年の洋食化や、お菓子を食べる量が増えたことにより、子供の肥満は増加しているといいます。
それでは肥満度が高いと、どのようなリスクがあるのでしょうか。
対処法も合わせて紹介します。
肥満度が高いと起こりうるリスク
「子供は少しくらいぽっちゃりしていた方が可愛い」
「今は太っていても、成長期がくれば自然と痩せる」
と考える方もいますが、注意が必要です。
子供の肥満状態が続くと、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まります。
さらに生活習慣病になると、将来、脳卒中や狭心症になるリスクも高まるのです。
成長期がくれば自然と痩せると思われがちですが、幼児期に肥満状態でいた場合、一度痩せたとしても、思春期に肥満になる可能性が高まります。
そのほかにも、骨が早くに成熟してしまい、幼いうちに身長が高くなる傾向があるようです。
幼いうちに身長が高くなったとしても、思春期には身長の伸びが止まってしまうリスクがあると言う小児科医もいます。
これらのリスクからもわかるように、小さなころから、なるべく肥満を解消するように心がけましょう。
肥満度を下げる対処法
肥満を解消するためには、生活習慣を見直すことが大切です。
ここでは、生活習慣を見直すための方法をご紹介します。
肥満を解消するだけで、将来的な病気のリスクも下げられますし、お子さんが体型に悩んでしまうことも防げます。
しかし体重の増加を気にしすぎて食事を制限しすぎると、成長に支障が出てきてしまいます。
とくに女の子の過度なダイエットは、身長が伸びにくくなるだけでなく、生殖機能にも影響があるので注意しましょう。
食事のバランスを整える
農林水産省「食事バランスガイド」では、以下のようなバランスで1日に摂る食事量を推進しています。
ポイント
- 主食…お米(中盛り)なら4杯程度
- 副菜…野菜料理5皿程度
- 主菜…肉・魚・卵・大豆料理から3皿程度
- 牛乳・乳製品…牛乳は1本程度
- 果物…ミカンの場合2個程度
洋食は脂が多めなので、和食も食べさせてあげるように心がけましょう。
食事時間をコントロールする
食事の時間が一定でなかったり、欠食してしまったりすると、間食が増えてしまう原因になります。
朝は7~8時、昼は12時~13時、夜は19時~20時に、お子さんが食事を摂れるようにコントロールしましょう。
おやつの量をコントロールする
現代の子供は、昔の子供に比べて、お菓子やジュースを摂る量が増えています。
成長するほど、おやつの量を親がコントロールすることが難しくなるので、小さいうちから親が適切な量を与えるようにしましょう。
日本小児学会の資料によると、おやつの量は1日に必要なエネルギーの10~15%が目安になるそうです。
1~2歳は約100kcal、3歳以上は約200kcal以内が目安になります。
軽い運動を取り入れる
2010年に日本体育協会が発表しているガイドラインには、「子供は一日最低60分以上、体を動かす必要がある」としています。
とはいえ、急に激しい運動を行わせるのは難しいものですよね。
まずは通学途中に腕や足を大きく動かして歩いたり、歯磨き中にかかとを上げ下げする運動をしたりなど、無理のない運動から始めてみましょう。
睡眠時間を確保する
睡眠時間は、肥満と深い関係があります。
睡眠中、体内では成長ホルモンが分泌され、脂肪を分解しています。
そのため、睡眠不足になると脂肪が分解されにくくなり、太りやすくなるのです。
さらに睡眠が不足すると、食欲に関係するホルモンの分泌が上昇することで、食欲が増進して太りやすくなることも…。
しっかりと睡眠時間を確保するだけで、太りにくい体づくりができます。
生活習慣を見直しても肥満が改善されない場合
内分泌系の病気により、太りやすくなってしまう場合もあります。
生活習慣を見直しても肥満の改善がみられない場合は、病気を疑い、医療機関を受診しましょう。
身長・体重が平均を下回る場合のリスクと対処法
