成長期に出る、足など下半身の関節の痛みは、「成長痛」と呼ばれています。
成長痛と言われると、中学生や高校生に起こるイメージですが、実は幼児でも痛みを訴えることがあります。
「成長痛」はよく聞かれるワードですが、実際はどんなものなのか、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
そこで、成長痛を和らげてあげる方法や、病院に行く目安などについて調べました。
膝などの関節の痛みは成長痛?原因や症状を解説
成長痛は、3歳〜14歳くらいまでに起こる、足などの痛みを指します。
そもそも「成長痛」という病名はなく、適切な病名がないことから「成長期に現れる原因不明の足の痛み」を成長痛と呼んでいます。
成長痛という名前から、中学生や高校生のイメージがありますが、成長痛がもっとも多いのは3歳〜6歳くらいまでの幼児です。
成長痛の原因は?
成長痛の原因は、今のところわかっていません。
身長の伸びは骨が伸びることなので、「骨が伸びるときに生じる痛み」と思われがちですが、骨が伸びることでの痛みはありません。
様々な推測が検証されていますが、ストレスや疲れが原因ではないかとも言われています。
成長痛が出やすい幼児は足の発達がまだ未熟なので、昼間にたくさん走ったり遊んだりすることで、たまった疲れが足の痛みに現れることも、原因の一つと考えられています。
成長痛の症状
成長痛の症状はどんなものがあるのでしょうか?
- 夕方から夜にかけて足などの痛みで、幼児の場合泣いてしまうこともある
- しばらくすると痛みがなくなる
- 翌日には痛みはなくなっていることが多い
- 昼間は症状がなく、元気に遊びまわっている
- 腫れている・触ると痛がるなどの症状がない
- レントゲンを撮ってもほとんど異常がない
特徴的なのが、痛みは夕方から夜にかけて出て昼間はなんともないこと。
幼児の場合、幼稚園や保育園では症状が出ないので、保育士が気づくことはあまりありません。
目に見える腫れやレントゲンの異常などもないので、成長痛の可能性が高いと言えます。
痛みが起こる期間
成長痛は不定期で起こることがほとんどで、月に1・2回や、週に1・2回などです。
また痛がる部位が異なることもあります。
今回は膝だったけれど、次はかかとやふくらはぎ、といったことも少なくありません。
数ヶ月で治る場合もあれば、長いと数年続くこともあります。
成長痛は膝や足だけ?他に痛みを感じる部位はある?
成長痛は、膝を含めた足に起こる場合がほとんどです。
膝周辺が一番多く、次にふくらはぎ・かかと・股関節などが多くなっています。
中には、腕や肩・胸などに痛みを感じる場合もありますが、成長痛以外の病気が隠れていることがあるので注意が必要です。
成長痛じゃない?病気が隠れている可能性
成長痛は緊急性が低い症状ですが、中には病気が隠れている場合があるので、見過ごしてしまうと大変です。
成長痛と似た症状で、可能性が高い病気を紹介します。
オスグッド病
オスグッド病は、思春期の男子に多い、膝下の痛みです。
発達途中のの子供は膝下の骨が弱い軟骨なので、スポーツのし過ぎなどにより、痛みや腫れを起こします。
痛みが出る場所が成長痛と近いので、混同されやすい病気です。
運動を休むことで症状が改善されますが、再開すると痛みも再発することがあります。
リウマチ
16歳以下で発症するリウマチを「若年性特発性関節炎」と言います。
病名からわかるように、関節に痛みが生じることが多く、アレルギー・炎症などが原因の一つです。
炎症を治める薬や、免疫抑制剤を使った治療法が一般的ですが、一人一人の症状によって異なります。
小児のリウマチ専門医の受診が理想です。
踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)
踵骨骨端症は、セーバー病・シーバー病とも呼ばれ、小学生・10歳前後の男子に多い病気です。
踵(かかと)の腫れや押すと痛みがあり、歩くと特に痛むのが特徴。
発達途中の子供のかかとは特に弱く、運動などで負荷がかかることが原因で、炎症を起す・壊死といった症状が出ます。
運動を休む・松葉杖を使って症状が出ている足の負担を減らすなどの治療があり、治療は数年かかることがあります。
運動の後にかかとを痛がったり、痛みが継続したりする場合は、踵骨骨端症の可能性があります。
スポーツ障害(肩・肘)
主に野球をしている子供に出やすいのが、腕のスポーツ障害です。
症状が出るのは肩や肘で、投手や捕手のポジションで投球数が多い場合に起こりやすい障害。
ピッチングやボールを投げるときに、骨や筋肉に大きな負荷がかかることが原因です。
整形外科を受診し、数ヶ月スポーツを休むことになりますが、骨折など症状がひどい場合はギブス固定などが必要なこともあります。
胸の痛みは呼吸器系の病気の可能性あり
深呼吸したり、笑ったりして出る胸の痛みを、成長痛を診断されるケースがあるようです。
成長痛で胸の痛みを感じる例は少なく、他の病気の可能性があります。
例えば狭心症などの病気が原因の場合があるので、呼吸器内科や循環器科の受診したほうがよいでしょう。
成長痛の症状で病院に行ったほうが良い例とは?
