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特別支援学校と英語教育、気になる疑問を大解決

国際化が進み、日本人の英語力の低さが問題視される中、小学校から英語教育が始まるようになりました。

では、普通の小学校ではなく特別支援学校に通っている子供たちは、英語を学んでいるのでしょうか。

この記事では、特別支援学校で英語を学べるのか、学べないのならそれは何故か、学校以外で英語を学ぶ方法はあるのか、特別支援学校ではなく特別支援学級ではどうなのか、などの特別支援教育における英語の授業についての疑問を解決していきます。

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特別支援学校で英語は学べるの?

特別支援学校と一言で言っても、障害の種類によって学ぶことは異なってきます。

文部科学省の学習指導要領でも、「視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校」と「知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校」で規定を分けています。

前者の、知的障害以外の障害がある子のための特別支援学校と、後者の、知的障害がある子のための特別支援学校に分けて、英語の授業の取り扱いについて説明します。

知的障害以外の障害の特別支援学校の場合

知的障害をもたない子に対する教育を行う特別支援学校では、基本的に英語の授業はあります。

文部科学省のホームページでは、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の第2章各教科で、視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校の、各教科の授業の目標、内容、指導計画について「小学校学習指導要領第2章に示すものに準ずる」と書かれています。

これはつまり、普通の小学校の学習指導要領の各教科の授業の目標、内容、指導計画と同じですということです。

もちろん、障害の特性によっては特別な配慮が必要になります。

そのための特別支援学校なので、 それぞれの障害の特性に応じた学びやすい方法で、授業を行います。

ですが、基本的に学ぶ内容としては普通の小学校と同じなので、英語の授業もあります。 

中学部も同じで、普通の中学校と同じように英語の授業があります。

知的障害の特別支援学校の場合

知的障害の子の特別支援学校では、英語の授業は必ずしもあるとは限りません。

文部科学省の、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の第2章各教科によると、知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校では、「小学校学習指導要領第2章に示すものに準ずる」とは書かれていないのです。

代わりに、「各教科の目標及び内容」として次の教科の授業の目標や内容、指導計画などが書かれています。

  • 生活
  • 国語 
  • 算数 
  • 音楽 
  • 図画工作 
  • 体育

これを見てわかる通り、小学部の授業に英語はありません。

英語以外にも、理科と社会もありません。

しかし、中学部だと、この「各教科の目標及び内容」で出てくる教科が次のようになります。

  • 国語 
  • 社会 
  • 数学 
  • 理科 
  • 音楽 
  • 美術 
  • 保健体育 
  • 職業・家庭 
  • 外国語

ここで言う外国語は英語のことですから、知的障害の子の特別支援学校でも中学部の授業には、英語が入っています。

これらのことは、盲学校、聾学校、肢体不自由や病弱者の特別支援学校の中の、知的障害も併せ持つ子のための重複学級というクラスでも同じことがいえます。

実際、本当に英語を学んでいるの?

学習指導要領によると、知的障害の子の特別支援学校では中学部から英語の授業があることになっていましたが、本当に中学部から英語の授業があるのでしょうか。

私には知的障害児の息子がいますが、彼が進学する予定の特別支援学校では、中学部でも英語の授業がいっさいありません。

学習指導要領だけを見ると、 特別支援学校でも中学部になれば、みんな英語を学べるのだと思いがちですが、実際はそういうわけでもないようです。

文部科学省の特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の、指導計画の作成と各教科全体及び各教科の内容の取扱いという項目では、それぞれの生徒の知的障害の状態や経験などを考慮して、実際に指導する内容を選び、具体的に指導内容を決められるとも書いてあります。

このように、知的障害がある子の特別支援学校においては、英語の授業は必ずしも必須ではないようです。

実際、特別支援学校で英語の授業を受けている子はどのくらいいるのか、知的障害の特別支援学校に子供を通わせたことがある親御さんに聞いてみたところ、8割近い親御さんが、小学校から高校まで英語の授業はなかったと答えました。

学校によって方針は違うので断定的な言い方はできませんが、いずれにしろ、知的障害の特別支援学校では積極的には英語の授業をしていない、ということはわかります。

なぜ知的障害の特別支援学校ではあまり英語の授業をしないのか

知的障害の特別支援学校で英語の授業がないことが多い理由として一番大きいのは、英語の他に、もっと優先順位が高い学ぶべきことがあるからです。

一週間の授業数は限られているので、先生たちは与えられた時間を、生徒の将来にとってより意味のある時間にするように授業を計画していくしかありません。

知的障害の特別支援学校に行く子は、小学生でも身の回りのことが一人でできないことが多いです。

中学生、 高校生になっても、英語どころか日本語の会話もできない子も多いです。

英語の勉強よりも、身の回りの自立やコミュニケーション術、社会性の勉強、就労に向けた技能を身につけることなど、やるべきことがたくさんあるのです。

だから、そういった授業に時間を割いていくと、どうしても英語の授業まで時間が取れなくなってしまうということが考えられます。

ただし、特別支援学校に通う子でも、英語に特別に興味があったり、知的の遅れがそこまで大きくなかったりで、英語を学べそうな子もいます。

その子のニーズに応じて個々に対応した学びが提供されるのが特別支援学校なので、そういう場合、先生に相談して必要だと認められれば、英語の授業に対応してもらえる可能性もあります。