身長や体重が平均を下回っている場合でも、お子さんが元気に過ごせていれば問題はありません。
しかし、元気のない場合はどのようなリスクがあるのでしょうか。
ここでは、低身長や低体重のリスクや、対処法について解説します。
痩せすぎていることのリスク
疲れやすかったり、食欲がない場合は、栄養不足や精神面で問題を抱えている可能性があります。
痩せすぎは、骨の密度が低くなる「骨粗鬆症」や、食べ物を受け付けなくなる「拒食症」も引き起こすリスクがあります。
まずは、お子さんが抱えている問題を聞き出してあげることから始めましょう。
小食や偏食で栄養が不足している場合は、以下に紹介する生活習慣の改善方法の実践がおすすめです。
生活習慣を改善しても変化が見られない場合は、そのほかの病気の可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。
身長が低いことのリスク
低身長であっても元気である場合も多いため、ほとんどの子供が病気とは診断されないそうです。
しかし身長が低いことで人の目が気になったり、自信をなくしてしまう原因にもなります。
成長ホルモン治療で改善できる場合もあるため、早期に発見してあげることが重要です。
男の子は4~11歳、女の子は4~10歳までが治療の効果がよく出る時期なので、成長曲線を経年的にチェックし、もし低身長が疑われる場合には医療機関を受診しましょう。
低身長・低体重への対処法
低身長も低体重も、小食や偏食による栄養不足が原因の場合は、以下に紹介する対処法で改善することもあります。
お子さんに健康や容姿にも自信を持たせてあげられるように、無理のない範囲で、チャレンジしてみましょう!
足りていないカロリーを補う
成長期は、「体を動かすためのカロリー」に加えて、「体を成長させるためのカロリー」が必要となるため、大人以上にカロリーを必要とします。
しかし摂取カロリーより消費カロリーが多いと、成長するために必要な栄養が足りなくなるのです。
スポーツをしているお子さんは、よりカロリーが必要となり、不足しやすくなります。
一食で多くのカロリーを摂ろうとするのではなく、おにぎりやパンなどの補食をこまめに摂って、足りないカロリーを補いましょう。
運動で成長を促進する
身長は親からの遺伝で9割以上は決まるとされていますが、環境要因も身長に影響します。
骨は縦方向に負荷をかけると、成長が促進されるそうです。
ただ立っているだけでも、骨には重力という縦方向の負荷がかかり、骨を成長しやすくします。
まずは、電車ではなるべく座席に座らずに立つように心がけるだけでもよいですね。
ジャンプ運動はより骨に負荷をかけられるので、日頃から体全体を使った運動をしてみましょう。
偏食・小食にはサプリメントも一つの手
偏食する子や小食の子に無理矢理食べさせても、精神的な負担になります。
サプリメントを使って足りない栄養素を補うのも、一つの方法と言えるでしょう。
子供用に販売されている成長応援サプリメントは、骨の成長に必要な栄養素だけでなく、健康維持に必要なビタミンや、体を作るプロテインなどの栄養素も豊富に含まれています。
普段の食事にプラスしてみるのもよいですね。
まとめ
子供の身長・体重が平均的であるかを調べる方法や、肥満・低体重・低身長のリスクと対処法について解説しました。
身長や体重は個人差があるので、周りの子供と我が子を比較して過剰に不安になる必要はありません。
見た目の比較では、自分の子供が正常に成長しているか正確に判断するのが難しいものです。
本記事で紹介した「成長曲線」や「肥満度」を経年的に記録し、定期的に確認しましょう。
もし平均的な身長・体重から外れていた場合は、本記事で紹介した対処法で改善される場合もあります。
対処法のほとんどは、「生活習慣の改善」です。
お子さんの食事や運動、睡眠などの生活習慣を改善するサポートをし、健康で自信を持って生活できる未来をプレゼントしてあげましょう!