子供の喧嘩に親はどこまで介入すればよいのでしょうか。
兄弟・姉妹の喧嘩であれば止めるタイミングが分かっても、よその子供と喧嘩になった場合はどう対応すればいいのか悩む人も少なくないでしょう。
初めての喧嘩に、どう対応すればいいのか親が悩むケースも少なくないでしょう。
この記事では、子供の喧嘩について親がどう対応するかを詳しく紹介します。
喧嘩をした子供に対するフォローや親が止めたい喧嘩など、子供同士のもめ事に悩んだときの参考にしてください。
子供にとっての喧嘩って?
子供が成長する段階で、子供同士の喧嘩を避けることはできません。
多かれ少なかれ、どこかで必ず友達と喧嘩をすることになるでしょう。
それでは、子供にとって喧嘩はどのような意味を持っているのでしょうか。
子供の喧嘩をどう捉えればよいのか、園児と小学生に分けて紹介します。
保育園・幼稚園:大きく成長するチャンス
保育園・幼稚園に通う子供にとって、喧嘩は成長のチャンスです。
子供は両親からの愛情を受けて自分の存在を認識していきます。
自己主張が強くなると、お気に入りのおもちゃに執着したり気に入らないことがあると泣き叫んだりすることもあります。
そして、子供の自己主張同士がぶつかることで喧嘩が発生します。
子供は喧嘩を通して、すべてが自分の思い通りになるわけではないと学んでいくのです。
並んで順番を待つ、おもちゃを「貸して」と言うといったことは、親が子供に教える人間関係のルールです。
しかし、どれだけ言葉で伝えても、実際に体験しなければ心から納得はできないでしょう。
喧嘩になって嫌な思いをすることで、子供は何がダメなのかを理解していきます。
仲良く遊ぶだけでなく、喧嘩も人との関わりです。
友達と喧嘩ができるのは、子供の社会性が育ってきている証だといえるでしょう。
小学生:感情コントロールを学ぶ時期
小学生になると、自分と他人の違いを把握して、喧嘩にならないためにどうしたらいいのか考えられるようになります。
友達の性格を理解した上で「ここで強く言うと喧嘩になるから我慢しよう」と、自分の感情や言動をコントロールすることを覚えていく時期です。
また、幼児期は家の近さや保育園や幼稚園が一緒だという理由で友達付き合いをすることが多いでしょう。
小学生になると、子供の世界が広がり、子供自身が気の合う子と仲良くするようになります。
その結果、仲が良い友達に冷たくされたり誤解されたりといった、自己主張がぶつかり合う以外の喧嘩パターンが増えてくるでしょう。
人間関係がうまくいかないときに気持ちをどう切り替えるのかも、小学生のころに学んでいくことです。
親は子供の喧嘩にどう対応する?
続いて、子供の喧嘩にどう対応したらよいかを紹介します。
大切なのは、どのような場合に子供の喧嘩に介入するのか、そのラインを決めておくことです。
見守りたい喧嘩と仲裁したい喧嘩についてお伝えしますので、ライン決めの参考にしてください。
小さな喧嘩は止めずに見守る
おもちゃの貸し借りや遊具の順番待ちなど、日常的な場面でのちょっとした喧嘩は、子供がどう解決するかを見守ってあげたいですね。
相手の子供との関係性にもよりますが、人との関わりで子供が成長するチャンスですので、できる限りは子供に任せてみましょう。
子供の喧嘩は、ただ見ているだけにならず、必要なときはすぐ仲裁できるようにしておくことが大切です。
子供に任せるにしても、目は離さないようにしてくださいね。
そして、子供が小学生になると、親の目が届かないところでの喧嘩が増えてくるでしょう。
そのころには子供自身の友達関係が出来上がっていますので、親が介入するとかえって解決が難しくなるケースがあります。
子供に相談されたら友達関係についてのアドバイスをして、喧嘩自体はノータッチで見守ってあげましょう。
いじめや怪我につながりそうなときは仲裁する
基本的には見守ってあげたい子供の喧嘩ですが、すぐに仲裁した方がよいケースもあります。
具体的には、複数人対一人の形になっているときや、怪我につながりそうな危険なことをしているときです。
小さい子供の場合、言い合いの喧嘩は見守っていても、たたいたり物を投げたりしたら止めた方がよいでしょう。
思わぬ怪我につながる可能性もありますし、暴力行為で物事を解決できると感じさせるのは子供の教育によくありません。
同様に、複数人で一人を攻撃したり泣いているのにしつこく文句を言ったりなど、対等ではない喧嘩も早めに止めた方がよいでしょう。
小さな喧嘩で終わらせるためにも、大ごとに発展しそうなときはその前段階で止めるようにしてくださいね。
喧嘩した子供に対する親のフォローは?
