夫婦の意見が食い違った時、つい熱くなって夫婦げんかに発展してしまうことは珍しくありません。
時には子供の前で夫婦げんかをしてしまうこともあるでしょう。
夫婦げんかを目の当たりにした子供は、その時どんな表情や反応をしていたでしょうか。
悲しい顔をして黙っていたり、泣いて仲裁に入る子供など反応はさまざまでしょうが、笑顔になる子供はいないはずです。
すでに子供の前で夫婦げんかをしたことがある人は、「心配をかけてしまったかな」「大きな声がトラウマにならないかな」など心配になってしまいますよね。
そこで今回は、夫婦げんかが子供に与える影響や、夫婦げんかをしてしまった場合の子供へのフォロー方法などを紹介していきます。
夫婦げんかが子供にあたえる影響とは?
まずは、夫婦げんかが子供に与える影響について紹介していきます。
精神疾患を抱えやすくなる
子供は、親の怒鳴り声や罵倒など聞くと、恐怖や強いストレスを感じます。
夫婦げんかが子供の前で頻繁に繰り広げられている場合は、ストレスが積み重なり、頭痛や吐き気、さらにひどい場合は摂食障害や自傷行為などに走る可能性もあります。
また、1番怖いのがPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。
PTSDは、突然過去に恐怖を感じた瞬間がフラッシュバックし、取り乱してしまう精神疾患です。
たとえば、親の怒鳴り声に強い恐怖感を持った子供が、大人になってからスーパーの店員を怒鳴りつける人を見た時に、怖かった記憶が蘇りパニックを起こしてしまうこともあります。
PTSDは、数週間や遅くて数年経ってから症状が出ることもあるため、発見が遅れてしまいがちです。
自己肯定感が低くなる
責任感の強い子は、「両親がけんかしているのは自分のせいだ」と捉えて、自分自信を否定してしまうことがあります。
中にはひどく自分を追い詰めて、「自分さえ生まれてこなければ」「2人とも自分のことが嫌いなんだ」と考えてしまう子供も少なくありません。
この状態がずっと続くと、自己肯定感が低い子供となってしまいます。
自分に自信が持てず消極的になり、周りとのコミュニケーションが取れないため、人間関係でも苦労するかもしれません。
脳の一部を萎縮させる
福井大学とハーバード大学との共同研究によると、夫婦げんかを日常的に目の当たりにしてきた子供は、脳の「視覚野(しかくや)」の一部が萎縮するという結果が出ています。
夫婦げんかでも身体的暴力か、言葉による暴力(暴言)を目撃したかで脳へのダメージが違い、暴言を目撃した子供のほうが3倍も多くダメージを受けていることがわかりました。
視覚野がダメージを受けると、記憶力や学習能力低下のほか、感情のコントロールが難しくなってしまいます。
そのため、
ポイント
・成績が落ちる
・他人に暴力や暴言を振るう
・非行に走る
・うつ病になる
などさまざまな問題行動を起こす可能性が高いです。
成長ホルモンの分泌が悪くなる
成長ホルモンは、寝ている間に分泌されます。
夫婦げんかにより強いストレスを抱えた子供は、不安で眠れなくなることが多いです。
また、眠っていても夫婦げんかの音で起きてしまい、深い眠りにつけない場合もあります。
睡眠がきちんと取れないと成長ホルモンの分泌が悪くなり、身長が伸びない、落ち込みやすい、集中力が続かないなどの症状を引き起こします。
会話なしの夫婦げんかも子供にとっては苦痛
言い争いをする夫婦げんかだけでなく、お互いを無視しあったり空気のように扱う冷戦状態のような夫婦げんかも、子供にとって良くありません。
会話がない家庭は居心地が悪いため、子供が仲を取り持とうとしたり、反対にけんかの原因をつくらないようにと、常に親の顔色を伺って過ごすようになってしまいます。
本来であれば落ち着ける空間であるはずの家が、夫婦げんかによってまったく心休まる場所ではなくなってしまうのです。
このまま夫婦げんかが続く場合は、子供は居心地の悪さから家にいる時間を減らそうと、遅い時間まで返ってこなくなる可能性もあります。
子供の前で夫婦げんかをしてしまったら?
