幼稚園や保育園に通い始めると、周りの子と比較することが多くなります。
「個人差があるとはいえ、うちの子はちょっと成長が遅いかもしれない。」
「でもどのくらい遅いんだろう…病院とか行かなくていいのかな。」
このように自分の子の成長が気になることが出てくるかもしれません。
そんな時に調べたいのが「発達指数」です。
発達指数を調べると、どの程度成長が遅いのかがわかります。
この記事では発達指数について、どのようなものか、という初歩的なものを含め、実際に発達指数を調べる方法や検査する機関などについて、詳しく解説します。
子どもの発達状態が気になる時、参考にしてください。
発達指数とは
発達指数とはDQ(Developmental Quotient)とも言われるもので、子どもの発達状態を数値化したものです。
算出方法は以下の通り。
【発達指数の算出方法】
発達年齢÷実年齢×100
例えば実年齢が4歳で発達年齢が3歳の場合、以下のような式になります。
3÷4×100=75
年齢通りの発達ならば100になりますので、75は通常よりも発達が遅れている、ということを意味します。
なお発達指数を出すための検査方法は、検査機関によって若干の差もありますが、主に以下の2つがよく使われます。
新版K式発達検査
遠城寺式乳幼児発達検査
この2つの検査方法は、検査ができる年齢や検査内容が少しずつ違ってきますが、どちらも障害の確定するための診断ではありません。
新版K式発達検査
新版K式発達検査は生後100日から成人まで検査可能です。
子どもの発達を以下の3領域ごとに評価し、それぞれ発達指数を出していきます。
- 姿勢・運動
- 認知・適応
- 言語・社会
遠城寺式乳幼児発達検査
遠城寺式乳幼児発達検査は産まれてすぐ~4歳8か月まで検査可能です。
こちらも新版K式発達検査と同様3領域にわけて調べますが、こちらは3領域をもう少し細かくわけて調査します。
- 運動
- 移動運動
- 手の運動
- 社会性
- 基本的習慣
- 対人関係
- 言語
- 発語
- 言語理解
知能指数と何が違うのか
巷でよく聞く知能指数と発達指数は何が違うのかがわからない人もいるかもしれません。
繰り返しになりますが、発達指数は子どもの発達状態を数値化したものです。
発達とひとことで言っても運動や言語、社会性など分野は多岐に渡ります。
対して知能指数は知能に特化して数値化したものです。
そのため発達指数が低いと知能指数も同じく低い、とは限りません。
片方が高く、片方が低いということもあります。
生活面での遅れが気になる場合は発達指数を調べ、知能の遅れが気になる場合は知能指数を調べるとよいでしょう。
発達指数に関するよくある疑問
発達指数とはどのようなものか、お判りいただけましたでしょうか。
しかし「発達指数がどのようなものか分かったけれど、じゃあ実際発達指数を調べたいときや発達指数が低かった時はどうすればいいんだろう?」と疑問が出てくるかもしれません。
そのような人のために、発達指数についての質問とその回答を解説します。
1.発達指数は上がることはないの?
一度発達指数が低いと診断されたとしても、何年か後に再度検査をすると以前よりも100に近づくことはありえます。
子どもの成長は個人差があることもひとつの理由です。
また子どもに合った療育を受けることで、発達指数が上がることもあります。
これは日常生活を送るうえで困っていること(低い領域)の改善を療育で行うからです。
2.発達指数が低いと障害があるの?
発達指数が低いからといって障害があるとは限りません。
あくまでも発達指数は発達度合いの目安です。
また特に小さい子の場合、検査時の機嫌や状態で結果も変わってくることが多いです。
もし障害がある場合は、1度の検査で結果を出さず長期で様子を見たり、何度か発達指数を調べたりした後、発達障害と診断されます。
3.発達指数はどこで調べられるの?
街の小児科で発達指数を調べられる病院は少ないです。
そのため発達指数をどこで調べたよいかわからないかもしれません。
子どもの発達が気になり発達指数を調べたいときは、まずお住まいの地域で行われる乳幼児診断で相談するとよいでしょう。
乳幼児診断が終わった後であれば、各自治体の保健センターや児童センター、市役所の乳幼児の障害に関する課に問い合わせましょう。
住んでいる場所によりますが、公的機関であれば無料で発達指数を調べられることもあるので、まずは料金等、公共機関にご確認ください。
また公的機関ではなく医療機関で発達指数を調べる場合は、有料となります。
4.発達指数を調べるとき、どんな検査をするの?
「実際検査では、どのようなことを調べるんだろう」と心配になるかもしれません。
そのような人のために、発達指数の診断内容について解説します。
診断内容は、診断方法によって変わります。
まず新版K式発達検査の場合、年齢ごとに6枚の検査用紙が準備されます。
この紙には検査項目が記載されていて、全項目実施されます。
口頭で回答するだけではなく、実際に絵をかいたり積み木を積み上げたりする検査項目もあります。
また検査時、検査者と子どもが向かい合って座るのですが、回答内容や実際にやってみた結果だけではなく、待つ間の挙動なども検査者は診断の材料にします。
次に遠城寺式乳幼児発達検査のですが、こちらも紙に検査項目が記載されています。
「この年齢ならこれができる」という項目が記載されていて、子どもはどの発達年齢の項目までできるかを調べます。
なお遠城寺式乳幼児発達検査の検査内容の詳細はこちらからダウンロードできますので、気になる方はダウンロードしてみてください。
参照:遠城寺式乳幼児発達検査
5.もし発達指数が低いと診断されたらどうすればいい?
単に発達指数を知るだけでは意味がありません。
低いとわかった場合、この後どうすればよいかは役所等の担当者もしくは医療機関に相談しましょう。
療育が必要であれば療育手帳を取得する手順を教えてもらえたり、まだ様子見でよい場合は次いつ診断すればよいかを確認したり、適切なアドバイスをもらえます。
あわせて日常生活で気を付けると良いことは何かなどもあわせて聞くと良いでしょう。
発達指数は1度だけ調べて終わり、ではありません。
成長とともに発達指数が上下する可能性もあるので、定期的に調べることが大切です。
6.発達指数が低いと、普通学級には行けないの?
発達指数が低いからといって発達障害や知的障害とは限りません。
そのため発達指数が低くても、普通学級に通うことができます。
心配な場合は、入学前に行われる就学相談を受けるとよいでしょう。
発達指数を調べる目的
そもそも何のために発達指数を調べるのかというと、発達遅延があるかどうかを確認するだけではありません。
発達障害や知的障害の有無を確認するものでもありません。
最大の目的は、子どもの発達状況と生活をしていく上で困難なことを把握し、どのような支援をすればよいかを知ることです。
発達指数が低かったからといってそこで終わるのではなく、子どものために一番よい支援をしてあげることが大切です。
まとめ
子どもの発達が気になった時、発達指数を調べるとどのくらい発達が遅延しているかがわかります。
この発達指数について、以下の6点を覚えておくと良いでしょう。
ポイント
- 発達指数とは発達度合いを数値化したもので、障害を確定するものではない
- 発達指数の検査方法は主に2つあり、新版K式発達検査と遠城寺式乳幼児発達検査が使われることが多い
- 新版K式発達検査は生後100日から成人まで検査可能
- 遠城寺式乳幼児発達検査は新生児から4歳8か月まで検査可能
- 発達指数を調べたいときは、まず住んでいる地域の保健センターや市役所の子どもに関する課に相談する
- 発達指数は1度調べて終わりではなく、何度か検査をして長期で発達を見守ることが大切
まずは保健センターや市役所に相談し、子どもにとって何が一番よいかをしっかり確認しましょう。