泣いたり怒ったりした子供は、自分の気持ちをうまく収められないことがあります。
子供の喧嘩自体に介入はしなくとも、子供の感情面はしっかりフォローしてあげたいですね。
ここからは、喧嘩をした子供に対して、どのようにフォローすればよいかを紹介します。
1.思ったことや感じたことを聞く
喧嘩をした子供に対する最大のフォローは、親がしっかり話を聞くこと。
親が「どうしたの?」と問い掛けることで、喧嘩で動揺している子供を落ち着かせ、味方がいるという安心感を与えられます。
何もないところからいきなり喧嘩になることはありません。
喧嘩になったきっかけが何だったのか、そのときにどう思ったのか、子供の言い分をしっかり聞いてあげましょう。
このときに大切なのは、喧嘩したことに対して親の意見を言うのではなく、子供が気持ちを整理して自分の言葉で話すための手伝いをすることです。
子供が自分の気持ちを言葉にできないときは「悲しかったの?」「一緒に遊びたかったの?」と、子供が気持ちを整理できるようにフォローしてあげてください。
「寂しかったね」「遊びたかったのにね」などと、子供の気持ちに寄り添って共感することで、もやもやしていた子供の気持ちが落ち着くでしょう。
そして、口喧嘩がエスカレートして手が出たり物に当たったりしてしまった場合は、それは良くないことだと伝えることも大切です。
喧嘩自体を否定するのではなく、「イヤな気持ちになっても、お友達に痛いことしたらダメだよね」と、気持ちに寄り添いつつ、やってはいけないことを言い聞かせましょう。
2.相手の状況や気持ちを話し合う
子供の言い分だけでは、どうして喧嘩になってしまったのか分かりません。
子供の気持ちに続いて、相手の気持ちや状況について話し合ってみましょう。
「〇〇ちゃんは何て言ったの?」「〇〇くんはどうしたかったのかな?」など、相手の言い分が分かることを聞き出したり相手の気持ちを想像させたりするのがおすすめです。
相手の立場で考えるきっかけを与えることで、どうして喧嘩になったのかを振り返ることができるでしょう。
違う行動をとっていれば喧嘩にならなかったのではないかと、自分の行動を考えるきっかけにもなります。
相手の言い分は想像するしかありませんので、考えるきっかけとして親がいろいろな可能性を提示することも重要です。
「〇〇ちゃんはこう思っていたのかもしれないね」「〇〇くんも悲しかったのかな」など、相手の気持ちを想像できるように誘導してあげましょう。
このときも、親自身の意見を言うのではなく、中立的な立場で子供の言い分や状況を聞き出すことが大切です。
親が「あなたがこうしたらよかったね」「〇〇ちゃんが悪いね」といった判断をしてしまうと、子供がそれに引きずられてしまいます。
喧嘩は、人には人の意見があると子供が学ぶ機会です。
子供が考えるきっかけを与えるだけに留め、答えを出すことは子供自身に任せましょう。
3.謝罪や仲直りを促す
子供が喧嘩について冷静に考えられるようになったら、喧嘩をどう収めるかの段階に進みましょう。
子供同士の喧嘩はよくあることです。
大切なのは、その後にちゃんと仲直りできるかどうかです。
喧嘩の原因や自分の悪かったところが分かれば、謝りたい仲直りしたいという気持ちが出てくるでしょう。
喧嘩の後にきちんと謝罪や仲直りできるかどうかで、良い喧嘩になるかどうかが決まります。
顔を合わせる機会が少ない相手なら、会う機会を作ったり電話をかけてあげたりなど、親が謝罪や仲直りの機会を作ってあげることも大切です。
ただし、小学生になると、喧嘩の後にいつも仲直りできるとは限りません。
子供自身が友達を選ぶ段階に入っているので、喧嘩をきっかけに疎遠になってしまうこともあるでしょう。