子供の前での夫婦げんかは良くないと思いつつも、親も人間なので時には感情が抑えられず言い争いをしてしまうこともあるでしょう。
子供の前で夫婦げんかをしてしまった場合、まずは不安や恐怖を感じさせてしまったことを謝りましょう。
そして、けんかの理由を伝えられる範囲で話し、原因は子供にないこと、夫婦にとってあなたはとても大切な存在だということを伝えてください。
そして、まだ夫婦げんかが続いていたとしても、子供の前で仲直りして見せます。
そうすると子供は「けんかが終わったんだ」と、安心できるはずです。
けんかの続きは子供がいない時にすると、子供も不安にならなくて済むうえ、時間をおくことでお互い冷静な話し合いができるでしょう。
夫婦げんかに発展しそうな時に試してほしいこと
子供の前でもそうでなくても、できれば夫婦げんかは避けたいものですよね。
ここでは、夫婦げんかになる前に試すと良いことを紹介していきます。
子供の存在を意識する
夫婦で意見が合わないと、ついイライラして口調が乱暴になってしまいそうな時がありますよね。
そんな時は、一度子供の方に目を向けて、自分たちが子供の目にどう映っているか想像するといいでしょう。
常に子供の存在を意識することで、夫婦げんかのブレーキになりますよ。
子供が不安そうな顔をしていたら、「ごめんね、大丈夫だよ」「心配させてごめんね、あなたのせいじゃないからね」と安心させるような声がけをしてあげてくださいね。
人目のあるとことで話し合う
夫婦げんかに発展しそうなトピックスを話し合うときや、パートナーが感情的になりやすいタイプの場合は、カフェやレストランなどで話し合うと良いでしょう。
家だと他人の目がないため、ついお互いに言いたいことを感情に任せていってしまいがちです。
しかし、カフェやレストランなどはほかのお客の目があるため、感情的になりにくく落ち着いた話し合いができるでしょう。
周りに聞かれたくない内容を話し合う場合は、個室のあるお店がおすすめです。
妥協点を見つける
けんかというのは、「自分が正しくてあなたは間違っている」という思いから発生することが多いです。
つまりお互いに、「相手が絶対に間違っている」と思っているのです。
しかし、たとえ相手が100%悪いとしても、それを責めるだけではけんかになってしまいます。
お互いじっくり話し合い、妥協点を見つけるとけんかに発展せず、さらにお互いが歩み寄ることで今後の関係も良くなるはずですよ。
キッチンでは話し合わない
今までの夫婦げんかを振り返ってみると、いつもけんかする場所はキッチンだった、ということはないでしょうか?
人間は、凶器がある環境にいると気持ちが高ぶり、攻撃性が増す傾向にあるとされています。
キッチンは、包丁やフライパンなど凶器になりえるものがたくさんあるため、けんかに発展しやすく、収まりにくいのです。
そのため、なにか夫婦で話し合うときは、なるべくキッチン以外の場所ですると良いでしょう。
まとめ
夫婦げんかは悪いことではありません。
お互いが現状を改善しようと意見を出し合った結果、意見が食い違って感情的になり、けんかに発展してしまうことはよくあることです。
しかし、子供の前での夫婦げんかはなにも良いことはありません。
夫婦げんかを見て育った子供は、脳の一部が萎縮したり、精神疾患を抱えやすい傾向にあるとされています。
もし子供の前で夫婦げんかをしてしまいそうになったら、子供に見られていることを意識しましょう。
そして、感情的にならず、会話を整理しながら妥協点を見つけます。
また、「けんかになりそうだな…」と思うような話し合いをする場合は、カフェやレストランなど他人の目があるところで話し合うのがおすすめです。
もし子供の前で夫婦げんかをしてしまった場合は、まずは子供に謝り、けんかの原因は子供ではないことを伝えて安心させてあげてくださいね。