特別支援学級では英語の授業がある

知的障害の特別支援学校では英語の授業がないことが多いと書きましたが、知的障害の特別支援学級では、英語の授業があります。

特別支援学級は特別支援学校とは違い、普通の小学校の中にある、特別な支援を必要とする子のためのクラスです。 

地域差もありますし厳密な線引きはありませんが、同じ知的障害の子を対象としていても、特別支援学級に来る子は、特別支援学校に行く子に比べて知的障害の程度が比較的軽いです。

特別支援学級で学ぶ教科は基本的に普通学級と同じですが、支援学級では少人数でゆっくり、本人がなるべく学びやすいように障害に配慮しながら授業を進めていきます。 

ですから、普通学級とは進め方が違ったとしても、特別支援学級では英語の授業はあります。

どうしても英語を学ばせたかったらどうしたらいいのか

「特別支援学校に通わせたいけれど、英語の授業がないのが気になる」

「子供が通っている特別支援学校では英語の授業があるけれど、内容が物足りない」

「特別支援学級の英語の授業が物足りない」

「子供に知的障害があってももっと英語を学ばせたい」

そんなふうに思っている親御さんもいるでしょう。

ここでは、子供に英語を学ばせる二つの方法をご紹介します。

英語の時間がある放課後等デイサービスに通う

障害がある小学生から高校生までを対象とした、放課後等デイサービスという福祉サービスがあります。

受給者証が必要になりますが、放課後や休日に通って、生活の自立を促したり、創作活動や地域との交流をさせてくれたりと、障害のある子が安心して過ごせる居場所を提供してくれる人気のサービスです。

放課後等デイサービスは、事業所によって活動内容も、受け入れている子の障害の程度にも差があります。

普通級に在籍している子が多い事業所では、英語や他の教科の学習支援の時間をとってくれる可能性も高いです。

また、支援級や支援学校に在籍している子が多い事業所でも、「英語」という活動時間を作って、その子たちが興味をもてるような方法で英語に触れられる機会を作っていたりもします。

学校以外で英語を学ばせたい、でも普通の学習塾では荷が重いという時は、放課後等デイサービスで、ニーズにかなう支援を受けられるところを探してみるのも一つの方法です。

ただし、放課後等デイサービスは学習塾ではないので、勉強を教わることが目的の場所ではありません。

公文式に通う

障害がない普通の子が通うイメージの強い公文式ですが、実は障害児への指導も行なっています。

全ての教室が対応しているわけではありませんが、 実際、小学生から高校卒業まで公文式で学んだという知的障害のお子さんもいます。

公文式では英語も扱っていますから、公文式に通って英語を学ぶというのも一つの方法です。

ただし、障害の程度によるのと、障害児に対応している教室は限られるので、一度、 事務局に相談して対応できるかどうか確認する必要があります。 

まとめ

特別支援学校の中でも、知的障害以外の特別支援学校 であれば、普通の小学校と同じように英語の授業があります。

ただし、知的障害の特別支援学校は、学習指導要領からして少し違うので、英語の授業があることは少ないです。

その理由としては、知的障害の特別支援学校にいる子の場合、身の回りの自立など、英語よりもっと他に学ぶべきことがたくさんあるからだと思われます。

知的障害の子が対象でも、特別支援学校ではなく特別支援学級では、普通学級とは進め方が違ったとしても、英語の授業があります。

いずれにしろ、知的障害がある子の親御さんが、学校では満足に英語を学べない、もっと英語を学ばせたい、と思った時、放課後等デイサービスや公文式など、学校以外の場で英語を学ばせる方法もあります。

子供の状況を見ながら、英語に限らず、今その子に必要な学びを受けさせてあげられるような環境を整えてあげたいですね。

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この記事の監修

森 瞳
NPO法人umi 代表理事
自分自身の妊活をきっかけに、世の中の妊娠に関する知識不足に気づき、妊娠、不妊、不妊治療に関する正しい知識を啓蒙するNPO法人umiを立ち上げる。
3年間の妊活の末に授かった2人の男の子の育児に奮闘する一方で、交流会や動画制作、本の出版を通じて、啓蒙活動を拡大中。

太田 恭子
管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、幼児食マイスター、ベビーフードインストラクター 東京女子大学卒業後、フリーアナウンサーとして活動。
「子供の好き嫌いをなくすのは、親の役目」と考えたことから、食育に関する資格を取得。
食育をテーマにした、各種セミナーなどを開催中。

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