そういった変化も、人間関係が自分の思い通りにいかないこともあると学ぶ機会です。
その場合、子供が自分に悪いところがあったと考えているなら、謝るようにアドバイスすることをおすすめします。
例え友達付き合いが途切れてしまっても、悪いことはきちんと謝った方が子供もすっきりできるでしょう。
その後の友達付き合いとは別問題として、喧嘩は喧嘩できちんと終わらせることがおすすめです。
4.謝ったことを褒める
子供が自分の悪いところを認めてきちんと謝れたときは、しっかりと褒めてあげましょう。
自分の非を認めることは、簡単なことではありません。
喧嘩をして気まずい相手に謝るのも、子供にとってはできれば避けたいことでしょう。
だからこそ、勇気を出して謝った子供のことを、親がたくさん褒めてあげてください。
喧嘩をして謝れないままだと、友達との関係がそのままこじれてしまうかもしれません。
謝って仲直りすることを繰り返し、子供は人間関係について学んでいきます。
喧嘩をしたりもめたりした相手に謝るのは勇気がいることですが、それができるようになればこれからも上手に喧嘩ができるでしょう。
そのためには、親が子供の頑張りを見て褒めてあげることが必要です。
子供の喧嘩で怪我をさせたときの保険
子供同士が仲直りしていても、怪我やおもちゃの破損などがあった場合は親のフォローが必要です。
自分の子供に非がある場合は、謝罪に加え、弁償や治療費といった支払いが必要になるケースもあります。
怪我の度合いによっては、治療費や慰謝料の支払いが高額になることも考えられます。
万が一に備え、個人賠償責任保険への加入を検討しておくのもよいでしょう。
個人賠償責任保険は、人に怪我をさせたり物を壊したりしたときの損害賠償に備える保険です。
本人だけでなく、配偶者や子供も補償対象ですので、親が加入していれば子供の喧嘩で怪我をさせてしまったときにも使えます。
ただし、個人賠償責任保険で補償されるのは、責任能力のない小さな子供の喧嘩に限られるケースが多数です。
責任能力がないとされるのは12歳前後ですので、中学生以降の喧嘩は対象外となる可能性が高くなります。
対象となるケースを保険会社に確認しておきましょう。
個人賠償責任保険は、単独での加入のほか、火災保険や自動車保険の特約としても契約できます。
個人賠償責任保険を検討する場合は、加入している保険の特約をチェックしてみてください。
まとめ
子供にとっての喧嘩は、大きく成長するチャンスです。
喧嘩を通して、自分と人の考え方が違うことや感情をコントロールすることを学びます。
そのため、親はできる限り子供の喧嘩に介入せずに見守ってあげましょう。
ただし、怪我やいじめにつながりそうな喧嘩は、大ごとになる前に親が止めてください。
子供の喧嘩はよくあることですが、気持ちが行き違ったり友達に責められたりすると子供は冷静ではいられません。
まずは、親が子供の話を聞いて、気持ちを落ち着かせてあげましょう。
喧嘩したことを責めるのではなく、子供の気持ちに寄り添ってあげることが大切です。
うまく言葉が出ないときは、親が「悲しかったのかな?」「貸してほしかったんだよね?」など、子供が気持ちを話せるように誘導してあげましょう。
喧嘩になった原因や自分の悪かった点、相手の気持ちを考えられるようになったら、謝罪と仲直りを促すのも親が子供にしてあげられることのひとつです。
子供が勇気を出して謝って仲直りできたときは、たくさん褒めてあげてくださいね。
また、喧嘩をして子供が相手に怪我をさせてしまったときに備えて、個人賠償責任保険への加入を検討するのもよいでしょう。
子供にとって喧嘩は悪いことではありません。
成長につながる上手な喧嘩ができるように親がフォローしてあげたいですね。