成長痛の症状は持続しないことが特徴で、原因がないことがほとんど。
逆に言えば、継続した痛みの場合、病院で診察を受けたほうがよいでしょう。
病院に行ったほうが良い例を紹介します。
- 痛みが一時的ではなく、持続している
- 成長痛が起こりやすい3歳〜14歳を超えている
- 腫れていて、熱を持っている
- 足を引きずっていている
病院に行く際は、いつから・どんな痛みがあるのかなど、わかる範囲でメモを持っていくとスムーズです。
成長痛では整形外科か小児科か、受診する科で迷うかもしれません。
迷ったら、かかりつけの小児科で相談してみましょう。
成長痛の痛みを和らげる対処法
成長痛には明確な治療法はありませんが、痛みを和らげる方法はいくつかあります。
例えばストレスが原因の場合は取り除くことが困難ですが、親の見守りなどで改善されることがあるので、子供の痛みに寄り添ってあげましょう。
痛みを軽減する簡単な方法を紹介しますので、試してみてください。
①ストレッチを行う
ストレッチを行うことで、痛みが和らぐ場合があります。
- 足を伸ばして座り、足の裏を押してふくらはぎを伸ばす
- 仰向けで横になり、足を片方ずつ持ち上げる
- うつ伏せで足を曲げ、足の裏を上から押す
- うつ伏せで足を曲げ、太腿を持ち上げる
- 腕を上にあげて、大きく伸びをする
成長痛は足に出ることが多いので、足を中心にストレッチをしてあげましょう。
②痛みが出ている部分を「温める」「冷やす」
骨や筋肉が未発達な子供は、日中動き回ったことで疲れがたまり、痛みにつながっている場合があります。
お風呂で体を温めたり、痛い部分をさすったりすると効果的です。
また成長痛で病院を受診すると、湿布などを処方されることがあります。
冷やすことで痛みが和らぐ場合もあるので、「温める」「冷やす」は、子供がより楽に感じるほうで大丈夫です。
③親とのスキンシップ
成長痛が精神的なストレスが原因の場合、親とのスキンシップで痛みが和らぐことがあります。
幼稚園や保育園、学校など、子供なりにがんばり、無理をしていることもあるでしょう。
家でリラックスし、親の愛情を感じられるスキンシップを取ることで安心して、成長痛が緩和することがあるようです。
成長痛は明確な原因がないことから、仮病と思われてしまうこともありますが、原因が明らかになっていないだけで痛みはあります。
子供の痛みに寄り添い、痛みを訴えている部分をさすったりマッサージしてあげましょう。
まとめ
成長痛は、「成長期に起こる原因不明の痛み」のことです。
3歳〜14歳くらいまでの子供に起こり、中でも3歳〜6歳までの幼児期の子供に多くなっています。
原因として考えられているのは、体が未発達なことで、足を中心に疲労が溜まること。
ほとんどの場合痛みが継続することはなく、年齢が上がるとともに自然に痛みは消失します。
ストレッチやマッサージ・親とのスキンシップで改善することがあるので、子供の痛みに寄り添ってあげることが大切です。
成長痛と似た症状で病気が隠れていることがあるので、ずっと痛がっている場合などは、整形外科やかかりつけの小児科で相談してみましょう。